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第二章

おやすみの時間

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露天風呂から上がった僕達は下階の寝室へ行きました。

「寝床があるのはありがたいけど……何でベットが一つしかないの?」

其処には大人一人分のシングルベットが一つしかありませんでした。

「仕方ないだろ此処は宿って訳じゃないんだから」
「でもまぁ、カウル君小さいから二人でも寝れると思うよ」

ニヤけ顔でラミさんは僕達を見ながら言いました。

「待て、流石に今日会った者とベットを共にするのは心苦しいだろ」
「此処はカウルさんが使ってくれ」
「そんな、僕は床で寝ますからセイラさんベットを使って下さい」
「遠慮しなくても良い。いきなりこの世界に来てまだ初日。私よりずっと心身の疲労が溜まってるはずだ」
「だから貴方が使うべきだ」
「で、でもセイラさんだって……」
「ちょっと二人共……何互いに謙遜してるの?良いじゃん二人で寝れば」
「それじゃカウルさんの心身が休まらないって言ってるだろ」
「だめですよ。セイラさんしっかり休まないと」
「んもう!二人共変に強情なんだから」
「私は下の居間で寝かせてもらう」

呆れてるラミさんの横をセイラさんはさっとり抜け、下に降りる強硬手段に出ました。

「おっと、ストップ。それじゃセイラ君が休まらないだろ」

それをラミさんは手を広げ静止させました。

「止めるなラミ。居間が駄目なら何処で寝れば良い?」
「君は地下にある私の寝室を使えば良いよ」
「ならラミはどうする?」
「この後深夜まで掛かりそうな仕事があるからそのまま居間のソファーで寝るよ」
「え、まだお仕事があったのですか!?それなのに僕のお世話してくれて……」
「良いんだよ私も君達と素敵な時間が取れたからハッピーさね」
「だから今日は私のベットは空いてるよ」
「それで良いのか?」
「勿論」
「……分かった。その言葉に甘えさせてもらう」

そしてセイラさんは改めて僕の方へ体を向けました。

「カウルさん……今更だが事に巻き込んでしまい……本当に申し訳ない」

そう言いながらセイラさんは深く頭を下げました。

「セ、セイラさん!それもう止めて下さい」
「そうだよ。流石に引きずりすぎだよセイラ君」
「しかし……」
「良いかい。今起こってる出来事は必然なんだよ」
「セイラ君は自身の願いを叶える為に全力を尽くせば良い」
「それがカウル君の願いにもつながる」
「はい。セイラさん一緒に王女様を救いましょう」
「カウルさん……ありがとう」

顔を上げたセイラさんの表情がふっと柔らかくなってた気がしました。


「カウルさん、ラミ。おやすみ」
「おやすみなさいセイラさん」
「はい。おやすみ」

セイラさんはラミさんの寝室がある地下へ降りて行き、僕はベットの中に入りました

(すごいふかふかだ……それに暖かくて気持ちいい)

ベットからは太陽の木漏れ日の様な優しい香りがしました。

(はぁ……いきなり異世界に来てセイラさん達に出会って……色々な事を経験して……今日は本当に……疲れた……ふあぁ……)

「ちゃんと寝れそうかいカウル君?」
「はい……とっても気持ちいいです」
「それは良かった。眠れないなら子守唄でも歌って上げようと思ったけどその必要は無いか」
「はい……おき、ずかい……あり、がとう……」

強い眠気が押し寄せ、僕の意識は深い夢へ誘われて行きました。


「……すぅ……すぅ……」
「ふふ、寝顔も可愛いね君は」
「お休み……私達の希望」
私はカウル君の優しい寝顔にそっと触れると静かに部屋を出た。

次回 『品定め』
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