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ごめん、嫉妬した。
02
しおりを挟む「梓は? 俺のこと好き?」
「……わからない」
かっこいいと思うし、好きだけど、それがキスをしたくなるような部類の好きかはわからない。
「そっか。それはしかたないね」
雪哉はそう言いながらも、まだ身体を退ける気配がない。
「でも、雪哉くん、急になんで……?」
「急っていうか……子どもの頃から可愛いなって思ってたけど。再会して大人になった梓を見て、改めて好きだな、キスしたいなって思っただけ」
「え、え!」
雪哉がこんなに饒舌になってるのも初めてだし、雪哉の気持ちを聞いたのも初めてだ。
「そんなの、知らなかった……」
「別に言うつもりもなかった。今聞かれたから」
「言うつもりなかった、って……」
どういうこと?
高度な恋愛テクニックなのだろうか。
梓にはちっともついていけない。
それに、雪哉はまだ梓を見下ろした体勢のまま動かない。それどころかまた顔を近づけてくる。梓の耳元に唇を寄せて、息がかかりぞわりとした。
「ねえ……もう一回キスしていい?」
「え」
「梓のこと好きだから」
「それ、理由になってない……っ」
唇がふれ、舌は梓の唇を割り、中へ入ってくる。
また受け入れてしまう。
正直に言うと、雪哉とのキスは気持ちがよかった。
今まで唇の表面にふれるだけのキスしかしたことのない梓は、新しい感覚に身体が痺れるようだった。初めてキスをされた日から、何度も何度も思い返すほどだ。
だから今、再びキスをされて頭の中が蕩けそうになっていた。
流されちゃだめだ、と思いつつも流されてしまいたくなるほど気持ちがいい。
こんなのずるい。
でも、欲望に負けてはだめだ。
「……っ、雪哉くん、だめだってば」
まるで犬をしつけるようにストップをかけていた。
「……だめ?」
「だ、だめ!」
「わかった」
雪哉はようやく身体を持ち上げ、梓の腕を掴み起き上がらせてくれた。
「梓がいいって言うの待ってるよ」
そう言いながらも唇にふれるだけのキスが落とされた。
「い、言ってないのにした」
「ああそっか。こういうキスもだめか。わかった」
雪哉は納得した様子で梓から離れてくれる。
でも、梓はずっとドキドキしたままだ。
激しいキスも、身体にふれた温もりも、初めてばかりで頭も身体も混乱するばかりだ。
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