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お兄ちゃんの婚約者

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「お母さん、こっちの料理終わったよ」

 実は私って勉強やスポーツだけではなく。
 家事全般が超がつくくらい得意だった。
 まあ、ゲームや異世界ものの漫画に比べたら家事は劣るんだけどね。
 っと、百面相してる場合じゃなかった。
 あとはサラダだけだし、私はデザートでも作ろうかなぁ。

「あら、もう終わったの?
 相変わらず手際が良いわね」
「お母さん、私デザート作るね。
 パウンドケーキにしよう」

 ボウルの中に湯煎で溶かしたバターに砂糖入れて。
 カチャカチャ混ぜ合わせて、ベーキングパウダーと小麦粉を少しずつ入れて。
 カチャカチャ、カチャカチャ。
 バニラエッセンスも入れて
 型に流し込み、180度に予熱したオーブンで40分焼く。
 その間に苺とブルーベリーを用意して
 生クリームをハンドミキサーで混ぜて「ふぅ~」完成。

 お兄ちゃんと婚約者さんに食べてもらうんだから気持ちをイ~ッパイ! 込めなきゃね。

 テーブルに料理を置いていき
 準備OK!

 ピ~ンポ~ン!

 来たぁ!
 私は邪魔にならないようにリビングで待機。
 うぅぅ。
 ドキドキする。
 私がドキドキしてどうするのって話だよね。
 婚約者さんの方が倍以上に緊張してるのに。


「翔太翔太しょうた、おかえりなさい。
 まぁ、凄く可愛らしいお嬢さんね」

 お母さんは天然だから嘘が言えない人。
 だから、婚約者さんは凄く可愛いのだろう。

「翔太、おかえり。
 さぁ、上ってくれ」

 お父さん、普通の挨拶だよね。
 もっと、こう『綺麗なお嬢さんだ、良くやった! さすが俺の息子!』とかさ。
 期待してたんだけどなぁ。

「は、初めまして、わ、私は山田桜山田桜やまださくらです。
 宜しくお願い致します」
「桜さん、さぁ上って」
「はい、お邪魔致します」

 桜さんって言うんだ。
 かなり緊張してるね。
 足音が近づいて来た。


 ガチャッ!

 うわぁ~、萌え~って感じでカワユイ!
 お兄ちゃんをスルーして、婚約者である桜さんの前に行き。
 緊張して震えてる桜さんに笑顔で挨拶した。

「桜さん、初めまして。
 妹の優愛です」

 小さい声で、桜さんにだけ聞こえるように。

「大丈夫だよ」

 これって普通はお兄ちゃんが気遣うとこだよね?
 こういうのは、鈍感? なんだろうな。
 桜さんには優しくニコニコ顔の私は、お兄ちゃんを『ジト目』で見た後、桜さんの緊張を取ってあげるのはお兄ちゃんの役目でしょうが! と、一人ツッコミを心の中で連発中!
 お兄ちゃんに肘で合図を送った。
 お兄ちゃんは緊張している桜さんの手を引いてテーブルまで誘導していた。

「私ね凄く緊張してて、どうしようって思ってたけど
 皆さんの気遣いのお陰でなんとか大丈夫みたいです。
 ありがとうございます」
「桜さん。
 私は妹になるんだから敬語は要らないよ。
 ねっ」

 ウインクしながら人差し指を立てて言った。
 桜さんの顔真っ赤だ。
 でも、嬉しそうにクスクスと皆で笑いあった。

「桜、大丈夫だっただろ?
 俺の自慢の家族だ」

 お兄ちゃんは頼りになって尊敬出来るんだけど、少しで良いから女の子の気持ちを感じ取ってあげてよ。

「さぁ、皆でご飯食べようよ」

 本題の話はご飯を食べて落ち着いた時にデザートを食べながら話せば良いんだし。
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