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第3章 ソロプレイヤー
第百十四話
しおりを挟むマリアさんの乱入により、僕とゼルはダッシュでこの場を離脱した。
人一人通れるほどの狭い路地に入ると僕は後ろを振り向いた。
「あ、逃げたぞ!」
「貴方達どいてください!ファントムさんは私が」
「うっせーぞ姉ちゃん!アイツはオレらの獲物だ!」
愛の戦士一行とマリアさん一行が揉めながらも僕らを追って来ている。
あ、良かった。ちゃんと連いて来ている。
「ゼル、先行して」
「了解です。しかし兄貴…マリア達はどうしましょう?」
うーん…できれば相手にしたくないっていうか戦いたくない。
「僕らのターゲットはあくまで愛の戦士達だから…」
「…了解しました。なんとかアイツらだけを狙います」
「うん、ダメそうなら巻き込んでもいいよ」
「了解です。では兄貴、自分は先に行きます」
「うん、気をつけてね」
ゼルは脚を早めて次の曲がり角を左に曲がっていった。
僕は一瞬足を止めて近くにあったゴミバケツを蹴飛ばした。
「おお!?」
後を追う愛の戦士が立ち止まる。
「ちょっと!急に止まらないでください!」
「うるせーなしょうがねーだろ!」
僕は再び走り始めると曲がり角を右に曲がった。
少し進んで立ち止まり後ろを振り返る。
愛の戦士達がこちらに向かって走ってきたのを目にした僕はまた走り出した。
よし。マリアさん達も連いてきているけど一応作戦通りだ。
そろそろやるか。
僕はまず【心眼】を発動させ180度反転。
踵を返してこちらへ走ってくる愛の戦士に向かっていった。
「!?」
急に向かってきた僕に面を食らったのか、愛の戦士は慌てて立ち止まり迎撃の構えをとろうとした。
「きゃあ!」
愛の戦士の後ろを追走していたマリアさんが止まれず愛の戦士にぶつかった。
その後ろに続く人達も急には止まれずに次々と玉突き衝突していく。
その隙を狙い駆け寄った僕は剣を振るった。
愛の戦士は僕の剣を見事に防いだ。
おお!と内心驚く僕。でもこれは想定の範囲内。
「【咆哮】!」
僕を中心に挑発スキルのエフェクトが狭い路地裏に広がっていく。
これで愛の戦士のタゲが取れたはず。
僕は剣を引き、後ろに跳んだ。
追撃がくるかと思ったけどこない。
僕は中空で反転し、着地と同時に再び駆け出した。
「待てやコラァァァ!」
ちらりと振り向くと愛の戦士が追いかけてきていた。
さらに後ろを見ると、他の人達は少し遅れていた。
愛の戦士が先行しすぎてるな…と思った僕はほくそ笑んだ。
一応作戦通りだ。
頼んだよゼル。
僕は手を挙げたその時、上から降り注いだ黒い霧が後を追うマリアさん達を包み込んだ。
「きゃあ!また真っ暗です!?」
「おい、急に止まるなよ!」
「んなこと言っても視界不良で身動きとれないっすよぉ」
「隊長落ち着いてください!」
「うぇ~ん!暗いの怖いです~!」
マリアさん達は軽くパニックが起きているようだ。
ていうかマリアさんって暗所恐怖症なのね…(苦笑)
なんか罪悪感を感じるけど、今が好機!
僕はなけなしの勇気を振り絞って覚悟を決める。
急所さえ守れればいい…!
僕は手に持つ剣を腰の鞘に納めると、愛の戦士に向かって突っ込んでいった。
腰を落とした前傾姿勢のまま愛の戦士に突っ込んでいく。
「!?」
愛の戦士はゼルのブラックミストに包まれた後方を見つめていたけど、僕が動いたのを察してこちらを振り向いた。
いける…!
「タックルわぁ!腰から下ぁぁぁ!」
僕は愛の戦士の腰めがけて思いっきりタックルした。
僕はタックルした瞬間、重心を右に傾けて押し込む。
その先は路地裏の狭い壁。
「がはっ!」
愛の戦士はなす術なく壁に叩きつけられた。
僕はそのまま腰に抱きついたまま身動きの取れないようにホールドする。
「てめえ、なんのつもりだ?」
僕は頭上を見上げると笑みを浮かべた。
怒りに染まった愛の戦士の顔の向こうに人影が見える。
「なに笑ってんだてめえ…」
「【ペネトレイト】!」
屋上からこちらに飛び降りたゼルの必殺スキルが、見事に愛の戦士の脳天を貫いた。
短剣が根元近くまで刺しこまれている。
愛の戦士はなにが起こったのかわからないままHPが一気になくなり全損した。
身体が消え去り死亡マーカーとなった愛の戦士。
もしこの人が兜を装備していたら、結果は違っていたかもね…
まあ、とりあえず作戦は成功した。
僕が囮になって敵を押さえ込む。そして身動きの取れなくなった敵にゼルのスキルで即死を狙う。
この調子で各個撃破できたらいいなぁ。
その為にはなんとか仲間と離れされて組み付きにいかないといけない。
ヘタすれば僕が返り討ちにされる危険があるけど、そこは覚悟を決めてやるしかない。
どうせ死んでも僕は復活するしね。
ていうか他の三人もそうだけどなんで鎧、盾はちゃんと装備してるのに兜だけは装備してないんだろう?
頭部こそ急所判定付くのにね。
でも僕の攻撃を頭に喰らった黄金騎士は何故死ななかったのが疑問だ?
なにかのスキル?それとも………
「愛戦士さんやられたっすよぉ!?」
「マジか…!」
「テメエら…!マジ許さねえ!」
おっと、ブラックミストの効果はもうとっくに切れてたか。
目の前で仲間をやられていきり立っている。
くるか…?と思っていたらマリアさんがそれを制した。
「貴方達では荷が重すぎです。ここは私達七星騎士団にお任せください」
「うるせーっすよブス!」
「そうだブス、仲間がやられて黙ってられるか!」
「貴様!隊長に向かってブスとはなんだぁ!」
「なんだ文句あんのか!?テメーラから先にやっちまうぞ?」
「貴様等如きに我等を倒せると思っているのか?笑止!」
「たいちょー!抜剣許可をお願いします!」
………なんか、僕達そっちのけで揉めてるんですけど。
ていうかマリアさんはブスじゃないですよ。どう見ても美少女じゃないですか。あの三人の目はおかしいんですかね?
「兄貴、どうします?」
「うーん…」
どうしよっか?
「もう我慢ならん!」
騎士の一人がバランを殴った。
ナイス右ストレート。
バランがダウンした。
「てめえやりやがったな!」
「かかってくるがいい!」
「ぶっ殺すっすよぉ!」
「返り討ちにしてあげるわ!」
「ちょっとちょっと!皆さんケンカはダメですやめてくださーい!」
乱闘が起きた…w
マリアさんが一人仲裁に入ってるけど、全然止まる様子がない。
「はぁ…行こうかゼル」
「そうですね…」
なんか気が抜けてしまった僕は同じように気が抜けたゼルとともにそっとこの場から離れた。
息を潜めながら曲がり角を曲がり見えない位置に移動した僕らは二人揃って【隠蔽】を発動。
捜索しているPCに気をつけながら僕らは路地裏を進んでいた。
そろそろ大通りに出ないとルーネさんの家まで行けないな。
視界に映るMAPを見ると、大通りを出て北に五ブロック先の区画まで進まないとルーネさんの家には行けない。
「さすがに大通りは危険だよね?」
「たしかに発見される恐れが高まりますが、このまま路地裏を進んでも先へ進むことは難しいですね」
大通りに出る道まで進んだ僕らは身を潜めて相談していた。
MAPに映る大通りを見てみるとPCの反応がちらほらと映っている。
大体四人から六人単位で行動しているっぽい。
これはそれぞれのPTで捜索しているのかな?
もし一PTに見つかったら芋づる式に周囲のPTに見つかるだろう。
「ホントどうしようか?」
「ここは一気に…っ!?兄貴!」
急にゼルが僕に覆い被さってきた。
ちょっゼルさん!?
「くっ!?」
覆い被さってきたゼルが顔をしかめた。
ゼルの身体から力が抜け僕を押し倒すように倒れこんだ。
え…?なに、どういうこと?
ゼルを抱きとめ混乱する僕の視界に、ゼルのHPゲージが黄色に点滅していた。
ウソッ!?麻痺ってる…!
「ファーントムっちぃ」
聞きたくない声が聞こえた。
瞬間、身体が痺れたように動かなくなった。
ゼルを支える力を失った僕は、そのままゼルに押されるように倒れこんだ。
一体なにがどうなって………
「どうよ?我がギルド特製の麻痺毒の味は?」
目に映り込んだ人は、僕が昔憧れたギルマスで、現在進行形でムカついているPCだった。
ドンペリキング…!?
「しばらく動けないよ。なんせレベル10の最高に効く麻痺毒だから」
一体、いつの間に…?全然気がつかなかった…
目だけは動く。見える範囲を見回してみると、相変わらずチャラい顔のドンペリキングの他に、黒ずくめのPCが何人かいた。
ドンペリキングはしゃがみこんで僕を見つめている。
ヘラヘラ笑いながら僕を可笑しそうに見つめていた。
「ファントムっち、ちょーっとやりすぎたな。うちのギルド辞めただけじゃなくて、masatoと別働隊のメンバーを何人も殺ってくれちゃって…俺は悲しいよ」
ちっとも悲しくない顔で言っても説得力ないんですけど…
痺れて口に出せない代わりに胸の内で言う僕。
「つうかさ、どうやってmasato倒したの?うちの主力を瞬殺したってその場にいたギルメンが言ってたけど、どんなチート使ったのよ?俺にだけこっそり教えてみ。ガンスの作り方とかさぁ。あ、喋れないか、ハハハハハー」
笑ってるけど目は笑っていない。
かなり怒ってるみたいだけどそれはこちらも同じだ。
「お?なにその目。怖いんですけど~www」
「あ、ギルマス。来てくれたんすね」
この声は…さっき撒いた三人が追いついてきたのか。マリアさん達はいないの?
撒かれたから違うところに探しに行ったのかな?
「おう、暇だから来てみたらソッコーで捕まえちゃったよ。そいや、愛の戦士はどした?」
「コイツらにやられた」
「マジで!?おいおいファントムっち、また罪状が増えちゃったよおい?」
罪状ってなんだよ?クソが…!
「とりまぶっ殺して賞金ゲットだぜー!ってか」
「ギルマス、だったらオレにやらせてよ」
ドンペリキングの隣にさっき撒いた一人が目に映った。
「別にいいよー。バランに任すわ。愛の戦士の仇をとってやれ」
「あざーす」
バランは剣を抜くと、僕の隣に倒れているゼルの髪の毛を掴んで持ち上げた。
「まずは愛の戦士をキルしたこのNPCを殺してやる」
やめろ…!やめてくれ!
「頭ぶっ刺されてやられたから、同じように頭カチ割ってやんよ」
掴んだゼルを地面に叩きつけるように乱暴に離したバランは両手で剣を持ち振り上げた。
やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!!!ゼルを殺すな!!!
やるなら僕だけをやれよ!!!
ゼルを助けたいけど身体が痺れて少しも動かない。
クソッ!動け動け動け!!!
同じように痺れて動けないでいるゼル。
うつ伏せに倒れてゼルの表情が窺い知れない。
「こーろーせっ!こーろーせっ!こーろーせっ!」
ドンペリキングがふざけたことを繰り返し言いはじめた。
「「こーろーせっ!こーろーせっ!こーろーせっ!」」
「「こーろーせっ!こーろーせっ!こーろーせっ!」」
ドンペリキングが煽ったせいで周りのPC達が合唱しはじめた。
ふざけんなよ…!
僕は目頭が熱くなり涙が溢れてきた。
こんな奴らに遊ばれるようにゼルが殺される…
僕の、大切な仲間が…
それを助けることすらできない自分が情けなくて、悔しくて…
どうしようもできないことに、ただただ腹が立って仕方がなかった…
涙で視界が滲むなかで、バランの剣がゼルに振り下ろされた。
白刃がゼルの頭に喰い込んだ。
ゼルのHPが大きく減少する。
バランが再び剣を振り上げ、振り下ろした。
何度も何度も剣をゼルの頭に叩きつけられる。
その度に周りから虫酸のはしる歓声が起きた。
ゼルのHPが、ゼロになった。
『パーティメンバー、ゼル(NPC)が戦闘不能になりました』
そのシステムメッセージを目にした瞬間、僕の視界が赤黒く染まった。
さらに視界に表示されたシステムメッセージが流れた。
『大罪の業【憤怒】が覚醒しました』
力が溢れてくる。
僕の中からなにかが溢れ出した。
視界に無数のシステムメッセージが浮かび高速で流れていく。
『ファントムのHPが666%上昇しました』
『ファントムのMPが666%上昇しました』
『ファントムのSTRが666%上昇しました』
『ファントムのVITが666%上昇しました』
『ファントムのDEXが666%上昇しました』
『ファントムのAGIが666%上昇しました』
『ファントムのINTが666%上昇しました』
『ファントムのMNDが666%上昇しました』
『状態異常が無効化されました』
『全属性耐性が66.6%上昇しました』
『憤怒専用魔法、イーラシリーズ6属性+召喚魔法が使用可能になりました』
『憤怒専用スキル、ラースシリーズが使用可能になりました』
『【憤怒】効果時間66.6秒』
身体の自由を取り戻した僕は立ち上がった。
「なんだぁ!?」
ドンペリキングが後ずさりしながら僕から距離をとる。
警戒しているドンペリキング達を一旦無視して僕は自分の身になにが起こったのか確認していた。
赤黒い光が僕の全身から噴き出している。
なにこれ?赤いオーラみたいなのがブォンブォン出てる。
まるで気を全開にしたZな戦士みたいじゃん。
僕って実はサ○ヤ人、超サ○ヤ人ゴ○ドだったのか?
「まさか、大罪スキルか!?」
「マジかよ…ティマイオスのdaiの他に使えるプレイヤーがいたのかよ!」
まあ、なんでもいいや。
僕は騒ぐドンペリキング達を睨みつけた。
これなら戦える。ゼルの仇をうてる…!
「ちょ、ちょい待ち、タイム、ファントムっち…」
なにがタイムだクソ野郎…!
僕はドンペリキングに向かって一歩踏み出した。
瞬間、自分でもドン引きするくらいの速さで距離が詰まった。
眼前にはドンペリキング。
反応できてない?僕の動きはドンペリキングの認識から外れている感じだった。
構わず僕は右手を強く握りしめて振りかぶる。
そして、怒りに任せてパンチを放った。
ドンペリキングの顔面めがけて放たれた拳はドンペリキングの鼻にめり込み、一発ぶちかましてやった。
僕のパンチを顔面に喰らったドンペリキングは吹き飛び何度も地面をバウンドし粉々に砕け散った。
ポリゴンのカケラが舞い散り、死亡マーカーが浮かび上がった。
「一撃かよ…!?」
「嘘だろ?ギルマスは【不屈】スキル習得してんだぞ。たとえオーバーキルでもHPは1残るはずなのに…」
まさかワンパンで倒せるとは思わなかった…
まるでハゲてるヒーローみたいだ。
もっと痛めつけてから殺したかったけど仕方ない。
僕は残りのPCに目を向けた。
後ずさるPC達。
「ギルマスがやられたぞ、どうするんだおい」
「俺に言われても知らねえよ」
「バックレるか?」
ていうか逃がさないよ。
特にゼルを殺したアイツは…!
「ひぃ!」
僕に視線を向けられたバランは情けない声を出した。
僕は腰の剣を抜きバランに向かって飛び込んでいった。
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