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予定は未定

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 ファリと話した後、なるべく早く人里へ出られるようにと、森を抜けるべく進み始めた。

 訓練を始める前は、慣れない森の中を歩くのに、もたもたと危なっかしく足をもつれさせてばかりいて、心配したファリにすぐに抱えられそうになっていたが…

 今は鍛えた成果が出ていて、足取りも軽くしっかりとしている。

 やっぱ、基礎体力って大事なんだなぁ…

 レベルの低いうちは、ある程度のレベルになってからとは違って、レベルを上げやすいものではあるとは思うけど、この短期間にレベル21になれたのは、ひとえにファリの的確な指導によるものだ。
 もちろん、スキルのお陰でもあるが、それすらファリの指導があってこそのもの。
 最初の戦闘時に、嫌という程実感させられたが、この世界はゲームとは違い、やり直しもきかないし甘くもない。
 おれ一人ではレベル上げどころか、命を繋ぎ止めるだけで精一杯だった筈だ。

 いや、それすら怪しかったかも…


 体だけでなく、ファリに本当のことを話してからは、気持ちまでもが楽になった。
 ファリに寄せる信頼が大きくなるにつれて、嘘をついているのが負担になっていって…

 真実だけれど、自分でも信じられないような、荒唐無稽な話を、ファリは、信じると言ってくれた。

 その言葉を思い返すと胸にジンと熱が広がる。


 だけど…

 ファリはおれを守ろうとしてくれている。
 おれの命がクエストの失敗によって、喪われるかもしれないと知ったファリは、おれが死なないようにって、気を使わなければならないってことで…

 もしかして、おれの心が軽くなった分、その負担をファリに背負わせたってことにもなるんじゃないのか?

 思い至ってハッとする。

 今だって、おれのクエストの為に、急いで森を出ようとしてくれている。

 人里で人間と戦闘するなんて、獣人であるファリにとってリスクが高いはずなのに、きっとファリはそれを手伝おうとしてくれている。
 森を出た所で、王都へは一人で向かうことを伝えるつもりだけど、ファリはまだそれを知らないから。


 心も体も全部、ファリにおんぶに抱っこ状態だ。

 今のおれってどうしようもなく、ファリのお荷物でしかない。

 ズーンと気持ちが落ち込む。



 だ…ダメだダメだ!
 落ち込んでても物事は好転しないぞ!

 落ち込んでいないで、これからやるべき事を整理しよう。

 えーと……


1、森を出る。

  ここからは、
  ファリと別れて一人旅だ。


2、一番近い人里へ出る。

  ここで情報収集と、
  できればお金の調達もする。
  旅に必要な物の調達もする。


3、王都へ行く。

3ー1、『乙女ゲーム』の
    舞台である学園を探す。

    いきなり身分の高い人達と
    接触するのは難しそう。
    学園に忍び込むとか
    できないかなー?

3ー2、悪役令嬢を探す。

    『悪役令嬢』とは
    明記されていないけど、
    とりあえず、攻略対象の
    婚約者あたりを調べてみよう。
    名前と顔はブックレットに
    載っている。

3ー3、攻略対象を探す。

    名前と顔は…以下同文。
    好きな場所とかを足掛かりに
    接触を図る。


 とりあえず、今思いつく、ざっくりとした予定はこれくらいだ。

 問題はクエストだ…

 『人間と戦闘する』

 これ、どこで、どーすりゃいいの?

 戦闘って、どこから戦闘に認められるんだろうか?

 例えば、誰かに頼んで、戦闘訓練の為にと、訓練相手になって貰えるようにお願いして、戦ったとしたら、それはカウントされるのか?

 野盗やゴロツキに襲われて、身を守る為に戦闘する。
 これは確実にカウントされるだろう。
 けど、たまたま襲われるのを待つ?
 クリアまでの期限が設けられている以上、そんな不確実なことをあてにするわけにはいかない。
 そもそも襲われて命を落としたら、本末転倒もいい所だし。

 わざと襲われるように仕向けることは出来なくはない…かもしれないけれど、それは却下!

 危険ってのも勿論だけど、わざと犯罪を誘発させるなんて、却下! 却下! あり得ない。

 取り敢えず、カウントされるかされないかは、やってみなければ分からないけれど、誰かに戦闘訓練の相手をお願いしてみる方向で。
 
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