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5 前世の記憶
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フラフラとした足取りで歩いてた私は、どこをどう歩いたかすら分からない。
ガッ!
ズササァッ!!
私は石につまづいて転んだと同時に、頭を打った衝撃で何かを思い出した。
それは……前世(地球)の記憶だった。
──前世では──
小川月。25歳の有名なネトゲーの一流企業(ブラック企業)に勤めている。
独身で実家暮しだ。
一流企業に勤めている私は、家族にお金を搾取されているから実家暮らしだった。
家族は無職で働こうとはしない、それは私が年収1000万超えの高給取りで、そのお金を全て盗られている。
が、実は高校2年の頃に亡くなった大好きな祖父に、内密に名義変更をした株を売却した為、50億はある。
両親と祖父母は仲が悪く、遺産もあったようだが浪費したようだ。
だが、私の生活などは変わりなく、衣服はネットか古着の地味な格好だった。
私だってお洒落したり欲しい物を買いたい……でも、家族にお金を要求され、たかられ、せびり、最終的にはお金の催促までして来る始末。お金のありがたみを知らない家族は、私が稼いだお金を湯水のように豪遊する日々だが、毎月20万を渡すことでペット飼育の許可を得た私は、可愛い可愛いペットを飼うことが出来ている。
肩まである前髪を後ろへバッとかき上げ「はあぁぁぁ」と大きなため息を吐き。腕時計を見ると独り言を呟いていた。
「また睡眠時間は3時間なのね。
早く帰らなきゃ、あの子が寂しがってしまうわ」
あの子というのは、今から6年前に拾った私の可愛いペットだ。
あれは6年前、大企業に入社して間もない頃……。今日も残業のうえに食事する時間も無し、何でも良いから食べたい。
『……くぅーー……。
…クルル……』
帰宅途中、座っているベンチの下から動物の鳴き声がし、見てみると……子犬? 子猫? 羽根のようなモノと尻尾が3本に分かれているけど、何の動物かは分からない。
屈んでよく見ると、凄く可愛い動物が箱の中で震えていた。
「連れて帰りたいけど、家族がなぁ。
でも、このままだと体温が奪われて死んでしまう。
……この子を見捨てることなんて出来ないよ!」
手を差し伸べると、フンフンと匂いを嗅いだ後でペロペロと手を舐め、子猫のように喉をゴロゴロと鳴らし擦り寄って来た。
「可愛い。
今だけ服の中にいてね。
あと……静かにしてくれると嬉しいなって、言葉分からないよね」
家に着くと、私専用のタオルで、可愛い動物さんの汚れた身体を優しく拭き。
念の為、静かにするよう言い聞かせ、温かくて美味しいご飯を食べたあと、暖かいお布団で一緒に寝ることにした。
体全体が焦げ茶色でたてがみが透き通るような金色、羽と尻尾は黒色……名前があった方がいいだろうと考えた私は、思いついた名を呼んだ。
「名前があった方が良いから……そうだなぁ……君の瞳の色は蘇芳色だから名前は『スオウ』今日からスオウよ」
『クルクルクル~~』
手の甲をペロペロと舐めて『いいよ』と合図をくれた。
「スオウ、暖かい。
大好きだよ」
寝ていると柔らかくて温かい何かが額に触れてる感触があったが、それがなんだか気持ちよくてずっと触れていて欲しいと思いながら、うっすら目を開けると頭はぼんやりとしている。
(スオウ? 目が光ってる……額に肉球? 面白い夢)
私は夢の中の出来事だと思っていた。
だが、触れていたのは不思議な動物の肉球で、蘇芳色の瞳が光ると肉球も淡い光が発したあと、額に『印』を刻まれたことはまだ誰も知らない。
目が覚め、横を見るとスオウは可愛い寝顔をしていた。
(昨夜見たのは夢だったんだわ)
あれから親を説得し、飼育許可を貰った。
私にとって大切な家族はこの子だけ。何をするにも一緒だった。
この子とこのまま幸せな生活が続けば良いのにと思っていたが、現実ではそうもいかない。
そんなことを考えていた翌日、家族で出かける予定の日だった。
窓を少し開け、出入りが出来るようにし。
「これが朝とお昼のご飯よ。
夜は私が買って来るからね。
行ってきます」
可愛いスオウの頭にキスをし、手を振って家族と歩きながら移動中、昔の事を考えていた。
幼い頃から友達もいなくて酷いイジメにあっていた私は、家族からも疎まれ。
兄の妻である義姉には、酷いイビリを受ける毎日。
そんな不運な私は家族の手によって、交差点で背中を押され事故に見せかけて殺された。
ドンッ!
「……えっ……」
キキキキィィィィーーーーッッ!!
ドンッッッッ!!!!
その頃、可愛いスオウの姿は消えていた。
ゆっくり目を開けると、真っ白な世界?
ここはどこなんだろう?
人がいる……よく見ると、スラっと高身長でモデル並みのイケメンな青年と胸が豊満でスタイル抜群な美女が立っていた。
「小川月さん、初めまして。単刀直入に言います。
あなたはお亡くなりになりました」
「……私が……し…んだ……」
何を言われたのか考えが追いつかず私は呆然と立ちすくみ、部屋に置いてきた可愛いスオウのことが頭によぎり、心から謝った。
(あの子を置いて来てしまった。
スオウごめん、ごめんなさい)
スタイル抜群な女性は、俯いた私の背中を摩り話しかけて来た。
「あなたがいた場所は、酷い環境でした。
よく耐え抜き、頑張りましたね。
そんなあなたにお願いがあります」
「……何でしょうか?」
「月さんはあるお方の主に認められました。
ですが、亡くなってしまい肉体をこちらの世界へ連れて来ることが出来なかったのです。
ですが、こちらの世界の者の肉体に入っていただきたいのです」
こちらの世界の者の肉体って言ってたけど、どんな人なんだろ? 私の容姿が変わるってことなのよね。
どんな感じに変わるのか気になるけど。
まあ、少しは異世界に憧れてたこともあったし、あんな家族から離れることが出来たことが嬉しいけど、一つだけ心残りなのがスオウの存在だ。
(スオウ、ごめんなさい。あなたと過ごした毎日は楽しくて癒しだったよ。また会えた時はいっぱいナデナデするからモフモフさせてね。スオウの幸せを願ってるから)
「すうぅぅ、はあぁぁ」と深呼吸をし、異世界のことを考え、思った。
今の私にはピッタリな人生じゃない?
よしっ、行こう!
見たこともない異世界へ。
ガッ!
ズササァッ!!
私は石につまづいて転んだと同時に、頭を打った衝撃で何かを思い出した。
それは……前世(地球)の記憶だった。
──前世では──
小川月。25歳の有名なネトゲーの一流企業(ブラック企業)に勤めている。
独身で実家暮しだ。
一流企業に勤めている私は、家族にお金を搾取されているから実家暮らしだった。
家族は無職で働こうとはしない、それは私が年収1000万超えの高給取りで、そのお金を全て盗られている。
が、実は高校2年の頃に亡くなった大好きな祖父に、内密に名義変更をした株を売却した為、50億はある。
両親と祖父母は仲が悪く、遺産もあったようだが浪費したようだ。
だが、私の生活などは変わりなく、衣服はネットか古着の地味な格好だった。
私だってお洒落したり欲しい物を買いたい……でも、家族にお金を要求され、たかられ、せびり、最終的にはお金の催促までして来る始末。お金のありがたみを知らない家族は、私が稼いだお金を湯水のように豪遊する日々だが、毎月20万を渡すことでペット飼育の許可を得た私は、可愛い可愛いペットを飼うことが出来ている。
肩まである前髪を後ろへバッとかき上げ「はあぁぁぁ」と大きなため息を吐き。腕時計を見ると独り言を呟いていた。
「また睡眠時間は3時間なのね。
早く帰らなきゃ、あの子が寂しがってしまうわ」
あの子というのは、今から6年前に拾った私の可愛いペットだ。
あれは6年前、大企業に入社して間もない頃……。今日も残業のうえに食事する時間も無し、何でも良いから食べたい。
『……くぅーー……。
…クルル……』
帰宅途中、座っているベンチの下から動物の鳴き声がし、見てみると……子犬? 子猫? 羽根のようなモノと尻尾が3本に分かれているけど、何の動物かは分からない。
屈んでよく見ると、凄く可愛い動物が箱の中で震えていた。
「連れて帰りたいけど、家族がなぁ。
でも、このままだと体温が奪われて死んでしまう。
……この子を見捨てることなんて出来ないよ!」
手を差し伸べると、フンフンと匂いを嗅いだ後でペロペロと手を舐め、子猫のように喉をゴロゴロと鳴らし擦り寄って来た。
「可愛い。
今だけ服の中にいてね。
あと……静かにしてくれると嬉しいなって、言葉分からないよね」
家に着くと、私専用のタオルで、可愛い動物さんの汚れた身体を優しく拭き。
念の為、静かにするよう言い聞かせ、温かくて美味しいご飯を食べたあと、暖かいお布団で一緒に寝ることにした。
体全体が焦げ茶色でたてがみが透き通るような金色、羽と尻尾は黒色……名前があった方がいいだろうと考えた私は、思いついた名を呼んだ。
「名前があった方が良いから……そうだなぁ……君の瞳の色は蘇芳色だから名前は『スオウ』今日からスオウよ」
『クルクルクル~~』
手の甲をペロペロと舐めて『いいよ』と合図をくれた。
「スオウ、暖かい。
大好きだよ」
寝ていると柔らかくて温かい何かが額に触れてる感触があったが、それがなんだか気持ちよくてずっと触れていて欲しいと思いながら、うっすら目を開けると頭はぼんやりとしている。
(スオウ? 目が光ってる……額に肉球? 面白い夢)
私は夢の中の出来事だと思っていた。
だが、触れていたのは不思議な動物の肉球で、蘇芳色の瞳が光ると肉球も淡い光が発したあと、額に『印』を刻まれたことはまだ誰も知らない。
目が覚め、横を見るとスオウは可愛い寝顔をしていた。
(昨夜見たのは夢だったんだわ)
あれから親を説得し、飼育許可を貰った。
私にとって大切な家族はこの子だけ。何をするにも一緒だった。
この子とこのまま幸せな生活が続けば良いのにと思っていたが、現実ではそうもいかない。
そんなことを考えていた翌日、家族で出かける予定の日だった。
窓を少し開け、出入りが出来るようにし。
「これが朝とお昼のご飯よ。
夜は私が買って来るからね。
行ってきます」
可愛いスオウの頭にキスをし、手を振って家族と歩きながら移動中、昔の事を考えていた。
幼い頃から友達もいなくて酷いイジメにあっていた私は、家族からも疎まれ。
兄の妻である義姉には、酷いイビリを受ける毎日。
そんな不運な私は家族の手によって、交差点で背中を押され事故に見せかけて殺された。
ドンッ!
「……えっ……」
キキキキィィィィーーーーッッ!!
ドンッッッッ!!!!
その頃、可愛いスオウの姿は消えていた。
ゆっくり目を開けると、真っ白な世界?
ここはどこなんだろう?
人がいる……よく見ると、スラっと高身長でモデル並みのイケメンな青年と胸が豊満でスタイル抜群な美女が立っていた。
「小川月さん、初めまして。単刀直入に言います。
あなたはお亡くなりになりました」
「……私が……し…んだ……」
何を言われたのか考えが追いつかず私は呆然と立ちすくみ、部屋に置いてきた可愛いスオウのことが頭によぎり、心から謝った。
(あの子を置いて来てしまった。
スオウごめん、ごめんなさい)
スタイル抜群な女性は、俯いた私の背中を摩り話しかけて来た。
「あなたがいた場所は、酷い環境でした。
よく耐え抜き、頑張りましたね。
そんなあなたにお願いがあります」
「……何でしょうか?」
「月さんはあるお方の主に認められました。
ですが、亡くなってしまい肉体をこちらの世界へ連れて来ることが出来なかったのです。
ですが、こちらの世界の者の肉体に入っていただきたいのです」
こちらの世界の者の肉体って言ってたけど、どんな人なんだろ? 私の容姿が変わるってことなのよね。
どんな感じに変わるのか気になるけど。
まあ、少しは異世界に憧れてたこともあったし、あんな家族から離れることが出来たことが嬉しいけど、一つだけ心残りなのがスオウの存在だ。
(スオウ、ごめんなさい。あなたと過ごした毎日は楽しくて癒しだったよ。また会えた時はいっぱいナデナデするからモフモフさせてね。スオウの幸せを願ってるから)
「すうぅぅ、はあぁぁ」と深呼吸をし、異世界のことを考え、思った。
今の私にはピッタリな人生じゃない?
よしっ、行こう!
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