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第1章

ストーカー、学園へ行く。

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色々邪魔されたが、もうそろそろレオン様も登校する時間だろう。今日からは毎日、一緒に学園に行こうと思う。もちろん、勝手に決めたんだけど。楽しみだなぁ。

「おい。お前はなんでここにいる。」
あら、レオン様、今日も素敵ですね。

「学園までご一緒しようと思いまして。」

「はぁ、、迷惑だ。止めろ。」
やっぱりだめか。

「そうですか、残念ですけど諦めますわ。」
いや、でも本当にストーキングし始めた頃の凌と反応似てるなぁ。あの、引き気味の目つきとか、溜め息の感じとか、、大好き。

でも身長は高くなってるかな、猫背が治ってるからそう見えるのかも。うん、胸を張って歩くと王族感がでてる。凌よりも見た目が派手で目立つからストーキングしやすいかもな。あ、でも私も今は同じぐらい目立つのか。変身魔法とか使えないかなー。

「おい。お前一緒になど行かんと言っただろうが。」

「ですが殿下、私も学園へ行かなければなりませんわ。」

目的地が同じでたまたまルートが同じだけだから一緒に登校してるわけじゃないだろう。これは立派なストーキングだ。えっへん。

「…勝手にしろ。」

「ありがとうございますわ。」

正式に許可まで貰えるなんて!公然にストーキングしてもいいの?喜んで勝手にしよう。

原作のレオン様のデータはぼんやり覚えているけど、凌とは違うレオン様のことは知らないことばかりだ。私は思い出してからも、思い出す前も性格が大きく変わることはなかったけど、食の好みや、習慣の差の様なものは少し変化している。レオン様と凌にも同じことが言えるだろう。

たしか原作のレオン様は、側室の子であった。そして幼い頃から母の異常な期待と愛情によって苦しみ、母親が病で息を引き取ってからも、後宮の女のあれこれに苦しめられ、押し付けの愛情を嫌悪するようになる。たぶん。

まぁ、だから真っ直ぐで純情なヒロインちゃんに惹かれるんだけども。

この世界でも、そんな人生を送ってきたのだろうか。誰からの愛情も受け取らず、誰にも愛情を抱かずに?もしそうなら可哀想すぎる。
でも、レオン様が誰にも愛情を抱いたことがないのは少しだけ嬉しい私もいる。
私が全身全霊をかけてレオン様を愛して、他の誰の愛情もほしくならないぐらいメチャクチャに愛してあげたい。

真っ直ぐなヒロインちゃんとは真逆の歪みに歪んだ愛なのかもしれないけど、出来るだけ早く受け取って貰えるように頑張りたい。

レオン様の後ろ5mを維持しながらぼんやり歩いていると、もう玄関口まで来ていたようだ。
そろそろ、レオン様のスイッチも入っただろう。

「殿下、私はこれで。」
わざわざ少し大きめに声をかける。

「あぁ、今日もお互いに頑張ろうね。」
周囲の目がある時は優しい王子様なわけだ。
猫かぶりのレオン様…いとをかし。
とりあえず動画を撮りたい。

あぁ!なんて充実してるんだろう!やっぱり好きな人の為にかく汗ほど気持ちのいいものはない。
きっと今日は素敵な1日になるなぁ。

レオン様と同じクラスならよかったんだけど、彼のクラスは成績上位者の男性しか入れないそうだ。残念。

あと魔法の授業は、5コースにそれぞれの属性で別れるそうだ。ちなみにヒロインちゃんとレオン様は光属性同士、私は闇属性。残念だけど、闇ってなんかカッコいいからいいかなって思ってる。

原作のヴィオラって無知な暴れん坊みたいなイメージなんだけど、今の私は別に頭が悪いなんてことはない。でも、レオン様の横に立つ完璧な存在になるには、きっと長く厳しい道のりだろう。がんばるぞ!

勉強、魔法、人間関係、そして恋愛ストーキング。いやはや、ストーカーは忙しいね!

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