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ルリナ様とその取り巻き

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 私がルリナ様の足を引っ掛けた?
 ここから? どうやって?
 長い棒を使わない限り届かない距離だと思うのですが?

「あぁ、可哀想なルリナ様。
 おい! そこの不吉な女、謝れよ!」
「ルリナ様、血が……。
 こんな酷い怪我をさせて、穢れた女謝れよ!」
「ルリナ様の可愛い顔が。
 お前、謝ったらどうなんだ!」
「俺のルリナが!
 痛かったよな?
 お前……許さないからな!
 ディロール次期王妃に対しての態度、不敬に値する!
 誰か、この女を拘束し牢へ入れろ!!」

 周りの皆は『またか』『あの距離感でどうやって足を引っ掛けれるんだ?』『普通に考えたら分かるだろう』『普通が分からないから非常識な事しか言えないんでしょう』などとヒソヒソと囁かれている。
 それもそうだ。
 オールとジンの背後にいたし、ルリナ様達との距離が遠すぎる。
 どうやって足を伸ばして引っ掛ける事が出来るんだろ?
 このアホな脳内お花畑トリオは……毎日絡んで来るんだろうな。

「オールーー、ジンーー。
 この女に怪我を……ねえ! 何か言ってよ!
 オール……」

 オールに抱きつこうとしたので、私は前に出て両手を広げて阻止をした。

「わたくしのオールに気安く触らないで下さい。
 ジンにも触れないで!
 ……レイン様の婚約者であるマウロ様、今の状況を考えて行動して下さい。
 ハーティー様の婚約者のヨーシュア様も、後から後悔しても知りませんよ?
 これ以上は言いません、ルリナ様の婚約者は第二王子であるヴァンロット殿下様だけです。
 分からないのですか?
 もう一度言います……の婚約者ではありません!」

 ルリナ様の取り巻きはお互いに顔を見合わせていたが、ルリナ様が何かを呟いた後、目が一瞬だけ虚になりルリナ様をうっとりした瞳で見つめだしている。

「……?」

   何か変だな? とは思っていたが、考えても分からなかった。
 私は考えるのを止めた。
 
 ここで言い合ってても疲れるだけだわ。

「皆様、そろそろ帰りましょうか?」
「そうですわね。
 ユア様、ごきげんよう」
「ええ、また明日会えるのを楽しみにしていますわ。
 皆様、ごきげんよう」

 レイン様とハーティー様は帰路につき。
 私もオールと帰ろうとしたのだが、ルリナ様がしつこいのです!
 
 オールとジンはルリナ様と取り巻き軍団を完全無視をし、ルークに乗って帰路についた。
 ルリナ様が叫んでいたけど、聞こえなかったし。
 放置よ放置!

 明日もルリナ様の非常識な行動や話し方に振り回されるんだろうな。
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