巨大生物現出災害事案

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五里山に墜とした輸送機、その様子を上空から映したライブ映像が室内で流れる中、閣僚らの議論は紛糾していた。


「どうするつもりだ!墜としたのはいいが、民間人に犠牲者が出た。それに加え風向きで東京にも放射能が降り注ぐそうじゃないか!」


小林環境大臣が、ライブ映像を流しているスクリーンを指差し、怒鳴る。


「だからさっきから言ってるじゃないか。除染作業は進んでいる。汚染の元となる物質も回収中だ。そんなに騒ぐな。」


総務大臣がなだめるように口を開いた。数人の閣僚がそれを聞き頷く。内閣危機管理センター内の会議スペース、そこで出口の見えない議論を始めてから4時間が経とうとしていた。時刻は午前5時を指し、うとうとする閣僚の姿が散見された。その中、岡山の元に、メモ用紙を片手に持ったスーツ姿の男性が屈みながら近付いてきた。そして、


「総理。生物が見つかりました。」


メモ用紙の中身を見せつつ、内閣府の職員は耳打ちしてきた。不意に舞い込んできた重大事案。今の今まで全てが重大であったが、職員の報告内容は、その元凶と言っても過言ではないものであった。一瞬にして眠気が吹っ飛んだ。


「どこだ。」


充血し掛けている目を開き、職員に耳打ちする。


「はい。小笠原諸島の近海です。海自が監視を継続中です。」


周囲の状況に目を配りながら、職員はそう答えた。


「分かった。至急、議題にあげろ。」


小笠原という、まだ距離がある地点に岡山はとりあえず胸を撫で下ろした。議論出来る時間があると見込んだからだ。岡山はそう考え、今の五里山事案から議題を変えるよう職員に指示を出した。職員はその指示を受け取り、その場を後にした。


「巨大生物が発見されました!」


岡本の元を去って二分弱、海自の制服に身を包んだ幹部自衛官が、声をあげながら会議スペースに足を踏み入れてきた。その内容に、センター内が一斉にどよめく。閣僚らも例外ではなく、半ば混乱状態にあった。立て続けに起こる有事に、彼らの頭は疲弊し切っていた。しかし、国民を守るのが我々の責務。その心の奥底に眠る使命感に、閣僚らは具体的な内容を口にし始めた。


「生物の現在位置は?」


国交大臣が右手を上げ問い掛ける。


「はい。現在小笠原諸島近海を遊泳中です。進路については本土を目指しているものと推測します。」


海将の階級を付けた50代前半の自衛官は、右手に握っている報告書を見、そう答えた。直後、彼の後ろにある大型スクリーンに衛星画像が映し出された。


「上陸するとなれば、いつ頃と見込まれているんだ?」


経産大臣が眉を歪ませつつ問い掛けた。


「まだ、詳細な情報等は集約中ですが、仮に現在の状況、これが続くのであれば上陸するのは三日後と思われます。」


具体的なタイムリミット。それを聞き、閣僚らから唸り声が出てきた。岡山も例外ではなく、その情報に耳を塞ぎたくなった。


「上陸を企図しているのか!企図しているならどこに上陸するのか予測はつかんのか!」


国交大臣は声を荒げ、問い質す。しかし、


「企図の有無、及び上陸予想地点については、相手が生物であるため全く予測出来ないのが現状です。申し訳ありません。」


海将はその質問に、ただただ頭を下げるしかなかった。そう、相手は生物で、意図的に行動している人間とは違うのだ。自由気ままに動く野生生物の動きなど予想出来る筈はなく、解答出来る限界だった。国交大臣はその返答を聞き、口を閉ざす。


「仮にだ。生物が本土への上陸。これが明白となった場合、上陸阻止はどのように行う予定にあるんだ?害獣駆除命令は継続中だ。」


軽く右手をあげ、岡山はそう問い掛けた。生物が五里山周辺に漂う放射能を嗅ぎ付け、本土に向かってくることは明らかだった。しかし、未だ小笠原諸島の近海にいる段階では、決断を出し切れなかった。


「はっ、申し訳ありませんが、担当は統幕の人間になっており、現在こちらに向かっていますのでお待ちください。」


完全なる分業制をとる自衛隊。隣の庭は分からなかった。海将は苦し紛れにそう話し、閣僚らの前から退いた。それから数分、川元統幕長が入室してきた。視線が彼に集中する。その中、彼はスクリーンの前に立ち、


「お待たせしました。統幕の川元です。これより自衛隊の各種行動についてご説明致します。」


前置きを話し終ると同時に、小笠原諸島を含めた東京都の地図が、スクリーンに映し出された。


「現在、巨大生物は母島の北西におり、本土に向けて進行中です。生物の狙いは無論、五里山周囲に漂う放射能であると推察され、本土上陸は、必至と思われます。」


必至。その言葉に数人の閣僚は息を呑んだ。


「よって、陸・海・空、三自衛隊一体の上陸阻止作戦を展開します。まず、第一段階として、海自の護衛艦及び航空機、そして空自の作戦機を用いた進路変更作戦。これを試みます。この進路変更が叶わなかった場合、沿岸部にて陸自の総力を以て、生物の進路を塞ぎます。」


川元がそこまで言い終ると、スクリーンの地図が、今度は相模湾に変わった。


「具体的には、相模湾に誘い込みます。誘い込み方としましては、五里山で回収した放射性物質。これを空自の輸送機に積み込み、誘導を実施します。尚、輸送機を操縦する要員についてですが、統幕が選抜した要員を任務に充てるため、心配しないでください。」


同じ過ちを繰り返させない。彼らの熱い気持ちが岡山に伝わった。それを聞き、大きく岡山は頷いた。


「そして、誘導後ですが、相模湾を合戦場とします。湾内に機雷を設置。また、安全圏には護衛艦隊を展開、沿岸部には陸自を展開させます。空自については随時、航空支援を実施して貰い、圧倒的な火力で生物の進行意志、これをくじきます。」


自信満々に川元は言い放った。しかし、


「甘すぎる。第七艦隊の二の舞になるぞ。君は自衛隊員を無駄死にさせるつもりか!」


国交大臣が叱咤した。室内に沈黙が広がる。


「はい。ご指摘の通りです。目標からの火力攻撃、これを受ければ作戦部隊は全滅します。」


先程の淡々と説明した表情。それとはうって変わって川元の顔は険しくなった。そして、国交大臣の指摘を受け止め、真摯に返答する。


「では・・・!」


「現在!横須賀の旧米軍施設内にて、特殊弾頭をイージス艦に搭載中です。これに伴い戦闘システムの一部改修を実施しています。」


国交大臣の反論、それにかぶせるような形で川元はそう口を開いた。


「特殊弾頭・・・?」


岡山は眉をひそませた。


「はい。米軍が生物に対して使用したカドミウム弾です。米軍の報告によればカドミウム弾は生物に対して有能な兵装である事が分かりました。よって、グアムの米軍基地からカドミウム弾を移送、技研が改修を行い、艦船用に改めました。」


スクリーンに、カドミウム弾の映像が映し出される。周囲の視線は映像に釘付けとなった。


「この弾頭で生物を倒せると?」


小林環境大臣は、映像から視線を外すことなく、川元に問い掛けた。


「倒せるとは思っていません。あくまでも上陸阻止。それが今作戦の主目的です。よって、生物の殺処分、これについて自衛隊は全く考えておりません。」


川元の断言、その内容に閣僚らから声が漏れた。


「生物と共存すると?」


経産大臣が恐る恐る問うた。


「可能性があるとすれば、統幕内に設置している巨大生物調査室。そこが生物の弱点を見つけてくれれば、倒す事も可能かと思われます。」


飯山が指揮を執っている所だ。岡山はすぐに思い出した。川元の言い方からして、期待が掛けられている部署ではなさそうな感じだった。しかし甥っ子という関係だけに、岡山は成果が出ることをその時念じた。日本のために、そしてひいては国際平和のために、岡山は飯山の姿を脳裏に浮かべつつ、念を送るように目を閉じた。










 中露からの事実上の武力攻撃。テロという形ではあったが、政権内部で画策されていたことは明白だった。攻撃から一夜明けた百里基地では復旧作業が全力で行われていた。普段であれば、民間業者に工事を委託するのだが、テロ攻撃の後というだけあり警備上、自衛隊内で復旧活動を行うことを強いられていた。そのため夜通しで百里基地には各自衛隊から派遣されてきた施設科部隊が、その正門をくぐっていた。朝を迎える頃には、百里基地のエプロンに土木作業を行う車両群が軒を連ねていた。


「飯山さん。人間てのは、いつまで経っても餓鬼なんですね。」


朝陽が田園地帯を照らす中、茨城空港の展望台からその光景を眺めていた芹沢が唐突に呟いた。彼は攻撃前から後まで、茨城空港の事務室にいた。そのため被害には遭わず、安全が確認された今、外の空気を吸いに飯山と外に出てきていたのだった。


「自分も、今回の件で人間が嫌になりました。」


半分から上が全壊している管制塔。その無残な姿を見つつ、飯山はそう返す。


「自分という存在も?」


芹沢は、飯山の言葉を聞き問い掛けた。二人の服が曉風でなびく。


「職務上とはいえ、私は人に向けて銃を撃ちました。武器を使わなければ止められなかったんです。人一人の動きでさえも。」


少しの間を挟み、飯山はそう口を開いた。昨日の、スパイ行為を働いた航空自衛官に発砲したことが脳裏から離れなていなかったのだ。


「事情は中村さんから聞きました。しかしあれは、仕方なかったのでは。」


停止を呼び掛けても応じなかった者が悪い。芹沢はその考えから、飯山を擁護した。しかし、


「人に暴力を振るうことは、どんな理由があろうと許されることではないんですよ。その時点で人は平等ではなくなります。どちらかが勝ち、どちらかが負ける。」


飯山は悔やんでいた。あの時、撃つ以外に停止させることが出来たのではないか。自分の経験不足が招いた結果に、奥歯を噛み締めた。飯山の悔やむ顔。それを見、芹沢は失笑した。


「迷彩服を着てる人間から、暴力は許されないという言葉を聞くとは思ってもみませんでしたよ。」


飯山の顔を見、口を開く。しかし飯山の表情は変わらない。


「暴力を行使出来るからこそ、ですよ。自分達は武器の恐ろしさを知っています。だからこそ使いたくないんです。使った先の未来が分かるから、だから望んじゃいなかった。こんなこと。」


飯山の言葉は重かった。銃を手にした者だから感じることがあった。だが、ただ単に銃を手にした者の言葉ではなかった。銃を持てない日本という国だからこそ、銃を持つ者の責任は重いものがあった。特に、国を守るという目的の元で銃を託されている自衛官の責務は重く、飯山は溢れそうな思いを押し殺し、そう話した。


「しかし、使わなければ国は滅びてしまいますよ。事実、いま使わなければならない時がきているじゃないですか。」


芹沢は、百里の滑走路を見つめ話す。彼の視線の先には戦闘機がタキシングをしていた。


「そうですね。誰かの言葉で、平和は戦争と戦争の間にあるものだ。と、いうものがあります。自分はそれを真っ向から否定してきました。七十年もぬるま湯に漬かっていた武人の末路です。訓練のための訓練、そう世間から揶揄され、やがて部内でもそのような言葉が飛び交うようになりました。」


そう口を開き、飯山は遠くを見つめる。その表情はどこか寂しげだった。


「つまり、実戦は出来ない組織だと?」


訓練のための訓練。それを耳にし、芹沢はそう問い掛けた。


「能力はあると思っています。しかし、実戦向きではありません。」


軍隊が戦える組織ではない。現役の将校から出た言葉に、芹沢は眉をひそめた。


「と、いうと?」


「日米安保と核の傘。この傘の元で育ってきました。つまりは米軍頼み、米軍ありきの自衛隊なんですよ。もし、中露の本格的な武力侵攻があった際、我々は米軍が来るまでの時間稼ぎしか出来ません。我々にとって元寇の神風は、アメリカなんです。」


溜息をつき、飯山はそう吐き捨てた。


「しかし今はアメリカがいない。自衛隊はどうする?飯山さんよ。」


衝撃的な話を聞き、芹沢の心は動揺していた。普段の生活では聞くことの出来ない話題に、興味をそそられていた。無論、それが今の状況では不謹慎極まりないことは百も承知だった。しかし、芹沢は知りたかった。飯山がどのような回答をしてくれるのかを。


「国を守る。その思いで自衛官は職務を遂行している。どんな困難に直面しようと守り切る。それだけです。」


飯山はそう言い切った。その言葉には力が込められていた。


「尊敬するよ。飯山さん。そんなこと聞いちゃ、私も研究を急がないとだね。」


飯山の力強い発言に、芹沢は圧倒された。そして、その言葉に導かれるように、彼はそう口を開いた。自分も全力で国を守らなければ。その使命感を胸に、芹沢は朝陽が昇った空を見上げた。その直後、中村が焦りを隠し切れない表情で飯山らの元に走ってきた。二人は振り返り、眉を顰める。


「奴です。上陸します。」


飯山と芹沢が見つめる中、中村は息を整え短く切り出した。奴。巨大生物がまた上陸するのか。そう理解した二人は、その場で言葉を失った。









 (番組の途中ですが、臨時ニュースです。先程政府は、災害緊急事態の布告を宣言しました。これは内閣官房のツイッターに配信されたもので、現在情報の確認を行っております。)


(杉田官房長官が会見場に姿を現しました!)


(・・・・国民の皆様、まず、私達の不手際により、過度な混乱を引き起こしてしまいましたことをお詫び致します。しかしながら、災害緊急事態の布告は事実であり、遅れながらこの場で宣言を致します。宣言の要因についてですが、本日未明、小笠原諸島近海において、前回神奈川県に上陸した巨大生物を、自衛隊が発見しました。現在、この生物は、関東圏に向けて進行中であります。上陸予想日は明後日と防衛省より報告が来ております。よって、政府は先程、自衛隊に生物の上陸阻止を命令。現在海、空自衛隊が対応にあたっています。また、上陸阻止という観点から、沿岸部に上陸を阻止する部隊を配置します。これには、害獣駆除という名目ではありますが、防衛出動に準ずる編成を以て、対応にあたります。このことから、相模湾に面する神奈川県の沿岸部及び、東京湾に面する地域において戦闘が行われる可能性があります。よって、住民の皆様は、各自治体の指示に従い避難するようお願い致します。避難に際しましては公共交通機関を利用してください。自家用車での避難は出来ませんのでご理解のほど、お願い致します。以上です。)


(官房長官!五里山に航空機が墜落したという情報があります!これは本当なんですか!)


(全国の空自基地で火災が発生したと各地の住民から情報提供があるのですが説明をお願いします!)


会見場は、まるで台風だった。杉田が話すことだけ話し、会見場を後にしようとするが、記者の暴風がそれを安易に許さなかった。岡山総理ら、閣僚は内閣危機管理センター内で会見場をライブ中継越しに見ていた。岡山は険しい表情で画面を見つめる。


(五里山における航空機事故につきましては、空自機の墜落事故ということで防衛省の方から公表しています。既に救難隊がパイロットを救助しています。)


一度帰路につかせた足を壇上に戻し、冷静な口調で杉田は記者らに回答した。その内容に記者らは口を噤む。杉田の長所は顔に出ないことだった。どのような事態においても顔色一つ変えず、会見をこなす。マスコミ関係者からは機械人形と揶揄されていたが、官房長官という職が彼には適任だった。公表を控えなければいけないテロ事案に対する山場を越え、岡山は画面越しに安堵した。そして、会見が始まる前に危機管理センター内で議論していた住民避難の内容を閣僚にふった。


「はい。避難にはそれ相応の時間を要すると思います。羽田空港をフルに使っても3日以内の避難は難しいでしょう。」


斎藤国交大臣が片手程のメモ用紙を見つつ口を開いた。飛行機を使っての迅速な手段。その選択肢が難しい事を知り、センター内の職員らから声が漏れた。


「自衛隊は?」


柿沼経産大臣が大山を指差し問い掛けた。


「はい。難しいのが現状です。現在、部隊の移送で現場はオーバーヒート状態です。使えるなら立川飛行場になりますが、避難を求めてきた住民全員を避難させることは無理だと考えます。」


顏を渋らせ、大山は回答した。しかし、


「国民保護はどうした!立派な任務だろ!」


柿沼はその回答を聞き、眉間にしわを寄せ問い質す。数人の閣僚がそれに頷く。


「上陸阻止に充てる部隊以外を動かすことは可能です。しかし、国防上必要な部隊は待機させなければなりません。空自基地に対するテロ攻撃があった今では尚更です!仮に、全部隊を出したとしても、避難誘導に充てる隊員については心配ありません!ただ、住民を後送する車両や航空機が圧倒的に足りていないんです!自衛隊は可能な限り、住民避難の支援はします。しかし、限界はあります。」


大山の声がマイク越しに響き渡る。柿沼や閣僚は黙るしかなかった。現実的に無理であり、これ以上議論しても前に進まないことを悟ったからだった。議論の硬直から起こる沈黙がセンター内を包んだ。


「住民には最小限の荷物と制限をし、避難に充てる手段は公共交通機関のみ。各駅乗り場には警察と自衛隊を配置。暴動の抑止と荷物の点検を行わせる。渋滞の防止として、各高速道路の料金所のゲートは全てあげる。」


沈黙の中、岡山は全員の顔を見、そう切り出した。数人から声があがる。今の内容だけで幾つもの省庁が連携し対処していかなければならないことが明白となった。岡山が口にした内容に文句を言う者は皆無で、センター内は一斉に忙しくなった。


「分かりました。直ちに全バス会社に召集を掛けます。」


「東京駅は既にパニック状態です。機動隊を空路にて展開させ駅構内の収束をはかります。」


「避難する住民の受け入れ先の自治体から連絡が来ました。バスの応援を出してくれるそうです。」


「団地に住む高齢者の避難補助は、即自にやらせます。使用できる都営バスの情報を。」


岡山の指示から数分、各省庁の職員がなすチームワークによって、避難に関するプランが具体的に動き始めた。


「東京駅の統制完了。列車については乗り換え組と現地組、半々の割合で都外に出る車両に乗車させています。バスについても同様です。暴動等の発生はありません。」


「バスタ新宿に避難住民が集まりつつあります。現在展開している警察官では対応が出来ないとのことです。」


「市ヶ谷の警務隊をまわせ。いま、新宿近くで交通支援にあたってるはずだ。」


普段面識がない各省庁の人間達が目の色を変え協力していた。中でも犬猿の仲と言われている警察庁と防衛省は、今までにないほど緊密に連携し助け合っていた。その光景を見、岡山は胸を撫で下ろした。避難は大丈夫だ。その思いからだった。岡山は彼らを見つめ、自分にも喝をいれるため、両頬を思い切りはたいた。


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