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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
由海広さんにセクハラするだけ
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燃夏くんと遊びに出掛ける日の朝は早い。
前日のうちにおおまかに昼過ぎまでの
予定を立てて、目的地近くの
いいお店を探して昼食を済ませ、
帰ったら夜まで、好きなだけ二人で…
甘い時間を過ごす。
今日は天気も良かったし、
ドライブを満喫して楽しかった。
あとは食事をするだけ、だったが…
「………もふ…もふ…。」
由海広はファストフードの
バーガーをしんみりしながら口に運ぶ。
柔らかな日差しの差し込むいい席を
選んだのにお通夜のような雰囲気に
正面に座った燃夏も苦笑いしていた。
「海さん、そんなにどんよりしてたら
バーガーの味、分からないでしょ?」
「うん…」
「ここCMで新しいコーヒーが出たって
海さん気にしてたじゃないですか。
味わえるいいチャンスでしたよ。」
「うん…ごめんね。」
怒られている訳でもないのに謝る。
気まずい空気にしてるって自覚もある。
だけど、ショックで悲しい…。
「モカくんお肉食べたかったでしょ?
なのに私がちゃんと店の時間を
調べてなかったから…こんな…。」
そうだ、思い出すだけで切なさで
胸が締め付けられるようだ。
今日のドライブはついでで、
本当は昼食を奮発して有名な
焼き肉の店に行く予定だった。
その店は会社でも有名で、話したとき
モカくんもとても嬉しそうだった。
メニューを調べたり住所を調べて、
あとは明日行くだけ…と思ったら
昼の間、お店は…休み。
完全に調査不足。思わせ振りなことを
言っただけで、行けなかった。
絶望で意気消沈していたら、
モカくんが気を遣って近くの
ファストフードで昼食を摂ることに。
「これも肉ですし。それに俺は、
いい肉を一人で食べるより海さんと
二人で食事ならどこでもいいんですよ」
「モカくん…うん、ありがとう。」
その優しさにいつも救われてます…。
胸がじんと熱くなる。
そうだ、いつまでも拗ねてる方が
ずっとみっともない。
しゃきっとしよう。
「海さん、そんなに俯かないで
顔を上げてください。俺、海さんの
笑顔が大好きですから。」
「ふあっ、ちょ、モカくん…っ!」
爽やかな笑顔でサラリと言われ
慌てて姿勢を低くして周りを見る。
通路があるとは言え、隣の席には
若い婦女子が楽しそうに話してるんだ。
それにお昼時なので
店は結構混んでいる。
どこの席にも人がいる。
あまり大きな声で言われると
誰かに聞こえるかもしれない。
それはちょっと恥ずかしい…。
「あわわ…」
「くすっ♡海さんかーわい。」
顔を赤くして狼狽えていると
彼はニコニコ笑う。
これを狙ってたのかな…?
余計に顔が熱くなる。
他の視線が気になってしまい、
どぎまぎしながらコーヒーを
下顎にぶつけた。
普通に飲みたかっただけなのに…
その様子もしっかり彼に見られた。
…恥ずかしい。
「…そうだ海さん、知ってますか?」
「ん?」
意識が周囲からモカくんへ向かう。
彼が口の横に手を当てて声を
ひそめるので、つられて身を屈めた。
「アレって、食べるもので味が
変わるらしいですよ?」
「…??あれ、って?」
モカくんは特別楽しそうに、
やらしい顔でニッコリ笑った。
「海さんが苦手な、アレです♡」
「………。」
ちょいちょい、と指を下に向ける。
指の動きを視線で追いかけて、
隠された意味を考えてみる…と…。
「……っ!!!」
顔全体が、ぶわっと熱くなる。
もしかして彼が言ってるのって…?
「あ、アレ…っ?」
「そう、アレです♡」
「~~っ!!??」
おじさんは濁した言い方だけで
熱い顔を使ってお茶でも
沸かせそうなのにどうして君は
そんなに爽やかなんだ…!?
い、いやいやここで彼のペースに
巻き込まれてはいけない。
ここは大人の余裕を見せて、
冷静に話を流すのが正解だろう。
視線が向いていないとはいえ店内だ。
動揺しすぎると怪しまれる…
おじさんが。
「ん、んっ。こほん。」
咳払いをアピールして、
気持ちを安定させるために
コーヒーを一口…
「そうそう、コーヒー飲む人の
アレは苦いそうですよ。」
「ぶはっ…!ごほごほごほほっ!」
真下に吹き出したコーヒーで
盛大にむせる。
き、気管に入った…!
「大丈夫ですか?♡」
「ぜーっぜーっぜーっ…」
周りの視線をチラチラ感じつつも
モカくんは笑顔でテーブルを
拭いてくれる。
まるで想定内と言わんばかりに…。
こっちを向いた視線にぺこりと
頭を下げる。
「そ、そんなのどこで情報
仕入れてるの…!?」
声量を落として純粋に
気になることを尋ね、ペーパーで
シャツの裾を拭いた。
あぁ、お気に入りだったけど染みに…
「えーと何で見たんでしたっけ…。
誰から聞いたんでしたっけ…。
…まぁ情報源は忘れたので
正確なものじゃないかもしれませんが
他にも面白い話があるんです。」
「あ、あとで聞くよ…」
まだ誰かこっちを見てるかもしれない。
視線だけで周囲を警戒していると
構わずモカくんは耳打ちした。
「食べたものに影響するそうなので
俺のアレは甘い方らしいですよ♡
なので好き嫌いせずに飲んで下さい♡」
「~~~っ!!!」
顔が燃えそう…
かつて他人のいる前で
こんなに赤面したことがあるだろうか
…いや、ない…!
なんて反語使ってる場合じゃなくて、
こんなのセクハラだ…っ!
おじさんが言ったら即お縄だろうけど
うっう…モカくんはめちゃくちゃ
イケメンさんだから、下ネタも
どこか爽やかだ…何故…!
「早速実践しますか?♡」
「……って…」
「んっ?」
「だってそんなのしらない…私は…
モカくんの味しか…しらないんだもん…」
小声で泣きそうに呟いた。
「~~っ!♡」
モカくんがぐっと胸を抑える。
「それは…これからも俺だけに
してくださいね♡」
「うん…♡」
あれ?モカくんも顔が赤い。
知らないうちに私もセクハラ返し
出来たのかな?
ちょっと勝った気分…。
食べかけのバーガーにかぶりつく。
お肉もソースもとっても美味しい。
たまにはこんな日も…いいのかな。
おしまい♪
前日のうちにおおまかに昼過ぎまでの
予定を立てて、目的地近くの
いいお店を探して昼食を済ませ、
帰ったら夜まで、好きなだけ二人で…
甘い時間を過ごす。
今日は天気も良かったし、
ドライブを満喫して楽しかった。
あとは食事をするだけ、だったが…
「………もふ…もふ…。」
由海広はファストフードの
バーガーをしんみりしながら口に運ぶ。
柔らかな日差しの差し込むいい席を
選んだのにお通夜のような雰囲気に
正面に座った燃夏も苦笑いしていた。
「海さん、そんなにどんよりしてたら
バーガーの味、分からないでしょ?」
「うん…」
「ここCMで新しいコーヒーが出たって
海さん気にしてたじゃないですか。
味わえるいいチャンスでしたよ。」
「うん…ごめんね。」
怒られている訳でもないのに謝る。
気まずい空気にしてるって自覚もある。
だけど、ショックで悲しい…。
「モカくんお肉食べたかったでしょ?
なのに私がちゃんと店の時間を
調べてなかったから…こんな…。」
そうだ、思い出すだけで切なさで
胸が締め付けられるようだ。
今日のドライブはついでで、
本当は昼食を奮発して有名な
焼き肉の店に行く予定だった。
その店は会社でも有名で、話したとき
モカくんもとても嬉しそうだった。
メニューを調べたり住所を調べて、
あとは明日行くだけ…と思ったら
昼の間、お店は…休み。
完全に調査不足。思わせ振りなことを
言っただけで、行けなかった。
絶望で意気消沈していたら、
モカくんが気を遣って近くの
ファストフードで昼食を摂ることに。
「これも肉ですし。それに俺は、
いい肉を一人で食べるより海さんと
二人で食事ならどこでもいいんですよ」
「モカくん…うん、ありがとう。」
その優しさにいつも救われてます…。
胸がじんと熱くなる。
そうだ、いつまでも拗ねてる方が
ずっとみっともない。
しゃきっとしよう。
「海さん、そんなに俯かないで
顔を上げてください。俺、海さんの
笑顔が大好きですから。」
「ふあっ、ちょ、モカくん…っ!」
爽やかな笑顔でサラリと言われ
慌てて姿勢を低くして周りを見る。
通路があるとは言え、隣の席には
若い婦女子が楽しそうに話してるんだ。
それにお昼時なので
店は結構混んでいる。
どこの席にも人がいる。
あまり大きな声で言われると
誰かに聞こえるかもしれない。
それはちょっと恥ずかしい…。
「あわわ…」
「くすっ♡海さんかーわい。」
顔を赤くして狼狽えていると
彼はニコニコ笑う。
これを狙ってたのかな…?
余計に顔が熱くなる。
他の視線が気になってしまい、
どぎまぎしながらコーヒーを
下顎にぶつけた。
普通に飲みたかっただけなのに…
その様子もしっかり彼に見られた。
…恥ずかしい。
「…そうだ海さん、知ってますか?」
「ん?」
意識が周囲からモカくんへ向かう。
彼が口の横に手を当てて声を
ひそめるので、つられて身を屈めた。
「アレって、食べるもので味が
変わるらしいですよ?」
「…??あれ、って?」
モカくんは特別楽しそうに、
やらしい顔でニッコリ笑った。
「海さんが苦手な、アレです♡」
「………。」
ちょいちょい、と指を下に向ける。
指の動きを視線で追いかけて、
隠された意味を考えてみる…と…。
「……っ!!!」
顔全体が、ぶわっと熱くなる。
もしかして彼が言ってるのって…?
「あ、アレ…っ?」
「そう、アレです♡」
「~~っ!!??」
おじさんは濁した言い方だけで
熱い顔を使ってお茶でも
沸かせそうなのにどうして君は
そんなに爽やかなんだ…!?
い、いやいやここで彼のペースに
巻き込まれてはいけない。
ここは大人の余裕を見せて、
冷静に話を流すのが正解だろう。
視線が向いていないとはいえ店内だ。
動揺しすぎると怪しまれる…
おじさんが。
「ん、んっ。こほん。」
咳払いをアピールして、
気持ちを安定させるために
コーヒーを一口…
「そうそう、コーヒー飲む人の
アレは苦いそうですよ。」
「ぶはっ…!ごほごほごほほっ!」
真下に吹き出したコーヒーで
盛大にむせる。
き、気管に入った…!
「大丈夫ですか?♡」
「ぜーっぜーっぜーっ…」
周りの視線をチラチラ感じつつも
モカくんは笑顔でテーブルを
拭いてくれる。
まるで想定内と言わんばかりに…。
こっちを向いた視線にぺこりと
頭を下げる。
「そ、そんなのどこで情報
仕入れてるの…!?」
声量を落として純粋に
気になることを尋ね、ペーパーで
シャツの裾を拭いた。
あぁ、お気に入りだったけど染みに…
「えーと何で見たんでしたっけ…。
誰から聞いたんでしたっけ…。
…まぁ情報源は忘れたので
正確なものじゃないかもしれませんが
他にも面白い話があるんです。」
「あ、あとで聞くよ…」
まだ誰かこっちを見てるかもしれない。
視線だけで周囲を警戒していると
構わずモカくんは耳打ちした。
「食べたものに影響するそうなので
俺のアレは甘い方らしいですよ♡
なので好き嫌いせずに飲んで下さい♡」
「~~~っ!!!」
顔が燃えそう…
かつて他人のいる前で
こんなに赤面したことがあるだろうか
…いや、ない…!
なんて反語使ってる場合じゃなくて、
こんなのセクハラだ…っ!
おじさんが言ったら即お縄だろうけど
うっう…モカくんはめちゃくちゃ
イケメンさんだから、下ネタも
どこか爽やかだ…何故…!
「早速実践しますか?♡」
「……って…」
「んっ?」
「だってそんなのしらない…私は…
モカくんの味しか…しらないんだもん…」
小声で泣きそうに呟いた。
「~~っ!♡」
モカくんがぐっと胸を抑える。
「それは…これからも俺だけに
してくださいね♡」
「うん…♡」
あれ?モカくんも顔が赤い。
知らないうちに私もセクハラ返し
出来たのかな?
ちょっと勝った気分…。
食べかけのバーガーにかぶりつく。
お肉もソースもとっても美味しい。
たまにはこんな日も…いいのかな。
おしまい♪
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