上 下
5 / 5

5 VR版をプレイしてみた

しおりを挟む
 時間通りにゲームをインストールし、データの引き継ぎをした俺は、すぐVR版にダイブした。

 New Loading…

 ダイブした先はワンルームの部屋だった。

 壁際にベッド。
 窓際には机と椅子だけしかない殺風景すぎる部屋。

 視界の片隅に【学生寮自室】と表示されていた。

「たしかオリジナル版だとここで主人公のキャラクリしたな」

 『今日から新しい生活が始まる。冒険者の登竜門迷宮学園に無事入学を果たした俺の名は……』みたいな冒頭で名前の変更からはじまり、容姿や服装などのキャラクリができたんだけど、チュートリアルもなにも起きない。

「…………ステータスオープン」

 しばらく待って何も起きないから、とりあえずVRゲーム共通のコマンドを発してみたけどなにも起きない。
 なにか持ってないかとポケットに手を突っ込んで探してみたら、胸ポケットに学生証があるだけだった。
 学生証を開いてみると1ページ目に俺の引き継いだステータスが記載されていた。

『氏名:藤原 拓人
 職業:ユグドラシル迷宮学園 探索課 1年1組
 戦士:Lv:99
 武道家:Lv:99
 神官Lv:99
 魔導士Lv:99
 魔法剣士Lv:99
 騎士Lv:99
 聖騎士Lv:99
 召喚士Lv:99
 探索者Lv:99
 暗殺者Lv:42
 商人Lv:30
 ギャンブラーLv:30
 暗黒騎士Lv:1………etc.』

 攻撃力STRなどのステータスも記載されてるけど、ほぼほぼカンストしてる状態で、名前以外はまんま引き継いだステータスだった。
 探索と戦闘に使える職業とスキルは大抵習得してあるし、ぶっちゃけパーティを組まなくてもソロで学園の最下層まで行けるしボスも倒せる。
 さすがに裏ボスはソロ攻略無理だけど……。

「まあ、ヒロイン達とパーティ組みたいからソロは絶対ないけどね」

 てか、いちいち学生証見ないとステータス確認できないのか。
 そもそも学生証なのに校則すら書かれてないんですけど……と、思いつつページをめくっていると、ガチャとドアが開く音がした。

「あれ?誰かいる?もしかしなくても君がルームメイト?俺はアレックス。アレクって呼んでくれよな。同じ部屋でクラスメイトだからこれからよろしくな!」

 入ってくるなりチャラい感じの男子、アレックスが俺に話しかけてきた。
 たしか主人公の友達になるキャラで戦闘だと後衛の魔導士。

「俺は藤原拓人。拓人でいいよ。よろしくアレク」

 そう言って俺はちらりとドアの方に目を向けた。
 これはもうゲームが始まっている。
 たしか主人公の語りのあとアレクが来て挨拶をすましたら来るはずだ。

 コンコンとドアをノックする音がしたあと

「タッ君いるー?」

 返事もしてないのに入ってくる女子。
 やっぱり来たか。主人公の義姉でありこの学園の生徒会長でヒロインの一人。

 ルビーフィア・ゼノン。

「えっ!?せ、生徒会長!?」

 アレクが驚いたように口にした。
 まあ、生徒会長がいきなり入ってきたらびっくりするか。

「ふあああ…!タッ君制服似合ってるよ!カッコイイ!」
「っ!?」

 俺の側に来てベタベタ触れるルビーフィアに対して俺は石のように固まった。

 え、ちょっと待って。
 スキンシップが強すぎて無理なんですけど!?

 VR化したルビーフィアは可愛すぎて俺には刺激が強すぎた……



 

 


 
 

 






 

 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

謎の隕石

廣瀬純一
SF
隕石が発した光で男女の体が入れ替わる話

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...