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44話 急展開
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そして、なんやかんやあって、俺は外に出た。
「はぁ、面倒事体質か……」
「ハ、ハース様……!」
「あれ?
フェンリアル、それにみんなまで。
こんなところに集まってどうしたの?」
外に出た俺を待っていたのは、獣魔隊の隊員たちだった。
しかし、よくよく見てみるとそこにいるのは女性隊員のみ。
それに気づいた瞬間、身体がビリビリと痺れ、すごく嫌な予感がした。
「ねぇフェンリアル、どうして黙ってるの……」
俺は、1人先頭に立つフェンリアルに声をかけた。
すると、フェンリアルは顔を上げ、こう答えた。
「ハース様、すいませんガウ」
「え?」
「私も1人の女の子として、夢を全力で追いかけたいガウ!」
その直後、フェンリアルの目がハートに変化した。
「フェンリアルの目がハートに……」
そして、そのフェンリアルの言葉を皮切りに、獣魔隊女性隊員による猛追が始まった。
「私と結婚してください!」
その中には、あのオクトの姿もあった。
うーん、オクトなら悪くないかも……。
って、あほか俺は!
「ねぇ、ちょっと落ち着いて!
おーい、聞こえないのー!」
大声を出し、正気に戻そうと試みるが、これといった効果はない。
となれば、もうこれしかないよな……うん。
「よしっ、逃げよう!」
俺は魔王城裏側へと走った。
「ハース様ぁぁぉあああああ!」
ただ、流石は獣魔隊隊員。
全く疲れる気配がないのもそうだが、俺にピッタリ付いてきている。
「ふぅ、これで500回目と」
それに対して、俺は何度も何度も魔王城を回り、屋根を登っては降り、飛びかかってくる隊員たちをいなし続けている。
このままでは、いずれ疲れ果てて捕まるだろう。
「あぁもういっその事、空間転移でどこか遠くの島まで飛んじゃおっかなぁ」
その時だった。
「ハース様、こちらです!」
「この声は……レオルか!
おいレオル、どこだ、どこにいる!」
「ハ、ハース様が俺様の名前を呼んでくれてる……。
じゃなくて、ハース様、俺様たちは下です!」
「下!?」
「それと、この穴は長く持ちません!
さぁ、早くこちらへ!」
声のする方に目を向けると、綺麗に手入れされた玄関前の芝生に、ゴルフカップのような穴が1つ、ぽっかりと空いている。
「えっ、これに入るの……」
「ハース様……もう、持ちません……!」
レオルは自身の力をフルに使い、全力で穴を広げてくれている。
「あぁもう、分かったよ!
えーい、どうにでもなれー」
俺は無心で穴に飛び込んだ。
そして、俺が中に入ると同時に、その穴は姿を消した。
「よいしょ」
着地する瞬間に空間転移を使うことで、俺は華麗に着地を決めた。
「おぉー!」
パチパチパチパチと拍手で褒めてくれる彼らは、獣魔隊の男性隊員たちである。
「ハース様、この度のエモーラ認定、おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
「あっ、どうも」
人間は褒められると嬉しい。
これは当然である。
だがしかし、この時の俺は、『エモーラ』という魔族階級にうんざりしており、特に喜びを感じていなかった。
そのため、このような超薄いリアクションしか出来なかったのである。
ただ、それだけなのに……。
「おい見ろよ」
「あぁ、流石はハース様だぜ」
「エモーラと言えば、魔王様以外は絶対に選ばれることのない」
「幻の階級とか呼ばれてるのに」
「平然としていらっしゃる」
「うぉぉおおおおおお!」
と、まぁこんな感じで、あらぬ誤解を生んでしまったのである。
うーん、これも面倒事体質の弊害と言えるかも……。
「ハース様……あれ?
ハース様?」
あぁ、なんかもう考えること多すぎてムカついてきた。
はぁ。
無意識に魔力が高まっていく。
「ハース様いけません!
このままでは、地下通路が潰れてしまいます!」
地震のようにグラグラと揺れる地面。
「はっ……!
ごめんごめん。
ちょっと考え事してた」
危ない危ない、生き埋めになるところだった。
1回落ち着いて深呼吸をしよう。
スゥーーーハァーーーー。
「いえいえ、俺様の話しかけるタイミングが悪かったです」
何も、そこまで自分を下げることないのに……。
いや、今はいいか。
「それで、話って?」
「はい。
これは俺様たちの総意なのですが……」
「ん?」
レオルの表情が少し歪んでいる。
これは、何か重要なことを言おうとしているに違いない。
さぁ、何が来る……ドキドキ。
「獣魔隊を解散するべきだと思います!」
「……へ?」
なんかえぐいの来ちゃぁぁああああ!
「はぁ、面倒事体質か……」
「ハ、ハース様……!」
「あれ?
フェンリアル、それにみんなまで。
こんなところに集まってどうしたの?」
外に出た俺を待っていたのは、獣魔隊の隊員たちだった。
しかし、よくよく見てみるとそこにいるのは女性隊員のみ。
それに気づいた瞬間、身体がビリビリと痺れ、すごく嫌な予感がした。
「ねぇフェンリアル、どうして黙ってるの……」
俺は、1人先頭に立つフェンリアルに声をかけた。
すると、フェンリアルは顔を上げ、こう答えた。
「ハース様、すいませんガウ」
「え?」
「私も1人の女の子として、夢を全力で追いかけたいガウ!」
その直後、フェンリアルの目がハートに変化した。
「フェンリアルの目がハートに……」
そして、そのフェンリアルの言葉を皮切りに、獣魔隊女性隊員による猛追が始まった。
「私と結婚してください!」
その中には、あのオクトの姿もあった。
うーん、オクトなら悪くないかも……。
って、あほか俺は!
「ねぇ、ちょっと落ち着いて!
おーい、聞こえないのー!」
大声を出し、正気に戻そうと試みるが、これといった効果はない。
となれば、もうこれしかないよな……うん。
「よしっ、逃げよう!」
俺は魔王城裏側へと走った。
「ハース様ぁぁぉあああああ!」
ただ、流石は獣魔隊隊員。
全く疲れる気配がないのもそうだが、俺にピッタリ付いてきている。
「ふぅ、これで500回目と」
それに対して、俺は何度も何度も魔王城を回り、屋根を登っては降り、飛びかかってくる隊員たちをいなし続けている。
このままでは、いずれ疲れ果てて捕まるだろう。
「あぁもういっその事、空間転移でどこか遠くの島まで飛んじゃおっかなぁ」
その時だった。
「ハース様、こちらです!」
「この声は……レオルか!
おいレオル、どこだ、どこにいる!」
「ハ、ハース様が俺様の名前を呼んでくれてる……。
じゃなくて、ハース様、俺様たちは下です!」
「下!?」
「それと、この穴は長く持ちません!
さぁ、早くこちらへ!」
声のする方に目を向けると、綺麗に手入れされた玄関前の芝生に、ゴルフカップのような穴が1つ、ぽっかりと空いている。
「えっ、これに入るの……」
「ハース様……もう、持ちません……!」
レオルは自身の力をフルに使い、全力で穴を広げてくれている。
「あぁもう、分かったよ!
えーい、どうにでもなれー」
俺は無心で穴に飛び込んだ。
そして、俺が中に入ると同時に、その穴は姿を消した。
「よいしょ」
着地する瞬間に空間転移を使うことで、俺は華麗に着地を決めた。
「おぉー!」
パチパチパチパチと拍手で褒めてくれる彼らは、獣魔隊の男性隊員たちである。
「ハース様、この度のエモーラ認定、おめでとうございます!」
「おめでとうございます!」
「あっ、どうも」
人間は褒められると嬉しい。
これは当然である。
だがしかし、この時の俺は、『エモーラ』という魔族階級にうんざりしており、特に喜びを感じていなかった。
そのため、このような超薄いリアクションしか出来なかったのである。
ただ、それだけなのに……。
「おい見ろよ」
「あぁ、流石はハース様だぜ」
「エモーラと言えば、魔王様以外は絶対に選ばれることのない」
「幻の階級とか呼ばれてるのに」
「平然としていらっしゃる」
「うぉぉおおおおおお!」
と、まぁこんな感じで、あらぬ誤解を生んでしまったのである。
うーん、これも面倒事体質の弊害と言えるかも……。
「ハース様……あれ?
ハース様?」
あぁ、なんかもう考えること多すぎてムカついてきた。
はぁ。
無意識に魔力が高まっていく。
「ハース様いけません!
このままでは、地下通路が潰れてしまいます!」
地震のようにグラグラと揺れる地面。
「はっ……!
ごめんごめん。
ちょっと考え事してた」
危ない危ない、生き埋めになるところだった。
1回落ち着いて深呼吸をしよう。
スゥーーーハァーーーー。
「いえいえ、俺様の話しかけるタイミングが悪かったです」
何も、そこまで自分を下げることないのに……。
いや、今はいいか。
「それで、話って?」
「はい。
これは俺様たちの総意なのですが……」
「ん?」
レオルの表情が少し歪んでいる。
これは、何か重要なことを言おうとしているに違いない。
さぁ、何が来る……ドキドキ。
「獣魔隊を解散するべきだと思います!」
「……へ?」
なんかえぐいの来ちゃぁぁああああ!
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