上 下
15 / 22

流されていく

しおりを挟む
その日からはあまり良く覚えていない。
いろいろな事が淡々と決まり、気づいた時には部屋を借り、引越し日だった。

相変わらず頭はズキズキ痛いし、目眩もする。
頭が回らない。
不安で押し潰されそうになるのが怖くて、お酒を飲む。
お酒を飲んで記憶を無くし、朝気持ち悪くて目が覚める。そんな毎日だった。

(その頃から酒量が増え記憶が飛び飛びになる事が増えていった。)


引越し日当日

彼が「これで安心だね。一緒にいられるね。」と言っていた。

なにが安心なのか、、、なぜこの人と一緒にいるのかわからないようになっていた。
でも私の地元に借りた部屋からはなぜか逃げられないような、逃げてはいけないというような感覚になっていた…。

「さわの為にさわの地元でわざわざ部屋を探したんだよ?」

「さわが大切だからこうやって忠告してるんだよ?俺だけだよ。さわの事を成長させてあげれるのは。さわの為なんだよ?」

「さわの為に、、、さわの為に、、、」

何百回も言われ続けたこの言葉がどんどん私を蝕んでいく。私の考え、私の気持ち、私の人生全てを、、、、。

もう抵抗するのもめんどうになってきていた。










その言葉は彼から言われる前にもよく聞いていた。
誰から言われていたのだろう、、、昔から聞いていたような、、、


昔の記憶を辿る、、、




あぁ、、、そうだ。父親だ。
父親に同じ事を言われていたのだ。



「 



「美容師なんて水商売と一緒だ。」
この言葉も彼以外に聞いた事があった、、、。



……あぁ、母親が父親から言われた言葉だ。……




私の母親は元々美容師だった。たが、父親から美容師なんて水商売だ。ろくな仕事じゃない。と言われ事務職に転職したのだ。その話を何度もされた。


しかも母親はそれを言ってくれてよかったの。そのおかげで辞めれたのって話してた。

その時はそんなに気にとめもしなかった。
他愛もない話。



今の父親と母親は毎年旅行に行くくらい仲は良かった。記念日も食事に出かけるし、父親も記念日のプレゼントは忘れない。
多少のグチはあっても、仲良くやっている。




そうか…
あの人は父親に似てるのか…
ならば、私も母親のようにこれでよかったと思える日がくるかもしれない…
そんな風に考えた。

いや、考えてたのではなく、思い込もうとしていたんだ、、、。
見えてるものを見ないようにして。
いいように現実から目を逸らして、妄想で組み替えて、、、、。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

処理中です...