それは、きっと五月雨のせい

『五月雨のせいで、心が少し、馬鹿になっていたからに違いないんだ』


男は、紫陽花が咲き乱れる海辺の公園で、雨に濡れた女と出会った。
辺りでは、海と、五月雨が孕んだ緑緑しい香りが混ざりながら漂い、男の心を、少し可笑しくさせた。

だから、きっと、

男があの日、女にあんな感情を抱いたのは、

五月雨のせいで、心が少し、馬鹿になっていたからに違いないんだ。
24h.ポイント 0pt
0
小説 192,949 位 / 192,949件 ライト文芸 7,630 位 / 7,630件

あなたにおすすめの小説

卒業式は終わらない

木瓜
ライト文芸
「君が来るまで、待ってるから」 卒業式。 それは、かつての自分に別れを告げ、 蒼き空へと羽ばたく、旅立ちの日。 そして、新たな空で、新たな翼を育みながら、 人は何度も、その卒業の日を迎えるのです。 彼らの旅は、始まったばかり。 卒業式は、まだ終わりません。 今宵、上映されるは、先天的な病に苦しみながらも、級友との卒業式を望み続けた者と、 病に苦しむ友を、最後まで待ち焦がれた者の二人が織り成す、至極の友情物語。 二人の翼が、蒼き大空へと旅立つ、その時までどうかごゆるりとおくつろぎ下さい。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

もう、いいのです。

千 遊雲
恋愛
婚約者の王子殿下に、好かれていないと分かっていました。 けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

商家の旦那様の「お気に入り」は

都茉莉
ライト文芸
豪商の青年ノエルには、使用人から「お気に入り」を見つける悪癖がある。 そんな何人もの女性を泣かせてきたノエルが次に手を出したのが、セシリアだった。 短期契約で後腐れもない身では結末など一つしかない。だが、彼女は彼女でなにやら思惑があるようで……

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

初めての兄と妹のお留守番(フリー台本)

ライト文芸
初めての二人でのお留守番。妹のために一生懸命に頑張る兄だが、妹は…