番になれないアルファ

番関係

  
 海斗がおかしい

俺の運命の番が現れてからというもの

会社で会うことを避けている

アルファ用の抑制剤をあの日以降必ず飲むようにしている

間違いがあったらいけないから

海斗に調べてもらってわかったのは八代優という名前だけ

バースはオメガだが良家の出らしい

「海斗離れろ。皿が洗えないだろ」

海斗の部屋で家事をするのは慣れたものだ

「僕は安希のそばにいたいの」

チュッとうなじにキス

そんなことしたって......

番になんかなれやしないのに

後ろからがっしり腰に腕をまわされている。

「勝手にしろ」

「勝手にする」

聞こえる声はうれしそうだ


そういえば変わったことの1つに

あれから海斗が同居をしないかと言ってきた

「なにかと安希の会社へも近いじゃない。一緒に住もうよ！」

いきなりの申し出

「今までそんなこと......」

「タイミングもいいしさ。親友じゃない僕達」

親友だから

俺はこの言葉に弱いんだ

大丈夫

これはただの友愛だから








運命の番......か......

3年前のすぐだったらきっと拒絶してたに違いない

でも今なら......


「また考えごと？」

Ｔシャツの中に手をいれてさわさわと触れてくる海斗

「洗い物は僕がやっといたよ」

「悪いっ。つい......ボーッとして」

またうなじにキス

そんなに番が欲しいならオメガ探せばいいのに......


「安希。セックス......しよう？」

逃げられない甘い誘い文句


「あぁ......」

エプロンを外して海斗の手をとった