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それは、きっと五月雨のせい
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しおりを挟むパチパチと、火花が弾ける音がする。
海辺の公園で、赤い光を挟み、向かい合うように、二人。
いつもと違って、辺り一面の青に混じって、薄紅色が幾つか見受けられる。
私を惑わす、あの五月雨も、今は降っていない。
目の前では、所々で咲き誇る、薄紅色の紫陽花の様に、華々しい雰囲気を纏う女が、線香花火を手に屈んでいた。
やはり、紅色は良く目立つ。
埋もれる様な青の中で、紅差しを施した絢爛な紫陽花は、一際強い存在感を放ち、
二人の間で輝く、赤い火花と共に、
掴んでいったら消えてしまいそうな、あの青い彼女の存在を、朧気にしていった。
「ねえ。線香花火、つまんないんだけど」
目の前の女が、退屈そうな声でぼやく。
「何か、周りも紫陽花だらけで地味だし。どうせなら浜辺が良かった」
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