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③本編↓未工事(すごいえちえち)背後注意でお楽しみください。
休日鑑賞会 前編
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「うーん…」
折角恋人の燃夏くんと半日休みが
被ったのでお出かけしようと思ったけど、
今日の天気は生憎の雨。
たまにはお家デートをしようと
いうことになって
近所のレンタルビデオショップに
やってきていた。
燃夏が面白い映画担当で、由海広は
アクション映画担当だった。
「新しいDVDを発掘する!」
ということで無難に有名なものや、
観たことのある映画はルール違反になる。
ちなみに検索も禁止された、
要するに男の勝負だ。
負けても特に罰ゲームはないけど、
男の、年上としてのプライドがある。
…大体負けるけど。
いやいや今日こそ勝つんだ由海広!
…しかし、普段好みの映画が
純愛かホラーかの極端に偏る由海広は、
異色のアクションを探さなければならない。
「うぅん…こっち…いや、あれも…」
店の屋根に打ちつけられる
くぐもった雨の音を聞きながら、
アクションコーナーで頭を抱えていた。
名前をよく聞くタイトルばかりに目がいく…
それに、アクションは
内容を外したらまずい。
負けが確定する…。
ばかばかっ、勝負する前から敗北を
考えてどうする!
唯一閲覧を許可されている
裏面のレビューでなんとか吟味する。
「海さん、まだ悩んでるんですか?」
奥の棚からひょいっと
モカくんが覗いてくる。
すでにDVDを持っている。
…しかし二本。
「…二本はルール違反だよ?」
「…観たくなっちゃって…。」
照れくさそうに頬を染めながら
国民的アニメの映画を見せてくる。
…かわいい。子供向けじゃないか…。
「まあ、二本あっても私が勝てばいい話さ。
ふっふっふ。」
伸ばした親指と人差し指を顎に当てて
キリリとポーズをキメた。
「決まったんですか?」
「んっ、これにするっ。」
ド派手な爆発シーンが印象的な
観たことない映画を選び、
ケースから抜き取る。
「ほい、レンタルしてくるよ。」
「はーい。」
モカくんのDVDを預かって
レジに向かい、滞りなくレンタルする。
帰りの車で、どんな展開になるか
予想する話題で盛り上がる。
「私はきっと、主人公がエイリアンに
なるんだと思う。」
「ふふっ、エイリアン出てきてなかった
じゃないですかっ…くっくっく…っ」
「こういうのは、
読めない展開こそ案外正解だと見た!」
「ふふっ、俺だってですね…」
視界の悪い道路を安全運転で帰宅する。
車から降りて家に着くまでに
少し雨で濡れたので、
玄関に置いておいたタオルで頭を拭く。
「海さん、頭全然拭けてないですよー」
「わっとと…むぅ、私を見下ろさないで…」
「ふはっ、かーわいー。」
たった六センチ差で頭頂部の拭き残しを
指摘されむくれるが、素直に頭髪を
拭いてもらう。
おかげでさっぱりしたけど、
なんか敗北感…。男として…。
モカくんはカラカラ笑ってる。
のんびりリビングへ向かい
モカくんがDVDをセットする間、
私は台所でおやつを準備する。
モカくんにはココア。私はコーヒー。
そして、チップ系のお菓子を三袋、
贅沢に開けるのだ。
「ありがとう、海さん。」
「ん。」
お盆に載せて運び、テーブルに置く。
ソファーの隣でモカくんに密着して座る。
モカくんが肩に手を回して、額に軽く
キスをしてくれる。
これしてもらうの好きなんだよなぁ…。
ちょっと甘えて寄り添いつつ、
DVDをスタートする。
モカくんが選んだ映画はゾンビお笑い映画。
ゾンビのあるあるネタで巧みに笑いを
さそってくる。
暗い雰囲気はなく、
最後までコメディを貫いた。
「はあはあっ…笑いすぎてお腹痛い…」
「くっくっく…っふふっ、」
お互い笑い疲れで息を切らす。
やるじゃないか…私の好きなホラー系を
絡ませた高等テクニックだ。
エンディングで呼吸を整えた。
「しかし、負けないよっ。
さあ、私のDVDのターンだ!」
「その前にココアおかわり下さい。」
「はいはい、待っててね。」
「ありがとうございます。」
ココアのおかわりを注ぎにいく。
つづきます→
折角恋人の燃夏くんと半日休みが
被ったのでお出かけしようと思ったけど、
今日の天気は生憎の雨。
たまにはお家デートをしようと
いうことになって
近所のレンタルビデオショップに
やってきていた。
燃夏が面白い映画担当で、由海広は
アクション映画担当だった。
「新しいDVDを発掘する!」
ということで無難に有名なものや、
観たことのある映画はルール違反になる。
ちなみに検索も禁止された、
要するに男の勝負だ。
負けても特に罰ゲームはないけど、
男の、年上としてのプライドがある。
…大体負けるけど。
いやいや今日こそ勝つんだ由海広!
…しかし、普段好みの映画が
純愛かホラーかの極端に偏る由海広は、
異色のアクションを探さなければならない。
「うぅん…こっち…いや、あれも…」
店の屋根に打ちつけられる
くぐもった雨の音を聞きながら、
アクションコーナーで頭を抱えていた。
名前をよく聞くタイトルばかりに目がいく…
それに、アクションは
内容を外したらまずい。
負けが確定する…。
ばかばかっ、勝負する前から敗北を
考えてどうする!
唯一閲覧を許可されている
裏面のレビューでなんとか吟味する。
「海さん、まだ悩んでるんですか?」
奥の棚からひょいっと
モカくんが覗いてくる。
すでにDVDを持っている。
…しかし二本。
「…二本はルール違反だよ?」
「…観たくなっちゃって…。」
照れくさそうに頬を染めながら
国民的アニメの映画を見せてくる。
…かわいい。子供向けじゃないか…。
「まあ、二本あっても私が勝てばいい話さ。
ふっふっふ。」
伸ばした親指と人差し指を顎に当てて
キリリとポーズをキメた。
「決まったんですか?」
「んっ、これにするっ。」
ド派手な爆発シーンが印象的な
観たことない映画を選び、
ケースから抜き取る。
「ほい、レンタルしてくるよ。」
「はーい。」
モカくんのDVDを預かって
レジに向かい、滞りなくレンタルする。
帰りの車で、どんな展開になるか
予想する話題で盛り上がる。
「私はきっと、主人公がエイリアンに
なるんだと思う。」
「ふふっ、エイリアン出てきてなかった
じゃないですかっ…くっくっく…っ」
「こういうのは、
読めない展開こそ案外正解だと見た!」
「ふふっ、俺だってですね…」
視界の悪い道路を安全運転で帰宅する。
車から降りて家に着くまでに
少し雨で濡れたので、
玄関に置いておいたタオルで頭を拭く。
「海さん、頭全然拭けてないですよー」
「わっとと…むぅ、私を見下ろさないで…」
「ふはっ、かーわいー。」
たった六センチ差で頭頂部の拭き残しを
指摘されむくれるが、素直に頭髪を
拭いてもらう。
おかげでさっぱりしたけど、
なんか敗北感…。男として…。
モカくんはカラカラ笑ってる。
のんびりリビングへ向かい
モカくんがDVDをセットする間、
私は台所でおやつを準備する。
モカくんにはココア。私はコーヒー。
そして、チップ系のお菓子を三袋、
贅沢に開けるのだ。
「ありがとう、海さん。」
「ん。」
お盆に載せて運び、テーブルに置く。
ソファーの隣でモカくんに密着して座る。
モカくんが肩に手を回して、額に軽く
キスをしてくれる。
これしてもらうの好きなんだよなぁ…。
ちょっと甘えて寄り添いつつ、
DVDをスタートする。
モカくんが選んだ映画はゾンビお笑い映画。
ゾンビのあるあるネタで巧みに笑いを
さそってくる。
暗い雰囲気はなく、
最後までコメディを貫いた。
「はあはあっ…笑いすぎてお腹痛い…」
「くっくっく…っふふっ、」
お互い笑い疲れで息を切らす。
やるじゃないか…私の好きなホラー系を
絡ませた高等テクニックだ。
エンディングで呼吸を整えた。
「しかし、負けないよっ。
さあ、私のDVDのターンだ!」
「その前にココアおかわり下さい。」
「はいはい、待っててね。」
「ありがとうございます。」
ココアのおかわりを注ぎにいく。
つづきます→
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