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第1章 俺、騙されてないよね?
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「おー、やっと来たか挙動不審少年!」
姿の見えない鞘火の声が聞こえてきた。先ほどの仁の挙動不審っぷりを見ていたのは老婆だけではなかったという事だ。笑いを含んだ声をかけてくる。
「早くこっちに来い!約束の時間ギリギリだぞ、まったく」
「ホッホッホ。さぁ、どうぞ奥へ。私はお茶を用意してきますので」
「はぁ、すいません。お気を使わずに・・・・・・」
老婆は笑みを浮かべながら別の部屋に消えた。仁は入口からそのまま奥の部屋へと進み、ドアをノックした。すぐに鞘火が声を返してくる
「早く入れ」
「失礼します」
部屋に入ると部屋の奥で鞘火が大きな机に座っていた。応接室にもなっているのだろう、鞘火が座る机の前にはソファと机が置いてある。
机に座る鞘火の後ろには、外に面した大きな窓。ブラインドは下りているが、時間的に落ちかけの太陽が夕日となって窓から差し込み、鞘火を背中から照らす。
鞘火は薄暗い部屋の中で夕日を背負って足を組み、部屋に入ってきた少年を見つめている。
「待っていたぞ、少年。君が来てくれるのを楽しみにしていたのだよ」
唇を挙げて蠱惑的に語りかけてくる。狙ってやっているのかわからないが、その妖艶な姿に仁は目を逸らしてしまった。心臓の鼓動が明らかに早くなり、頬に熱があるのが自分でも分かる程だ。
「目を逸らすな、少年!話しかけているのに失礼ではないかね?」
「す、すいません。とりあえず、その机から降りていただければ・・・・・・・」
「まったく、最初から私の職業を馬鹿にしたり、話しかけているのに顔をこちらに向けないしと。少年は私のことが嫌いなのかね?まだ、二回しか会っていないのだが?」
「そ、そんな事はありません。驚いたというか、なんというか・・・・・・」
横を向いている仁の視線がチラチラと鞘火の足に向いている。鞘火がその視線に気づいたのか。ニヤリ、と先ほどとは質の違う笑みを浮かべる。
「ほほぅ、何が気に入らないのか分からないなぁ。さぁ、気に入らない事があるなら早く言ってみるがいい。善処するぞ?」
そういいながら、長い足を仁の前に放り投げてくる。
「何が気になるのか早く言うのだ、少年!君がこちらを向いてくれなければ仕事の話ができないではないか」
「わざとやっているでしょ!やめて下さいよぅ」
「だから、何をやめろというのだ?具体的に教えてもらわないと私はわからなんなぁ」
明らかに面白がっている鞘火の口調に仁が頭をかかえそうになった時、助けがやってきた。
「何をやっているのだ、お前は?仁様が困っているではないか」
「困らせて遊んでいるのだ!・・・・少年が恥ずかしそうにしている姿は中々そそるものがあると思う」
悪びれずに鞘火は言う。
「・・・・・・人で遊ばないでください」
「はぁぁ」
仁が肩を落とし、老婆が深いため息をついた。
「いつまでも遊んでいてもしょうがないな。仕事の話ができない。まったく、少年のせいだな」
「何でですか!さっき自分で遊んでるって言ったくせに」
仁の文句を聞き流しながら鞘火が机から腰を下ろした。そのまま応接用のソファに移動し、対面に座るように仁に促す。
「立ったままでは話もできない。そこに座れ」
「・・・・・・・・」
「すまんな、本当なら所長もいる筈だったのだが、所用で外さなければならなかったのだ。よって、説明も私からさせていただく。許せ」
仁はあまりにマイペース過ぎるお姉様に色々と文句を言いたくなったが、口に出すと更に遊ばれそうな気がしたので黙って座った。座った鞘火は組んでいる足を揺らしている。仁の視界に揺れている足が目に入ってくるが、今度は強い意志をもって目をそらさないようにした。鞘火はそんな仁の様子を愉快そうにみながら
「改めて自己紹介をさせてくれ。私がこの『神威探偵事務所』のエースである、鞘火だ」
そこで一旦言葉を切って、鞘火が勢いよく立ち上がる。座っていた仁は鞘火を見上げる形になる。鞘火は頭と腰に手を当ててモデルのようにポージングしてながら言い放った!
「美人な上にプロポーションも完璧。仕事もできるスーパー探偵だ!尊敬していいぞ!!」
「おぉー、凄いッス。俺、そこまで自分に対して自信満々の自己紹介聞いたことないッス」
仁は拍手をして鞘火を褒め称えた。視線は若干白けているが・・・・・・・
仕事がどの程度できるのか今の仁は確認していないので分からないが、鞘火の姿を見ていると、才気煥発・傲岸不遜という言葉が頭に浮かんでくる。後は・・・・・傍若無人。
エース(自称)というからには実際仕事もできるのだろうし、容姿が美しいのは今見ている通りである。あながち間違いではないだろう。勝手に人を巻き込みながらのマイペースも今までの会話でも十分理解した。
仁の拍手に気をよくしたのか、仁の前で様々ポーズを変える鞘火。拍手を送り続ける仁の前にお茶が差し出された。
「ウチのお調子者が申し訳ありません。粗茶ですがどうぞ」
「ありがとうございます・・・・・えっと」
仁はお礼を言おうとして、老婆の名前を聞いていないことに気が付いた。
「これはこれは、私としたことが。きちんとした自己紹介をしておりませんでした」
老婆深く頭を下げる。
「この事務所の家事全般を担当させていただいております、水(みず)緒(お)と申します。よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
鞘火に送っていた拍手をやめて、水緒に返礼を行う。拍手がなくなった鞘火は自分にも出されていたお茶を飲みながら言った。
「掃除・洗濯・料理と、なんでもお任せのスーパーババァだ」
「だれがスーバーババァだ!まったく失礼な奴じゃのぉ。もうメシを作ってやらんぞ?」
「そ、それは困る。少年、あまり水緒を怒らせるなよ。私までとばっちりではないか!」
「人のせいにしないで下さい!俺は挨拶しただけですよ!!」
……マジで最悪だこの人。自己紹介だけでどんだけ疲れるんだよ
仁はドンヨリとした目で鞘火を見た。
……美人なのは確かだけど一緒に仕事はしたくないタイプだなぁ
「その目はなんだ、少年よ?まるで私とは一緒に仕事をしたくないという感じだな?」
「そ、そんな事思っていませんよ?」
心の中で考えていた事に図星をつかれて慌てて首を振る。
「まぁいい。次は少年の番だぞ?」
鞘火、水緒と順番でくれば部屋に残っているのは仁しかいない。
「えっと、早馬 仁と言います。今は浪人生です。予備校とバイトの毎日です。よろしくお願いします」
こんなものかと思いながら、仁は頭を下げる。特に紹介できるような特技もない。現状の紹介だけで十分だろう。そんな仁を鞘火はつまらなそうに見る。
「顔は平凡、成績も浪人生という事である程度は想像できる。自己紹介にも何の面白みもない」
鞘火は仁に指を突き付けながら言う。
「とても残念でガッカリな少年だな。モテないだろ?」
「ヒ、ヒド・・・・・」
仁の頭の中にまた四文字熟語が浮かんできた『無礼千万』。ほぼ初対面の人間に対してここまでの事をいえる人間は中々いないだろう・・・・・仁の前に一名存在するが。
うなだれる仁に対して、鞘火は満足気な顔をしている。
「しかし、そんな仁様を『才能がある』『見込みがある』と言って連れてきたのはお前だろうが?」
水緒は仁を慰めるように言った。
「その通りだよ、水緒。私は少年の隠れた才能を見いだしてしまったのだ。既に水緒にもわかっているのだろう?少年を近くにして、何も感じていないはずはないからな」
「ホッホッホ」
口では笑っているが、その目は笑っていない。品定めをするように仁に視線を向ける。しかし、すぐに頷いて仁に優しく話しかけた。
「鞘火の目利きに間違いはありませんよ。自信を持って下され。私も仁様には才能があると思います」
「はぁ、ありがとうございます?」
才能があると言われて嬉しいのは確かだが、肝心の部分が分からない。
鞘火と水緒が言ってくれる仁が持っているという才能。それが自分自身では分からないのだ。今までの人生の中で褒められるような才能を発揮した場面が仁には思いつかない。
姿の見えない鞘火の声が聞こえてきた。先ほどの仁の挙動不審っぷりを見ていたのは老婆だけではなかったという事だ。笑いを含んだ声をかけてくる。
「早くこっちに来い!約束の時間ギリギリだぞ、まったく」
「ホッホッホ。さぁ、どうぞ奥へ。私はお茶を用意してきますので」
「はぁ、すいません。お気を使わずに・・・・・・」
老婆は笑みを浮かべながら別の部屋に消えた。仁は入口からそのまま奥の部屋へと進み、ドアをノックした。すぐに鞘火が声を返してくる
「早く入れ」
「失礼します」
部屋に入ると部屋の奥で鞘火が大きな机に座っていた。応接室にもなっているのだろう、鞘火が座る机の前にはソファと机が置いてある。
机に座る鞘火の後ろには、外に面した大きな窓。ブラインドは下りているが、時間的に落ちかけの太陽が夕日となって窓から差し込み、鞘火を背中から照らす。
鞘火は薄暗い部屋の中で夕日を背負って足を組み、部屋に入ってきた少年を見つめている。
「待っていたぞ、少年。君が来てくれるのを楽しみにしていたのだよ」
唇を挙げて蠱惑的に語りかけてくる。狙ってやっているのかわからないが、その妖艶な姿に仁は目を逸らしてしまった。心臓の鼓動が明らかに早くなり、頬に熱があるのが自分でも分かる程だ。
「目を逸らすな、少年!話しかけているのに失礼ではないかね?」
「す、すいません。とりあえず、その机から降りていただければ・・・・・・・」
「まったく、最初から私の職業を馬鹿にしたり、話しかけているのに顔をこちらに向けないしと。少年は私のことが嫌いなのかね?まだ、二回しか会っていないのだが?」
「そ、そんな事はありません。驚いたというか、なんというか・・・・・・」
横を向いている仁の視線がチラチラと鞘火の足に向いている。鞘火がその視線に気づいたのか。ニヤリ、と先ほどとは質の違う笑みを浮かべる。
「ほほぅ、何が気に入らないのか分からないなぁ。さぁ、気に入らない事があるなら早く言ってみるがいい。善処するぞ?」
そういいながら、長い足を仁の前に放り投げてくる。
「何が気になるのか早く言うのだ、少年!君がこちらを向いてくれなければ仕事の話ができないではないか」
「わざとやっているでしょ!やめて下さいよぅ」
「だから、何をやめろというのだ?具体的に教えてもらわないと私はわからなんなぁ」
明らかに面白がっている鞘火の口調に仁が頭をかかえそうになった時、助けがやってきた。
「何をやっているのだ、お前は?仁様が困っているではないか」
「困らせて遊んでいるのだ!・・・・少年が恥ずかしそうにしている姿は中々そそるものがあると思う」
悪びれずに鞘火は言う。
「・・・・・・人で遊ばないでください」
「はぁぁ」
仁が肩を落とし、老婆が深いため息をついた。
「いつまでも遊んでいてもしょうがないな。仕事の話ができない。まったく、少年のせいだな」
「何でですか!さっき自分で遊んでるって言ったくせに」
仁の文句を聞き流しながら鞘火が机から腰を下ろした。そのまま応接用のソファに移動し、対面に座るように仁に促す。
「立ったままでは話もできない。そこに座れ」
「・・・・・・・・」
「すまんな、本当なら所長もいる筈だったのだが、所用で外さなければならなかったのだ。よって、説明も私からさせていただく。許せ」
仁はあまりにマイペース過ぎるお姉様に色々と文句を言いたくなったが、口に出すと更に遊ばれそうな気がしたので黙って座った。座った鞘火は組んでいる足を揺らしている。仁の視界に揺れている足が目に入ってくるが、今度は強い意志をもって目をそらさないようにした。鞘火はそんな仁の様子を愉快そうにみながら
「改めて自己紹介をさせてくれ。私がこの『神威探偵事務所』のエースである、鞘火だ」
そこで一旦言葉を切って、鞘火が勢いよく立ち上がる。座っていた仁は鞘火を見上げる形になる。鞘火は頭と腰に手を当ててモデルのようにポージングしてながら言い放った!
「美人な上にプロポーションも完璧。仕事もできるスーパー探偵だ!尊敬していいぞ!!」
「おぉー、凄いッス。俺、そこまで自分に対して自信満々の自己紹介聞いたことないッス」
仁は拍手をして鞘火を褒め称えた。視線は若干白けているが・・・・・・・
仕事がどの程度できるのか今の仁は確認していないので分からないが、鞘火の姿を見ていると、才気煥発・傲岸不遜という言葉が頭に浮かんでくる。後は・・・・・傍若無人。
エース(自称)というからには実際仕事もできるのだろうし、容姿が美しいのは今見ている通りである。あながち間違いではないだろう。勝手に人を巻き込みながらのマイペースも今までの会話でも十分理解した。
仁の拍手に気をよくしたのか、仁の前で様々ポーズを変える鞘火。拍手を送り続ける仁の前にお茶が差し出された。
「ウチのお調子者が申し訳ありません。粗茶ですがどうぞ」
「ありがとうございます・・・・・えっと」
仁はお礼を言おうとして、老婆の名前を聞いていないことに気が付いた。
「これはこれは、私としたことが。きちんとした自己紹介をしておりませんでした」
老婆深く頭を下げる。
「この事務所の家事全般を担当させていただいております、水(みず)緒(お)と申します。よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
鞘火に送っていた拍手をやめて、水緒に返礼を行う。拍手がなくなった鞘火は自分にも出されていたお茶を飲みながら言った。
「掃除・洗濯・料理と、なんでもお任せのスーパーババァだ」
「だれがスーバーババァだ!まったく失礼な奴じゃのぉ。もうメシを作ってやらんぞ?」
「そ、それは困る。少年、あまり水緒を怒らせるなよ。私までとばっちりではないか!」
「人のせいにしないで下さい!俺は挨拶しただけですよ!!」
……マジで最悪だこの人。自己紹介だけでどんだけ疲れるんだよ
仁はドンヨリとした目で鞘火を見た。
……美人なのは確かだけど一緒に仕事はしたくないタイプだなぁ
「その目はなんだ、少年よ?まるで私とは一緒に仕事をしたくないという感じだな?」
「そ、そんな事思っていませんよ?」
心の中で考えていた事に図星をつかれて慌てて首を振る。
「まぁいい。次は少年の番だぞ?」
鞘火、水緒と順番でくれば部屋に残っているのは仁しかいない。
「えっと、早馬 仁と言います。今は浪人生です。予備校とバイトの毎日です。よろしくお願いします」
こんなものかと思いながら、仁は頭を下げる。特に紹介できるような特技もない。現状の紹介だけで十分だろう。そんな仁を鞘火はつまらなそうに見る。
「顔は平凡、成績も浪人生という事である程度は想像できる。自己紹介にも何の面白みもない」
鞘火は仁に指を突き付けながら言う。
「とても残念でガッカリな少年だな。モテないだろ?」
「ヒ、ヒド・・・・・」
仁の頭の中にまた四文字熟語が浮かんできた『無礼千万』。ほぼ初対面の人間に対してここまでの事をいえる人間は中々いないだろう・・・・・仁の前に一名存在するが。
うなだれる仁に対して、鞘火は満足気な顔をしている。
「しかし、そんな仁様を『才能がある』『見込みがある』と言って連れてきたのはお前だろうが?」
水緒は仁を慰めるように言った。
「その通りだよ、水緒。私は少年の隠れた才能を見いだしてしまったのだ。既に水緒にもわかっているのだろう?少年を近くにして、何も感じていないはずはないからな」
「ホッホッホ」
口では笑っているが、その目は笑っていない。品定めをするように仁に視線を向ける。しかし、すぐに頷いて仁に優しく話しかけた。
「鞘火の目利きに間違いはありませんよ。自信を持って下され。私も仁様には才能があると思います」
「はぁ、ありがとうございます?」
才能があると言われて嬉しいのは確かだが、肝心の部分が分からない。
鞘火と水緒が言ってくれる仁が持っているという才能。それが自分自身では分からないのだ。今までの人生の中で褒められるような才能を発揮した場面が仁には思いつかない。
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