番になれないアルファ

神様もう少しだけ

  
   振り回されたくはない

ただ傍にいるだけ

それだけの関係

海斗に誰かいい人ができるまでの単なる繋ぎ

それでいいんだ

これを愛というのか友情というのかはわからないが

海斗の傍で楽しくやってたらいいって思ってる


うちの会社と海斗の会社は取引がある

あっちがクライアントさまだ

だからよく俺が海斗の会社へ打ち合わせにいく

そして今日も


受付について名前をいえばすぐに通される

「失礼します。」

名乗りなどせずともわかる関係

「はーい！」

人懐っこいアルファなんて珍しいなぁってのが出会ってすぐの印象だったなと思い出す

「海斗。お前はもう少し警戒心を持てよ。分かってるか」

ほいほいと人をいれるのは大企業の社長なら分かってるはずなのに

「安希だから大丈夫！」
屈託の無い笑顔

あれだけオメガの奥さんを亡くして消沈してたのが嘘みたいだ


これならもしかしたら早いうちに利害一致での関係は終わりに向かうかもしれない

そしたらきっと俺は運命の番かオメガを番にと言われるんだろうと覚悟した


海斗の頭を撫でてやる

嬉しそうに笑う海斗はやっぱり眩しい

まだだ

もう少しだけ俺と彼にこの時間をと願った。

俺の時間をあげるから