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半ば諦めかけた時、後ろにある慰霊碑の方から「にゃあ~」という猫の鳴き声が聞こえた。それは、聞き覚えのある声だった。
途端に金縛りは解け、Kさんは一度も振り返ることなく、その場から逃げるように走り去った。背後から追ってくる無数の足音は墓地を抜けるまで途絶えることはなかった、という。
「まぁそれだけの話なんですけどね。あんまり怖くなくて、すみません」
そう申し訳なさそうに言ってから、Kさんは怪訝そうな表情を浮かべた。
「そういえば、一つだけ気になることがあるんです。うちで犬を一匹飼ってるんですけど、そいつが最近おかしいんですよ。たまに、何もないところに向かって吼えることがあるんです。それがまるで、何かに怯えているようで。それが気になるんですよね」
と、Kさんはいう。
途端に金縛りは解け、Kさんは一度も振り返ることなく、その場から逃げるように走り去った。背後から追ってくる無数の足音は墓地を抜けるまで途絶えることはなかった、という。
「まぁそれだけの話なんですけどね。あんまり怖くなくて、すみません」
そう申し訳なさそうに言ってから、Kさんは怪訝そうな表情を浮かべた。
「そういえば、一つだけ気になることがあるんです。うちで犬を一匹飼ってるんですけど、そいつが最近おかしいんですよ。たまに、何もないところに向かって吼えることがあるんです。それがまるで、何かに怯えているようで。それが気になるんですよね」
と、Kさんはいう。
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