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第2章

ストーカー、後宮へ行く。

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王宮でも就寝の儀式に変わりはなく、たぶんあの噂はどんどん広がるんだろうなーと思いながら眠りについた。

王妃様とはすっかり仲良くなってしまい、すごく丁寧に仕事を教えてくれた。レオン様とあまり話すことはないらしいが、あの様子ならそんなに悪い関係だと思えないから安心する。

今日は側室の方々に挨拶周りで後宮に来てみたものの、皆さん威圧感が強い。あと、態度が悪い。後宮は女の戦いの場所と言われているけど、こんな感じなのか。なんだか、前世の女子校をイメージする。外から見たら花園なのに入ってみたら…って感じのやつだ。現王は王妃様との間に子を授からなかったため、こんなに多くの側室をとったらしい。

「あら、王妃様から聞いているわ。噂の次期王妃様じゃない。」

まずは後宮のトップに挨拶をしに行こうと訪ねれば、そこで待っていたのは圧倒的お姉様感の漂う美女だった。なんかいい感じにエロい。現王様、王妃様といい、この人といい、美女ばかり侍らせて羨ま…けしからんな。

「後宮のものに何かされたら、私に言いなさいな。立場の分からない側室なんて必要ないと教えて差し上げないとね。」

「感謝しますわ。ジュリア様。」

ジュリア様は王妃様と仲が良く、きっちりと線引きのできる方らしい。色気の漂う気の強さで後宮のヌシのような人となっている。なんかあったら、この人にチクればいいって訳だ。

「あと、貴方も側室に示しをつける態度を取ること。舐められないようにしなさいな。」

「ご忠言感謝しますわ。」

ドロドロ昼ドラ的展開が起こらないように、私も威厳を持った王妃にならないとな。

その後も後宮を廻り、挨拶をして1日を終える。

「今日、後宮に行ったらしいな。」

就寝の準備を済ませると、レオン様に話しかけられた。もう一度言う。あのレオン様に!話しかけられた!!のだ。

「彼処の者には気をつけろ。」

何かと思うと、真剣な忠告。そんなに後宮は物騒なのか?わざわざレオン様が言うぐらいなのだから、気をつけておいて損は無いだろう。

「心配してくれたのですね!嬉しいですわ!」

「…心配なんてしてない。」

あぁ、レオン様はなんて可愛いんだ。心配したと素直に言ってくれればいいのに。言わなくても、私には伝わってますとも!

そういえば、王宮に来てから、なんだか凄い視線を感じる気がする。視線を感じて周りを見渡しても誰もいないんだけど。まぁ、ストーカーをストーキングする奴なんていないだろうし、気のせいかもしれない。

さぁ明日からも、レオン様と幸せを掴むために、王妃修行頑張るぞー!!

って寝たんですけどね?この子誰!?なんかずっと私のこと見てない?うん、見てるよね。ガン見だよね!

図書室で、王妃に必要な知識に関する資料を読みふけっていた私は、ふと視線を感じて資料から顔を上げたんだが。いつの間にか目の前にいた子が私をガン見してるんですけど!?

金髪碧眼の小さな女の子が、前の席からじっとこちらを窺っていた。ストーカーにしては距離感が近いし、こんな小さな子がストーキングなんて考えにくい。王女様かな?確か今5歳ぐらいだったはず。

「あなた。ワタクシとしょーぶしなさい!」

突然口を開いたと思ったら、勝負?ポケ●ンの短パン小僧みたいだな。

「ワタクシは、エリザ。とってもえらいのですわよ!」

予想通り、この少女はエリザ王女らしい。いくら子供といっても無下にはできない相手だ。…それにしても可愛いな。

「初めまして。私はヴィオラ・クロンキストですわ。」

目線を合わせて精一杯優しく笑う。彼女はパァァっと顔を綻ばせ元気な声で私に命令をした。

「ワタクシの遊びあいてになりなさい!」

もう、勝負はいいのか。それにしても嬉しそうだな。
なんだか、下僕になれと言われてる気分なのは私だけだろうか。
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