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しかし、次の日、朝早くから仕事だった妹は金縛りに遭った恐怖より、貴重な睡眠を邪魔された怒りに満ち満ちていた。
その怒りの力は凄まじく、力づくで金縛りを解き、そのまま何事もなかったかのように寝た、という。
それをまるで面白いことでもあったかのように、私に話して聞かせてくれたのだ。
妹にかかれば幽霊も形無しである。
幽霊が妹に恐れをなしたのか、はたまた単なる気のせいだったのか。
その後、笑い声が聞こえることも、夢にあの女が現れることもなかった。
だが、見えないだけで、あの女はまだすぐ近くにいるかもしれない。
今も私の隣で大きな口を開けて狂ったようにけたけたと笑い、今夜にでもまた首を絞めにくるかもしれない。
その可能性は絶対にないと、私は言い切ることができないのだ。
そもそも、あれは本当に夢だったのか。それとも――。
真相は今だ分かっていない。
今でもA神社には全国各地から様々な人形たちが集まっている、という。
その怒りの力は凄まじく、力づくで金縛りを解き、そのまま何事もなかったかのように寝た、という。
それをまるで面白いことでもあったかのように、私に話して聞かせてくれたのだ。
妹にかかれば幽霊も形無しである。
幽霊が妹に恐れをなしたのか、はたまた単なる気のせいだったのか。
その後、笑い声が聞こえることも、夢にあの女が現れることもなかった。
だが、見えないだけで、あの女はまだすぐ近くにいるかもしれない。
今も私の隣で大きな口を開けて狂ったようにけたけたと笑い、今夜にでもまた首を絞めにくるかもしれない。
その可能性は絶対にないと、私は言い切ることができないのだ。
そもそも、あれは本当に夢だったのか。それとも――。
真相は今だ分かっていない。
今でもA神社には全国各地から様々な人形たちが集まっている、という。
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ホラーとしては定番(?)の人形もので、隙のない進行が楽しめました。私の部屋にも人形がありますが、ガラスケースでも磨いて機嫌を取っておきましょう。
ありがとうございます。
人形といえば、私の大好きな「稲川淳二」さんの怪談のなかに「生き人形」という話がありますが、私はこの話が数ある怪談のなかで一番好きです。
また、人形のなかで怖いイメージが強いものといえば、やはり「市松人形」ですね。
私の家にも似たような人形が1体ありますが、夜中に見るとちょっと不気味です。
初めまして。怪談物はなろうの方では読まないので、新鮮な感じで読めました。
ちなみに、モデルとなったと思われる某神社にも行ったことはあります。
あの神社は、明るい時間帯に行っても人形が多いので、個人的には異様な雰囲気を感じました。
あと、読んでいて思ったことがあるので書かせていただきます。
(余計なお節介かもしれないので、作者様的にウザかったら無視でもしておいてください。)
1、1話目の最後、「蜂が花の蜜に誘われるように」とありますが、主人公が怪異好きっていう事が4話まで読まないとわからない為、自宅から4時間もかけてA神社に行く理由が弱い感じがしました。冒頭で主人公が怪異好きっていうのを全面に押せば、めっちゃ行きたいんやな~っていうのが判りますし、小旅行の理由としても不純ではないと思うのですが、どうでしょうか?
2、はじめのあたり、「日本人形に陶器人形、と様々だ。」とありますが、2種類しか出てないのに様々っていうのは変な感じです。そのあとの文で、市松人形が不気味だっていうのを書いているのですから、「市松人形、衣装人形、ひな人形、フランス人形、と様々だ。」くらいで多く上げたほうが良いのではないでしょうか?ちなみに某神社には、信楽焼の狸や木彫りの熊、天狗などの日本の面、東南アジア系の木彫りのお面、シーサーの陶器の置物なんかもあります。
3、11話ですが、自分の体験の事を言っているのに、一番最後に急に神社の事言うのは違和感があります。「今でもA神社には~」の一文は要らなくないですか?
ご感想ありがとうございます。
今度行く時は明るい時間帯に行ってみます。
ご指摘まで頂戴し、重ねて御礼申し上げます。大変勉強になります。
今後の参考にさせていただきます。