せんぱいの秘密

春密まつり

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09.遊び相手*

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 大好きな先輩、猛の「遊び相手」になって十数日。

「あ……っ」
 猛の手が制服の中に入り込み、素肌を撫でる。首筋を舐められて、背後から抱きしめられながらくるみは小さく声を上げた。
 個室の中に二人はさすがに狭いだろう。特に猛の身体は大きいのだ。密着しているからとはいえ、窮屈だった。
「な、なんでこんなとこ」
「誰も来ないからだ」
 空き教室がある階の、端にあるトイレ。男子トイレの個室の中で情事は行われていた。きっかけはなんだったか覚えていない。
 だって最近は、毎日こうしているのだ。
 遊び相手にしてほしいと懇願した次の日には家に連れて行かれたし、最初は猛の家ばかりだった。けれど最近では、放課後だけじゃなくて昼休みや授業中まで、校内のどこかで猛と会うたびにどこかへと連れて行かれて、行為に至る。
「百瀬の身体、熱い……っ」
 首筋に熱い吐息がかかり、ぞくぞくと震えた。
 毎日さわられているせいかくるみの身体は猛の顔を見ただけで熱を持つようになっていた。
「っ」
 お尻に当たる熱く硬いもの。
 なにも知らなかったくるみは、その正体さえわかるようになってしまった。
「……俺の、さわってくんない?」
「………え」
「ほら、こっち」
 身体をくるりと反転させられ、真正面見上げると猛の鋭い目が見つめてくる。手をとられて、そっと彼の下腹部に導かれた。
 どきどきどき、と心臓がうるさい。
 猛も緊張しているのか、手の動きはゆっくりだ。
 下腹部からさらに下へと導かれると、そこには想像以上に熱いかたまりがあった。
「あ……」
 小さく声が漏れる。
 男性器をさわったのは初めてだったのだ。
 恥ずかしさよりも好奇心が勝り、自らそっと撫でるように手を動かしてみた。
「……っ、う」
 すると猛が低く呻る。
 大きな身体を揺らしている姿が新鮮で、くるみはさらに手を動かした。制服の上から撫でているだけだ。たったそれだけで猛は大きく反応をする。
「痛くは、ないんですか?」
「……すげえ、気持ちいい。もっと……さわってほしい」
 頬を上気させながら猛は制服のベルトを外し、チャックを下ろす。下着をずらすと、欲望が頭をもたげる。
「ひゃっ」
 つい声を上げてしまった。
 猛の欲望は太く長く、反り返っていた。
 間近で見る高ぶりに視線をそらしたいのに、目が離せない。
 前は驚いてあまりじっくりと見ることができなかったけれど、こんな正面にあったら、いやでも視界に入ってくる。
「直接、さわって」
「……」
 ごくりと唾を飲み込んだ。
 服の上からさわるのとでは大きく違う。ただの素肌をさわっているわけじゃない。猛の欲望を、さわるのだ。覚悟が必要だった。
 くるみがなかなかさわろうとしないことに焦れたのか、猛の手が再びくるみの手首を掴むみ、自らの高ぶりに引き寄せた。
「あっ、熱い……」
 布越しでさわるよりももっと熱い温度と、ぺたぺたとした質感。ぬるりとしていて、くるみの手までが熱を帯びる。恐る恐る、手のひらでふれてみると猛が一際身体をびくつかせた。さっきよりもすごい反応だ。
 うれしくなって、手で包むようにふれてそっと撫でる。敏感なところだということはわかっていたので、あくまで弱く。
「……っ、ハ、やばい……」
 熱い息が漏れる。
 気持ちよさそうにしている猛を見ていると、猛の高ぶりをさわっていると、くるみまで身体の芯が熱くなり、奥から甘い蜜が溢れてくるのがわかる。猛の欲望はさわっているうちにさらに熱を持ち、硬くなり、大きくなる。あんなに大きかったのにまだ変化するものなのだと、目をまるくした。
「もっと、強く」
 荒い息のなか猛が訴える。
 どのくらい力を入れたらいいかわからないので自分が思うちょっと強めで、彼の高ぶりを撫でた。体格差があるから、思ったよりも強く。
「ん、いい……」
 恍惚とした表情で猛は息を吐く。
 くるみは、これでよかったんだ、と安堵した。
「もっと上下にこすってくれないか」
 だんだんと猛がしたいことを言い始めてくれるのでくるみはうれしかった。いつもはされるばかりで彼の願いを叶えていないと思っていたから。
 これで少しは、遊び相手として満足させられているのだろうか。
 言われた通りに手を上下に動かす。ぬるついているので動かすのが楽だった。ぐちゅぐちゅと音が鳴り始め、すべりもどんどんよくなっていく。くるみも徐々に慣れ始めてこうすれば猛は気持ちいい顔をしてくれる、とわかるようになってきた。
 猛は先端の出っ張りの溝に指を引っ掛けると、びくびくと揺れるのだ。うれしくなって何度もそこを指で強くなぞっていると、猛の呼吸が忙しなくなる。
「も、やば」
「んんう」
 顎を持ち上げられて、唇が重なる。
 キスをしながら猛がびくびくと震えた。
 手がなにかで濡れた。


「……悪い。変なことさせて」
 猛に連れられるまま手をよく洗って、制服を整える。
 初めて、猛の高ぶりを直接さわってしまった。
「い、いえ……」
今さら恥ずかしくなって、うつむくと、猛の手が頭を撫でる。
 猛はやさしい。やさしいことは変わらない。
 だからこそ誰とでもこんなことをしているのだと思うと詫びしさばかりが残る。もっと、思いっきり遊んでくれたらいいのに。ひどくしてくれてもいいのに。
 他の子にはしてないことを、してほしい。
 くるみは猛の大きな手が大好きだ。最初は戸惑っていた行為も、ふれられるたびに気持ちよくなるようになっていた。あの手が、他の誰かをさわっていると考えるだけでもやもやして、泣きたくなる。
 それに猛は、いつもさわったり舐めたりするだけで、そこから先のことはしてくれない。時折同情するような視線を送られている気がするから、遠慮しているのだろうか。そんなこと気にしなくていいのに。
 いつまでもこのままじゃだめだ。
 もっと、ちゃんと、遊び相手らしくならないと。
「べ、別にはじめてじゃないので大丈夫です!」
 張り切って主張した。もちろん嘘だ。
 すると猛は目をまるくして、くるみを凝視している。
「そうなのか?」
「はい!」
 慣れているので、と付け加えた。
「あっそ。じゃあもっとしていいのか?」
「え? でも授業が」
「サボる」
 短く言うとまた個室に閉じ込められた。
 終わったと思っていた行為なのにくるみの一言で火をつけてしまったらしい。
「脱いで、見せろよ」
鋭い声が響く。
やさしかったのに急に怖くなる。
「慣れてるんだろ? スカート上げろ」
 これくらいきっと、他の子なら簡単にするんだ。
 わかってはいるけれど恥ずかしくて手が動かない。でもここで逃げてしまったら今度こそ呆れられてしまうだろう。慣れていると言ってしまったし、勇気を出してスカートの裾をぎゅっと掴んだ。
 ゆっくりと持ち上げていく。
 猛の視線が太腿にあるのが恥ずかしくて、顔を背けながらスカートを下着が見えるところまで持ち上げた。
「……こんなことまでやるんだな」
 ぽつりとつぶやいて猛は一歩近づく。手がくるみの下腹部を撫で、下着の上から秘部をさわる。
「……俺のさわっただけでこんなに」
「っ……あ」
 指先で秘部の割れ目をこすられる。
「気持ち、いいのか?」
「ぅ、ん」
 下着が張り付いて気持ちが悪いけれど猛の指先が割れ目をなぞるたびになんとも言えない快感の波が襲う。
「ひゃうっ」
「ここ、女はすげえ気持ちいいらしいな」
 割れ目をなぞっていた指先が下着の中に入ってきて、直接さわる。隠れていた芽を指で弄られて、足が震えた。
「……っそ、そうなんですか?」
 確かに今までにはない感覚だ。もう立っていられない。
「知らないのか? 慣れてんのに」
「ち、ちが」
「……っと」
 足の力をなくし、猛にしなだれかかる。猛の指は秘部にふれたまま小刻みに動き始める。花芯をくりくりと弄られ、ぬかるんだくるみの蜜口が指を飲み込んだ。
「前より感じてるのか」
 長くて太い猛の指が中に入ってくるのがわかった。
 次第に猛の息もまた荒くなってくる。やさしく中に入ってくる指が抽送を繰り返し、新た
な圧迫感がくるみを攻める。
「二本、はいった」
「え」
 なにが、と言おうとしてぎりぎりのところで口をつぐんだ。嘘がばれてしまわないように、余計なことは言ってはだめだ。慣れているように見せないと。
 与えられる刺激の中くるみの思考を占めるのは、とにかく遊んでいるように見られないといけないということだ。
「き、もちいです、先輩……もっ、としてください……」
「っ」
 涙が浮かんでいるせいで猛の表情はぼんやりとしかわからないけれど、上目で見つめて必死に訴える。
「わ、私もしてあげます、から」
 さっきみたいなことを。
「百瀬、わかってんだろうな。その意味」
「わかって、ます。だって、慣れてる、もん……っ」
「っ!」
 中をかき混ぜている二本の指が急に荒々しく動き始めた。中を掻き混ぜられるたびに淫らな水音が聞こえる。
 個室の中に、二人の息遣いと濡れた音、時折漏れる声が響く。
「あ、あう」
 猛の胸の中に収まりながら激しく愛撫され、嬌声を上げる。猛の制服を汚してしまうわけにはいかないのに開きっぱなしの口からは唾液がこぼれてしまいそうになる。
 長い間この場所にいるけれど、一向に人の気配がないことに気がついてからは、くるみは声を我慢できなくなっていた。
 猛に愛撫されるたびに甘ったるい声が漏れる。
「ふ、う……ん」
「いきそうか?」
 頭上から荒くなった息と声。
 見上げるとじっと見つめられて、鋭い視線に全身が錬れた。
「――っ!」
 視線に射抜かれるようにくるみはぎゅうと身体を収縮させた。
「っ、は、あ……あ」
 おとずれた絶頂に、身体はさらに力が入らなくなる。

「指、食われるかと思った」

 猛は苦く笑った。
 慣れていると伝えたら猛の動きは激しくなった。
 でもやっぱり、最後まではしてくれなかった。
 慣れていることをアピールしてもだめみたいだ。きっと子どもっぽい身体をしているから満足させてあげられないんだ。
 どうしたら満足させてあげられるんだろう。
 どうしたら、満足してくれるのだろうか。


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