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2 嫌われるのもなかなか大変です

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「で、学園での生活はどうだ、ジェイミー?」

「……まあまあです」

「ふん、そうか。まあ所詮は馴れ合いだからな。要は人間関係などビジネスに過ぎん。将来性がある生徒とだけ仲良くしておけばよいのだ」

「そう、ですね……」

 学園に通い出して早二ヶ月。
 貴族社会のミニチュア版、みたいな世界で俺の精神はゴリゴリに削られていた。

 学園の中はまさに父が言うように、一見、お上品に見えても、将来を見据えて損か得かで人付き合いを決めるような生徒ばかりだった。
 それもまた生存戦略のひとつだし悪いことじゃないと思うけど、なんとなく後味悪い気持ちにはなる。
 他にも自分より格下と見るや、見下したり嘲ったりする奴、足の引っ張り合いをする奴……。そんな成り上がりをもくろむ輩やプライドの高い二世たちのオンパレードだった。

 どの世界にいても人間の性ってもんは変わらないんだな。その中で生き抜くだけでも立派なことだ……と、つくづく思う今日この頃である。いや、うん……悟ってしまうよね。人生二回目で見えてくるものもあります、と。

 それ以上、父が何か聞いてくることもなく、カチャカチャと食器の音だけが朝の食卓に響く。

「あ、もう時間だ。では行ってきます。ごちそうさまでした──……っと、あぶねっ。弁当忘れるとこだった」

 どうも学園の食堂は気疲れするので、最近は弁当を持参することにしている。これも俗世を生き抜くための知恵。精神の安寧。陰キャ必須アイテム。

 バタバタと駆け回る俺は、その時の父と兄の会話など聞く余裕もなかった。

「父上。よかったのですか、進捗を聞かなくても」

「あの顔だ。どうせ進んでいるわけがなかろう。それに、別にそこは問題ではないしな」






 学園では相変わらず「ジェイミー様~!」と慕ってくれるお友達ーズに囲まれて過ごしていた。
 彼らの存在はありがたい。実を言うと、学園では彼らぐらいしか話しかけてくれる生徒がいないのだ。
 悲しいかな、自分から話しかけに行ってもやんわり避けられてしまう。「え、そんなに?」ってくらいあからさまに嫌な顔されることもあった。

 例えば、重い本を何冊も抱えて運んでいた生徒を手伝ってあげようとしたら、怖がられた。
 一人になれる場所はないかと校内を散策していた時に迷子になって、道を尋ねようとしたら逃げられた。
 隣の席の子に鉛筆を貸そうとしたら変な顔をされた。微笑んだだけで場が凍った……と、まあ上げればキリがない。

 ヘイデン様だけではなかった。俺はどうやら生徒たちに満遍なく嫌われているらしい。

 なので、彼ら“お友達ーズ”がいなければ俺はホンモノのぼっちになってしまう。周りにいてくれるだけでとてもありがたい存在なのだ。

「ま~たあのくりくり頭、グラシエット様に色目使ってますよ、恥知らずめ!」

 ……こういう過激発言さえなければな。敬愛するジェイミー君に肩入れするあまり、敵になりそうな対象にはすごく攻撃的になってしまうようだ。それが回り回ってジェイミー君の評判を落としていることに気付いていない。

「……なあ。そういうの、もうやめようって言ったよな?」

「で、ですがっ……! グラシエット様を横取りしようとしてる奴ですよ? そんなお情けをかける必要はっ……!」

「あいつをいじめるのにも飽きた。もう興味なくなった。だから今後一切、絡むのはやめろ。分かったな? まあちょっと愚痴るぐらいなら許すけど」

「は、はい……」

 手はかかるが基本的には素直で良い子たちだ。これからもジェイミー君の──そして俺の、よきお友達でいてくれ。

 ヘイデン様とくりくり頭……いや巻き毛の男子生徒は、相変わらず仲睦まじい。人目もはばからずイチャイチャしてる。

 ほら今もああして、たくさんの生徒が行き交う廊下で微笑み合っちゃってさ。
 ヘイデン様もヘイデン様で、夢中で話すがあまり乱れてしまった彼の髪を直してあげたりなんかして。
 愛しの彼にはそうやってお優しい一面をお見せになるんですね。あーあーいいですね、リア充爆散しろ。あ、言ってないです。思っただけです、すみません。

 そんな不届き者の考えが届いてしまったのか、ちょうど対角線上を歩いていた俺らが二人の前を通りかかろうとした時。

 ヘイデン様と目が合った。穏やかな表情から一変、不快そうに眉をひそめる。

 なんだよ。こっちだってな、あわよくば気付かれないようにとサッと通ろうと思ったんだ。

 ──しゃあない、スイッチ入れるか……。

 俺は社畜プログラマー時代から、心を凪の状態にして仕事する癖がついている。特殊な訓練を受けた者なのだ。なので顔にも出なければ、機械のようにただ与えられた役割を演じることもできちゃうのである。

「こんにちは、ヘイデン様。本日もご機嫌うるわしゅう。お幸せそうでなによりです」

「…………」

「ちょっと。なんだよ、いちいち突っかかってくんなよ。行きましょうヘイデン様。こいつと関わるとろくなことがない」

 はい。実際そうであります。そうかもしんないけど、ピキっちゃだめだ。平静を保て。大人なんだから。
 巻き毛の生徒は俺を見るなり眉間に皺を寄せ、鼻息を荒くした。ヘイデン様は顔をそらし、もう全然目も合わない。

 はあ……。ここは、まるでナイト気取りで姫は自分が守るとでも言わんばかりの少年と、その隣の傾国のお姫様に、人生の先輩として、いや社会人として忠告しといてやろう。

「挨拶しただけですが? 挨拶されたら返すのが礼儀では? 今は立場も身分も関係なく過ごせていますが、社会に出たら建前でも挨拶できないような人間は信用されませんよ」

「へぇ。でもそのあんたはいつも無視されてるじゃん、みんなに。それも今までの“信用”の結果ってことだよな」

「ふぐぅっ……!」

 ぐはああぁぁっ……!!? やめろ! こ、こいつ。それを言うんじゃねえ! 痛いところを突いてくんな!!

 接してみて分かったことなんだが、この少年、なかなかに気が強いところがある。くりくり頭と言いたくなる気持ちが分からんでもない。てか、普段俺のこと分かりやすく避けるくせに、そういうところはめざとく見てんだな!!

 お友達ーズが言い返そうとしたが、俺はそれを制した。
 そんな俺たちの横を、巻き毛の少年はふんっとドヤ顔で通り過ぎる。ヘイデン様の腕を引っ張って。ヘイデン様にいたっては、もはや感情が見えない。無表情だった。

 わずかワンターンでレスバに負けた俺は、下唇を軽く噛みながら二人を見送った。お友達ーズのひとりがポンポンと肩を優しく叩いてくれた。

 ……やっぱり無理な気がしてきた、説得するの。

 ヘイデン様にはいつも、ああして巻き毛の少年がくっついている。最初のほうこそ何度か友好的な対話を試みてみたが、案の定、すごく警戒され取り合ってもくれなかった。少年になぜか顔を凝視された時もあった。

 そんな調子なので、大体二人が一緒にいる時には菩薩心でもってスルーすることにしている。
 敵じゃないですよ、の意を示すために。
 どうぞ存分に仲良くやってくださいな。こちらとしても二人の仲を邪魔したいわけじゃないしな。

 ただ今みたいに目が合っちゃった時はしょうがない。
 無視するのも感じ悪いので、そういう時は大人の余裕を漂わせた笑みで返してやる。一言添えてやる時もある。まあ反応はご覧の通り、このザマだが。

 狙うはヘイデン様が一人になるタイミング。そのチャンスを逃さぬよう、俺はヘイデン様の行動をしきりに窺っていた。

 だが話しかけられそうな時を見計らっていざ突撃しても、「寄るな」「忙しい」「気持ち悪い」のヘイデン語三段活用で即、会話終了。語彙など使うのも惜しいって感じで、話し合いにもならない。はじめの頃の、お屋敷で聞いたあのマシンガントークが嘘のようだ。

 加えて心をグサグサ刺してくる、あの目。
 親の仇か、もしくは虫でも見るかのような、あの冷徹な目。あれで睨まれるとしっかり胸にダメージが入るんです。はい。「すみません! もう婚約破棄でもなんでもしてください!」と何度、降参したくなったことか。
 情けないことに、そんな時の俺は自分でも分かるほど笑顔が引きつっていた。ヘイデン様には気付かれないよう誤魔化してはいたが。

 痛感した。一度失った信頼を取り戻すのは容易ではないと。そんで、「なんで俺がこんな目に……」とも。

 そんな調子でこの二ヶ月間、俺の瀕死の精神力とは正反対に、驚くほど現状は何も変わらず過ぎていった。




▲▽△




 クスクスと笑う声が聞こえる。
 遠い昔のトラウマをかき立てられるような笑い声だ。

 ハッと顔を上げると、Tシャツ半パンの生徒たちがこちらを見下ろし、哀れな者でも見るような顔つきで走っていく。
 ──ああ、そうだった。今、マラソンの授業中だった。
 顔や体操着についた砂を払いながら、俺はよっこらせと立ち上がる。そうだ、あまりの運動神経と体力のなさで足がもつれてすっ転んだのだった。

 俺の学生時代のトラウマ、体育。
 走るのはおろか、球技、水泳、武道、器械運動も全部ダメ。何ならできるのかと体育教師に呆れられた記憶があるが、それは俺が教えてほしいくらいだった。
 そして、子供心に一番つらかったのは周りの視線だ。嘲笑とイライラと、憐憫と。それらを一身に受けて、社会の理不尽さや道理を学んだと言っても過言ではない。いや過言か。

 それが。まさかそんな不甲斐ない俺の運動スキルが、こうして異世界の、この高スペックな体にまで反映されてしまうとは。申し訳ないジェイミー君。転生者ガチャがハズレたと思って許してくれ。

 一人、二人と追い越され、やがて俺は周回遅れとなった。
 ゴール付近では、すでに完走した生徒たちが談笑したり、ふざけ合ったりしている。ほとんどの生徒が興味なさそうにしている中、俺と数人の周回遅れ仲間は必死に完走するべく、地獄に送られた亡者がごとくあがいていた。

 息が上がる。ゼェーヒィーと久々に聞いた全力の呼吸音をBGMに、ひたすら脚を前に出す。太ももがパンパンだ。膝も笑っている。
 中身のアラサーお兄さんだけではなく、このジェイミー君の体も、運動向きではなかった。そりゃそうだろう、目を覚ました時なんかあんなにガリガリだったのだ。ビジュアルに全振りしすぎるがあまり筋力が極端に少ないもんだから、こういう日常動作以外で体を使う運動は本当にきつい。

 ちらっと横目で見ると、ヘイデン様はとっくにゴールしていて、なにやら先生と話し込んでいた。不思議と「見られてなくてよかった……」と思った。お友達ーズのみんなは固唾をのんで見守ってくれている。

 だが最後の一周、気合いでラストスパートをかけようとした時だった。

 気付けばまたも視界が一面、土一色になっていた。

 後ろからトンッと小突かれるような衝撃があったから、きっと後続の生徒の仕業に違いない。たまたまなのか悪意があったのかは分からないが、人為的なものは感じた。
 すでに体力ゲージが赤だった俺の体はちょっとの力が加わっただけでもヘロヘロとつんのめり、地面に倒れ込んでしまったのだった。

 痛い。散々だ。しかも顔面からいった。「おい、玉のように綺麗なお肌に傷でも付いたらどうしてくれんのじゃ!」と心の中で威勢良く啖呵を切ってみても、実際の俺の姿は生まれたての子鹿状態だ。おまけに息も絶え絶え。説得力に欠ける。

 そんな情けない状況を見かねたのか、駆け寄ってきた先生にリタイアをすすめられた。
 恥ずかしさで生徒たちがいるほうを見れず、俺は俯きながら小さくコクコクと頷くしかなかった。

 とんだ笑われ者だ。ああどうぞ笑ってくれ。
 せめてゴールは、と思ったが、退屈そうにしている生徒たちのことを思うと、俺のゴールのためだけに待たせるのも気が引けてしまったのだ。
 ま、もともと運動に対するプライドなんて持ってない。安全策をとったまでだ。……と心の中で言い聞かせた。






 そんな俺は今、医務室のベッドの上にいる。

 あまりに過呼吸気味になっていたので、あの後すぐに運ばれてきたのだ。俺も予想外のことで少し混乱した。運んでくれたお友達ーズのみんなは、「どうしてまた、あんな無理をなさったのですか」と口々に言った。

 どうやら普段のジェイミー君は、体育の授業にはあんまり参加しないらしい。体を動かすのは好きじゃないからと、いつも見学か休んでいたのだそうだ。……まあ、そうだろうな……。

 今までも体育の授業の時、動悸が激しくなる瞬間があることはあった。でも少し休んだら落ち着いてたし、そこまで気にしてなかった。
 それが今回はちょっと負荷がかかり過ぎたのか、臨界点を超えてしまったのだろう。

 それにしても呼吸が苦しい。息がうまく吐けない。心臓がドクドクと激しく脈打つのが分かる。
 咳き込みながらもベッドに寝転び、息が整うのを待った。
 脂汗で額や首周りに髪がはりつく。体操着なんか土と汗でもうぐちゃぐちゃだ。

 これ以上は心配させたくないので、背中をさすったり声をかけてくれているお友達ーズには退室してもらうよう促した。それはそれは拒まれたけど、大丈夫だからと言って聞かせた。

 過呼吸は経験がないわけじゃない。満員電車に乗ってる時に、たまに襲ってくることがあった。

 その時にやってた対処法が、不安なことを考えないようにして、落ち着いて一定のリズムで呼吸すること。いち、にー、さん、しー、いち、にー……。
 しばらくそれを繰り返していると、徐々に落ち着いてきた。た……助かった……。し、死ぬかと思った……!

 それでもまだ意識は朦朧としている。ぐるぐるする視界にたまらず目をつぶった。

 体力の消耗が激しかったのか、俺はそのまま寝落ちしていた。起きた頃には授業二つ分ふっ飛ばして、昼食の時間になっていた。






「またひとりでお食事ですか……」

 お友達ーズたちの悲しそうな声に少し心が揺らぎそうになる。
 昼食はひとりで食べたいという俺の申し出を彼らも渋々了承してくれて、慣れてきた頃合かと思ったが、さっきの体育で過呼吸を起こしたことで心配させてしまったのだろう。ぼっち飯の希望が今日はなかなか通らず、いつも以上にゴネられた。

 そして、結局、俺はお友達ーズに囲まれていた。はい。今日のひとりランチは諦めました。

 ただ大勢の生徒が集まる食堂を使うのはやはり嫌だったので、俺が外で食べるのに合わせてお友達ーズたちも食堂で弁当をテイクアウトしてきた。
 分厚い紙製の箱にピラフや味付けして焼いた肉、野菜サラダが入っていた。え、テイクアウトできるんだ、とそこではじめて知った。横目で見ながら、「今度食べてみよ」なんて密かに思いながら俺も自分のサンドイッチを頬張った。

 中庭の芝生の上に布を広げ、その上にあぐらをかいて食事をしていると、お友達ーズの面々が「こんな風に座っておしゃべりしながらご飯を食べるなんて、新鮮だな」としみじみ言った。
 確かに。遠足してるみたいで懐かしいかも、この雰囲気。

「それに、ジェイミー様とこんな風に仲良くなれるなんて、数ヶ月前なら考えられなかったことです」

「あぁ……それなんだけど、俺ってそんなに……その、どんな奴だった?」

「どんな奴、ですか……」

 言いにくそうにしている。そうだよな、俺に記憶がないことを知らないんだから。いきなり人が変わったようなジェイミー君にそんなこと聞かれたら戸惑うよな、普通。

「ごめんごめん。いやなんかさ、怪我してからちょっと頭ん中がおかしくてさ。自分のことも分かんなくなることが多くて。心配するようなことじゃ全然ないんだけど」

「……ジェイミー様はお優しい方ですよ。他の人は分かりませんが、僕らみたいな貧乏な貴族や、お金をかき集めてなんとか入学できた商家の人間をばかにせず、階級や家柄ではなく人として見てくれました。お怪我して休まれる前から」

「へぇー。あっ、そうなんだ」

 おお、そういう面もちゃんとあるんじゃないか、ジェイミー君。
 ヘイデン様が関わると周りが見えなくなっちゃうだけで、情に厚いところもちゃんとあったんだな。安心した。我がことのように素直に嬉しい。見直したぞ。

 俄然、ジェイミー君の話に興味が出てきてしまって、それでそれで? と前のめりで聞く俺に、目配せし合いながら彼らは話した。

「ええと、正直に言いますと……人付き合い、めちゃめちゃ下手くそですよね。距離感とか特に」

「世の中、貴族だから、とか財力だとか容姿だとかで寄ってくる人がほとんどだ、ばかみたい、って叫んでる時もありました」

 叫んで……あぁ、思春期あるあるだな。世の中に絶望して狂っちゃうやつな。それで触れるものすべて傷つけて、闇落ちでもしたってところか。

「でも今はとても穏やかでいらっしゃって、こう……一緒にいて安心感があるというか。他の生徒も何人かジェイミー様に好意を持っている人、いると思いますよ」

「ないないない! ないから! 体感では避けられてるとしか思えないから。声かけるだけで逃げられちゃうんだから。挨拶したら五秒間、時が止まったことある? そういう忖度は今後一切、禁止だからな!」

「はぁ……」

 ビシィッ! と人差し指を突き出して強めに言ってみたが、なにやら反応は芳しくない。
 優しい嘘は時に人を傷つけるものなのだよ。キミたちに気を遣われるのはとても悲しいです、お兄さんは。

 何はともあれ、お友達ーズと距離を縮められたのも嬉しかった。この体の持ち主であるジェイミー君のことを少し知れたのも良かったし、思いのほか収穫のある昼食だった。
 ぼっち飯ばかりじゃなく、今後はこうして、顔をつきあわせて腹割って友達と食事するのもいいかもしれない。

「あ、そういえばジェイミー様、お顔のほうは大丈夫ですか」

「うん。色々ありがとな。起きたらなんかスゲー綺麗になってたから、びっくりした。汚かっただろ。身の世話までさせて悪かったな」

「いえ。実はあの後グラシエット様が来て、お顔を拭いていってくださったんですよ。擦りむいてたところにはお薬も塗ってくださって」

「……え?」

 聞き間違い? ヘイデン様なんていなかったが。

「爆睡してたから、ジェイミー様。気になって休み時間ごとに医務室に様子見に行ってたんです、僕ら。そしたらグラシエット様もひとりで入って来られて。ちゃんとヨダレも拭いてくださってましたよ。なんだかんだお優しいんですよね~グラシエット様って」

 えええええええええ!? ……それドッペルゲンガーじゃない? 俺の知ってるヘイデン様は、そんな慈悲深いお方じゃないぞ。もっとこう、人を虫のように見る……。

「……それって、マジのヘイデン様?」

「はい。マジのヘイデン様でした」

 にっこり返されたが、俺はにわかには信じられなかった。頭の中は処理不能でフリーズしている。「あれ? もっと喜ぶと思ったのに」とか、「言うなって言われてたでしょ!」など空中を飛び交うお友達ーズたちの言葉も入ってこず、昼休憩終了の鐘が鳴るまで俺は固まっていた。




△▼△




 あのツヤツヤの黒髪はどうやって手入れしてるんだろう。
 ──俺は風呂上がりにメイドさんがいい匂いのするオイルらしき物を塗ってくれるけど、ヘイデン様はどう? おすすめのお手入れ方法とかある?

 座学の授業中、斜め前に座るヘイデン様の後ろ姿をぼーっと眺めてたら、まるで女子のような会話シミュレーションが脳内に流れ出したので、思考を強制終了させた。
 生まれながらにして持っているものに決まっている。下手に何にも染まってない、そして今後も染まることはないであろう無垢な美しさ。神様からヘイデン様に与えられたギフトだ、あれは。

 あれから、どうしてだかため息ばかり出る。その視線の先にはヘイデン様がいた。いない時には妄想の中でヘイデン様を見ていた。

 お友達ーズが嘘を言っていたとは思わないが、どうも俺視点から見るヘイデン様と、この前彼らが言っていた内容のヘイデン様には齟齬があるように思う。
 なぜなら、一週間が経った今でも俺への素っ気ない態度は変わっていないからだ。むしろ悪化したまである。

 あの日、医務室でのことでヘイデン様にお礼を言った。
 教室でちょうど帰り支度をしていたところだったので、さりげなく近付いて「ありがとう」と言ってみた。

 だが反応は無、だった。何か言うでもなく、こちらを見るでもなく。表情も無。顔を覗き込んで手を振ってみても、ノーリアクション。
 別クラスからルンルンで歩いて来る巻き毛の少年の姿が目の端にチラッと見えたので、俺はそれだけ伝えて帰った。

 話しかけても何も言わない。こっちを見ない。まるで空気みたいに、俺なんか存在してないかのように振る舞われる。……明らかに前より悪くなってるよな。

 医務室に俺の様子を見にきて色々お世話してくれたというのも、やはりあいつらなりに考えた、俺を励ます優しい嘘だったんじゃないかと思えてくる……。

 こうも振り回してくる(勝手に振り回されてるだけ?)ヘイデン様を見てると、ジェイミー君がちょっかい出したくなるのもなんかうなずける。うなずけてしまう。



 夕食のステーキも、味がしなかった。肉を噛み締めながら、このモヤモヤはなんなのかと考えていた。知ってるような、知らないような気持ち。

 ……そうだ、アレだ。なかなか懐いてくれない甥っ子と接している時の、あの気持ちだ。

 いつかの年末、実家に帰った時に姉の子供とゲームで遊んだな。ボコボコにしちゃってクソ泣かれたけど、攻略法を教えてやったら目を輝かせていたっけ。そこから俺をヒーローとして見てくれるようになったんだよなぁ。懐かしい思い出だ。

 そんな風に単純だったらいいのに。ヘイデン様と俺の関係も。

「おいジェイミー。……ジェイミー! 聞いてるのか!」

「えっ、あっはい。……何の話でしたっけ」

「……だから、晩餐会の話だ。やっぱり聞いてなかったな、この阿呆は」

 兄がため息交じりに言う。三つ年下の弟にはチッと舌打ちされた。あれ、なんか空気悪くね? この家。とりあえず、すんません。
 うおっほん、と父が話を続けた。

「来週末、国王主催の晩餐会が開かれると言っていただろう。六十年ぶりに行われる新国王即位に際して、国内外から多くの賓客が訪れる。我がエルベール家の名を知ってもらう大事な機会だ。ちゃんと準備はできているんだろうな?」

「はい、だ、大丈夫です」

 そういえば数週間前に洋裁店の職人さんたちがやって来て、体にメジャーをあてられ色々と寸法を測られた気がする。これのためか。確かにそんなことも言っていた。ヘイデン様のことに気を取られていて、すっかり忘れていた。

 この世界は、十六歳以降は結婚可能なことから、成人と同じ扱いを受ける。なので社交の場にもガンガン駆り出される。弟は軽いお食事会などに出席することはあってもこういう大きな席にはまだ参加できないらしく、今回の晩餐会の話など素知らぬ顔で肉に食らいついていた。くそぅ、羨ましい。
 ダンスも必須ではないが嗜みとして覚えておかなくてはいけないそうで、講師の人が来てわざわざ習うこともあった。学園の授業でもダンスの時間が設けられていた。言わずもがなだが、俺はついていくので精一杯だった。まあ、披露することはないと思うが。

「それでだ。国王陛下にもお前たちのことをお目通しいただこうと思うが、その際にはあの三男坊──ヘイデン様ともども、失礼のないように頼むぞ」

「あ、ええと……」

 俺の口が開くと同時に、父にカッと目力で抑え込まれた。兄はまたも小さくため息をつき、弟はのんきにジュースのおかわりをしていた。
 なんなんだよ、もう。頼むから誰か俺の話を聞いてくれ!




△▽▲




 ──こりゃまたばかでかい建物だな。たくさんの市民の血税がここに集約されてんだと思うとなんだか複雑な気分だ……。

 晩餐会当日。馬車の揺れで吐き気と戦い、ケツが痛くなりながら訪れた国王の宮殿。着いて見上げた時の第一印象が、それだった。

 とにかく目が痛い。まさに豪華絢爛。外観もさることながら、その中もまた、あまたの血と汗の結晶で装飾された繊細できらびやかな内装だった。

 会場に入るとすでに大勢の王侯貴族が所狭しと集まっていた。
 振る舞われた食事や飲み物を口にし、優雅に歓談に勤しむ貴族たちの姿を見て、俺も慌てて笑顔を貼り付けた。「本当にこんな世界、あるんだ……」とあっけにとられながらも、父の後ろにくっついて挨拶回りに奔走した。内心ドキドキで手汗が止まらなかった。

 お偉いさんやご令嬢、ご子息たちに挨拶して回っていく中で、父の知り合いと思われる人たちにも数人出会った。

「君も彼とようやく結婚か。幼稚舎の頃からの付き合いだもんな。──グラシエット家の面々はなかなかに気難しくて腹が見えないだろう。気苦労も多かろうが、まあ頑張りたまえよ」

「は、はい」

 父と昔なじみなのであろう貴族のおじさまが、俺を見るなりそんなことを言ってきた。顔を近づけひそひそと冗談めかして。豪快にバンバンと背中も叩かれた。……いてぇ。なんでおっさんてこんな力の加減知らないんだ?

 にしても幼稚舎って……ガキの頃からの知り合い──つまり幼なじみってこと? 俺とヘイデン様。へえーそうなんだ。今の距離感は微妙この上ないけど、昔は仲良かったりしたのかな。
 幼き頃の二人の姿を想像して、そうだといいな、なんて少し思ったりもした。






 ひととおり挨拶を済ませると、自由時間を与えられた。
 特にあてもなかった俺は、メシをつまみながらヘイデン様を探すことにした。父の口ぶりだと、きっと来ているはずだ。

 うろうろしている途中、何人かのご令嬢にダンスのお誘いを受けた。
 が、女性との接触が今も前世もほぼ皆無に等しい俺である。そこは全力の笑顔でお断りさせていただいた。運動神経も相まって大惨事になる予感しかございません。すみません。

 しかも女性だけではなく、いい歳の男性やご令息にも声をかけられた。
 雰囲気から察するにそんな形式張ったものではなく、もっとフランクな挨拶代わりのようなものっぽかったが、俺は探している人がいるからと、そそくさと会釈して立ち去った。

 こういう時の逃げ足は自分でも驚くほど速くて、若干情けなくなる。小走りになってるのを客観的に見ると余計に。「気持ち悪いと思われてなきゃいいな……」と心の中で祈りながら、俺は見知った黒髪を探した。

 くそぅ、しっかしどこにいるんだヘイデン様は。全然見当たらないんですが。
 ばかみたいに広い宮殿内にこの人の数だから仕方ないとはいえ、来ているのかどうかも怪しくなってきた。

 ──それに。ヘイデン様に会えたとしても、日常会話すらおぼつかない可能性がある。だって相変わらず会話ゼロなんだから。
 というか何も話が進んでいないのに、何をどう国王様に話したらいいんだ? もういっそ、口からでまかせで押し通すか?

 あー……なんかもう疲れてきたな。この数時間、支度と移動を合わせると数十時間、ヘイデン様のことを入れるとほぼ毎日、考え事をしている。加えてこの貴族の社交である。エネルギーの補充をしないともたない。

 よし、メシに集中しよう。現実逃避だのなんだの好きに言えばいいさ。今、俺の心はしばしの平安を求めているのだ。

 はい、ということでね。やって来ました、国王陛下の御邸宅! いや~にしてもうまいですね、ここのご飯は。やっぱり王族が出される料理なだけあって、食材も新鮮だし味付けも濃いめなのに奥深さも感じる。しかも食べ盛りの腹も満たせるボリュームはポイント高し。デザートも甘すぎることなく上品な味わいで手が止まらない。

 誘われるように夢中で各所のテーブルを巡り、頭の中でひとり食レポを展開していた時、「おい」と声をかけられた。

「もごっ……ごほっ、あ、すいま……」

「何をやっている」

「…………!!」

 目の前には探していた黒髪──いや、いまや見慣れた仏頂面のヘイデン様が立っていた。

「ヘイデン、さま」

「……そんなに食って腹壊しても知らんぞ」

「壊すわけないっす、こんなうまいもの……いやそれより……え、俺に、話しかけてんですよね?」

「他にいないだろう」

 あんなに空気みたいに無視されまくった後じゃ、自分がヘイデン様の視界に映っているのかどうかも疑わしい。
 なので確認を取ってみたが、どうやらちゃんと見えていたみたいだ。よかった。

 えーっと……でも、ヘイデン様に実体を認識されてるにもかかわらずこんなこと言うのもアレですが、言葉が全然出てこないです。
 学園にいる時はあれこれ考えてた話題も、慣れない場所で、しかも突然本人を前にすると真っ白になる。

「あ、ありがとう、この前は」

「…………」

 おい、やましいことでもバレたみたいに黙るな!

 直近の話題を出してみたが、これはダメだったようだ。気まずい空気を秒で察知した俺は、とっさに「これ食べる?」と手に持っていた皿を示す。
 だが俺と皿を見て「何を言っている……?」という顔をされた。いやこっちだって、食べるわけないと分かってるけど聞いたんだよ! 間を持たせるやつ! サービス精神!!

 ヘイデン様は一息吐いて、俺を真っ直ぐに見た。

 うわ、綺麗な瞳。吸い込まれそうな青だ。夏の海みたいに透き通っている、紺碧の瞳。

 いつもと雰囲気が違う。髪を後ろにかきあげていて、普段は隠れている形の良いおでこや気の強そうな眉毛があらわになっている。だからか。今日はやけに顔の圧がすごいなと思ったら。

 こうしてまじまじと顔を見て話すのは初めてかもしれない。急に鼓動が速くなる。やべ、俺口拭いてなかったかも。

「……国王陛下にはまだ挨拶してないのだろう」

「うん、まだ……ていうか、そのこと……婚約のことなんだけど。俺のこと嫌いなのは重々承知で言うんだけど……」

「父上たちが決めたことだ。爵位のある家の者なら望まぬ結婚も仕方ない部分はある。何にしたって僕たちの意向が聞き入れられることのほうが少ない。だからそれに関しては譲歩してやってもいい。僕としても、父上をこれ以上困らせたくはないしな」

「そうだよな……無理矢理というのは俺としても本意ではないけど、そこをなんとか……って、ん?」

「だが勘違いするな、好きで結婚するわけじゃない。結婚は本当に好きになった相手とするべきだと僕は思っている。だからこの結婚に気持ちはない。形だけのものだ。分かったな?」

「わ、分かった」

 なるほど。真面目なのね、ヘイデン様は。うん、誠実でいいと思うぞ。
 まあそこも重要だけど、今問題なのはそこじゃなくて。えっとつまり……それは、オッケーって意味でいいのか? 言質取ったけど、本当にいいんですよね!?

「それと、あまり女性の前で鼻を伸ばすな。気持ち悪い。相手が男性であっても、だ」

「え、やっぱり気持ち悪かったかな。今度から気を付けるわ」

「いや気持ち悪いというか、だな……。そ、そもそも今度とか、話す必要ないだろう、あの者たちと」

「そう? でも世間って割と狭いから。どこでどう繋がってるか分かんないもんだよ。嘘でもいい顔しておかないと。伯爵家のご令息ならそれくらい心得てるでしょーに」

「ああ、知ってるさ。そんなのお前に言われなくても十分、心得ているが? 今のはお前に忠告してやったんだ。もう少しマシな顔をできるように、とな。鏡で自分の顔を見たことがあるか? 笑顔が引きつってて、とてもじゃないが見れたものじゃないぞ。お前だって貴族の端くれならそれくらい言われずとも身に付けておくべきなんじゃないのか」

 うおお、久々のマシンガントークきた。どうした、今日のヘイデン様はキレキレじゃないか。
 しかしまたよく口がまわるな。もっと怒らせてみたらどうなるんだろう……とか思ってないですよ。ええ。いや思いました。すみません。

 でもこうして減らず口を叩かれるのも悪くない。
 むしろ楽しくなってきてしまって、気付けば周辺の人が何事かと振り返るほど、俺たちはどうでもいいような言い合いをしていた。そのうちお互い日頃の鬱憤を晴らすかのように、徐々にヒートアップしていったけど。

 たまたま通りかかった兄が間に入ってくれたことでその場は収束したが、まだまだ言い足りないって感じで俺たちは鼻をふんすかいわせていた。

 はぁっ、と大きく息を吐いてジャケットの襟を正したヘイデン様は、「そういうことだから」とだけ言って去っていった。
 人だかりに消えていくその後ろ姿を見ていたら、兄に頭を小突かれた。

「駄目だったか」

「いや、……仲直りした……のかも?」

 兄が訝しげに目を細める。だってなんか分からんが、そんな気がしたんだ。

 ヘイデン様の気持ちは嵐みたいでなかなか読めない。けど、舌戦を繰り広げている時の姿は心なしかいきいきして見えた。それがなんだか可愛くも思えるのだった。



 その後、一瞬ではあったが俺と父親は新国王陛下に拝謁することができた。その際、ヘイデン様との婚約も報告した。
 宮殿に着いた時にはノープランで強引に話を付ける勢いだった婚約話も、それから数日のうちに両家合意のもと(ほぼ本人たち不在のもと)トントン拍子で進んでいった。



 だがそんな喜ばしい状況にもかかわらず、俺は若干の不安を拭えずにいた。

 ヘイデン様の急な心境の変化についてだ。

 晩餐会の前日までは全くの膠着状態だったのに、一体、何があった?

 俺やエルベール家としてはありがたい話なのだが、ヘイデン様にしてみれば嫌々、要求を飲んだ形になる。
 誰かが折れねばならないところをヘイデン様に負わせたこと、我慢させてしまったことに、やはり申し訳なさはある。

 ──無理していないだろうか。

 今度、学園で聞いてみよう。今日みたいに、痴話喧嘩でもいいから話してくれたらいいのだが。


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