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最終戦

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 私達はディロールの王宮へと向かった。
 謁見の間にはディロールの王族が勢揃いしている。
 ソフィーリアの王はディロールの王に対して敬礼をしなかった。
 何故って、息子の番である前にこの世でただ一人しかいない大切な番であり娘であるからだ。
 その番がいなくなれば、この世界は破滅する。
 魔王が復活し、魔族と共に人間を襲い魔族や魔物だけの楽園になるだろう。

「我らが訪問した理由は分かっておろうな?」
「…………」
「ソフィーリアの者は皆、お主達を許さない。
 ユアへの不祥事や呪いでの下半身麻痺、許されない事なのだぞ!
 分かっておるのか!!」

 周りがビリビリとした恐怖に近い威圧が凄まじかった。

「…………」

 ディロール王はそれでも口を開こうとはしない。
 それどころか、私だけを憎たらしそうに睨んでいる。
 お父さんは温厚な人だと思っていたのに……鬼瓦の様に豹変? いや、覚醒をした。

「おらっ、おいてめぇらよ……俺の娘に何をした。
 何をしたかって聞いてるんだ!
 てめぇの息子は俺の大事な娘にした事、分かってるんだよなぁ?」
「わ、わしはディロールの王だぞ……お、お前が気安く話して良い相手では……」
「ピーピー、ピーピーやかましい!!
 俺らはこの世界の者じゃねえんだよ、責任をとってもらうぞ!」
「責任とはなんだ!
 この女をわしの妃にしろとでも言うのか?」
「てめぇは馬鹿か?
 誰がてめぇの様なジジイに大切な娘をやる父親がいんだ、あぁん!!
 死ぬまで地下牢に入ってろや!
 この程度で済むんだ、感謝しろよ!!」

 お父さんの元ヤン言葉……初めて聞いたな。

「おいっ!
 返事は? こっちは話をしに来てんだよ!
 返事くらいしろやボケが!!」
「っっっ!!
 うえぇぇーーっ!
 お母さんの天然キャラが……もしかして、お母さんも元ヤン?」
「おほほほ。
 あら、やだわ。
 冗談よ冗談」

 ユアンとジンはディロールの騎士に王を地下牢に入れるよう伝えていた。
 ディロールは第一王妃の息子である王子が新たな王となった。

 桜さんの具合が悪く、ローミン先生の的確な指示で体調も良くなりつつあった。
 ディロールの男性達は、ソフィーリアの皇女様方を見て鼻の下をのばしている。
 皇女様方を見れば誰でもメロメロになるの分かるわ。

 私からすれば、桜さんやレイン様・ハーティー様・ジーナ様にソフィーリアにいる皆様も凄く美しいし……羨ましいって思うよ。
 あのアホな5人組連中と悪徳王は地下牢に入ったし、これでおしまい……だよね?

「これでディロールも大丈夫だね。
 思ったんだけど、ディロール王が代わるならソフィーリアとの線引きしなくても良いんじゃないのかな?」
「……新しい王よ。
 今後の政務を期待しているぞ!」
「はい!」
「うむ、良い返事だ」

 オールと微笑み合い。

「良かったね!」
「あぁ、争いが無くなるのが一番だ」

 ユアンの目が第二王妃を捉えて見逃さなかった。

「おい待て。
 この第二王妃も地下牢に入れろ!
 この女も同罪だ。
 ルリナと手を組んでいた事は調査済みなんだよ!」
「……チッ……」

 えぇーー、今舌打ちしたよね?
 異世界に憧れてたけど、実際は怖い事がいっぱいなんだって分かったよ。

 一緒にディロールに来てくれた皆、ありがとう。
 みんな大好きだよ。
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