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学校の嫌われ者③
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お昼ご飯以降の時間、俺とキースの牽制が効いたのかメルに近づく輩は一人も現れなかった。
ところで、水月はクラスのリーダー的存在に、スラはクラスのムードメーカーに、イムはクラスの頼れる存在に、ソフィはクラスのお姉さん的存在に、ヴェントスはクラスのマドンナ的存在に、キースはクラスの不思議ちゃんとしてクラスに馴染んだようだ。
それぞれがしっかりと立場を確立していて、羨ましい限りだ。
俺なんてパッとしないクラスメイトといったところだ。
下校中、俺はずっとしょぼくれていた。
「ねえ夢くん、テンション低めだね」
いやいや、俺もしっかり友達を作れたではないか。
くん呼びをしてくれる、とても可愛らしい友達が。
「いいや、なんでもないよ」
結局、帰り道も無駄に時間をかけながらマンションへと帰ったのだった。
その原因は、クレープを食べたいだの、トルコアイスが食べたいだのわがままを言うスラにある。
スラが駄々をこねると、自動的にイムも付いてくる。
厄介な姉妹である。
マンションへ着いた時、メルのテンションがどんどん上がっていった。
「大きなマンションですね!
みなさんここに住まわれているんでしょうか」
確かに見慣れてしまったマンションだが、二十階建ての高層マンションということもあり迫力がある。
「うん、そうだよ。
まあ俺はこのマンションの管理人って立ち位置だけどね」
「羨ましいです……」
その後もメルはエントランスにある大きなシャンデリアに感動したり、大きなエレベーターに感動したりと忙しなかった。
そして俺はハイテンションなメルを自分の部屋ではなく、十六階にある食事の間にしっかりと案内した。
ここ重要ってやつだ。
「この食事の間は、みんなで食事をする場所なんです」
イムが俺に代わり説明してくれた。
頼れる存在とはこういう人のことを言うのか。
「大きなキッチンがあって、大きな机があって、とてもいいと思うんですけどマンションにこんな場所があるなんて珍しいですね」
本当にその通りだ。
これがあるだけで、マンションではなくシェアハウスと呼んでも問題ないくらいだ。
説明しようにもマンションの気まぐれだとしか説明できないし、複雑な事情ってことになる。
とりあえず俺は、みんな分の飲み物とコップを用意した。
こんな時、お茶とオレンジジュースの二つを置いておけば文句は出ない。
覚えておくといい。
ちなみに、このフロアに置いてあるコップは全てイムが選んだものだ。
ソフィは黄緑色、ヴェントスは緑色、水月は青色、スラはピンク色、イムは水色、俺は茶色といったようにそれぞれに合わせた色になっている。
イムはとてもセンスがいい。
というわけで話を戻そう。
「よし、みんな席に着いたな。
これより俺が考えた作戦を発表する。
題して……おならしちゃったの水月大作戦だ!」
「お~!」
そう言って盛り上がってくれたのは、スラたった一人だけだった。
ところで、水月はクラスのリーダー的存在に、スラはクラスのムードメーカーに、イムはクラスの頼れる存在に、ソフィはクラスのお姉さん的存在に、ヴェントスはクラスのマドンナ的存在に、キースはクラスの不思議ちゃんとしてクラスに馴染んだようだ。
それぞれがしっかりと立場を確立していて、羨ましい限りだ。
俺なんてパッとしないクラスメイトといったところだ。
下校中、俺はずっとしょぼくれていた。
「ねえ夢くん、テンション低めだね」
いやいや、俺もしっかり友達を作れたではないか。
くん呼びをしてくれる、とても可愛らしい友達が。
「いいや、なんでもないよ」
結局、帰り道も無駄に時間をかけながらマンションへと帰ったのだった。
その原因は、クレープを食べたいだの、トルコアイスが食べたいだのわがままを言うスラにある。
スラが駄々をこねると、自動的にイムも付いてくる。
厄介な姉妹である。
マンションへ着いた時、メルのテンションがどんどん上がっていった。
「大きなマンションですね!
みなさんここに住まわれているんでしょうか」
確かに見慣れてしまったマンションだが、二十階建ての高層マンションということもあり迫力がある。
「うん、そうだよ。
まあ俺はこのマンションの管理人って立ち位置だけどね」
「羨ましいです……」
その後もメルはエントランスにある大きなシャンデリアに感動したり、大きなエレベーターに感動したりと忙しなかった。
そして俺はハイテンションなメルを自分の部屋ではなく、十六階にある食事の間にしっかりと案内した。
ここ重要ってやつだ。
「この食事の間は、みんなで食事をする場所なんです」
イムが俺に代わり説明してくれた。
頼れる存在とはこういう人のことを言うのか。
「大きなキッチンがあって、大きな机があって、とてもいいと思うんですけどマンションにこんな場所があるなんて珍しいですね」
本当にその通りだ。
これがあるだけで、マンションではなくシェアハウスと呼んでも問題ないくらいだ。
説明しようにもマンションの気まぐれだとしか説明できないし、複雑な事情ってことになる。
とりあえず俺は、みんな分の飲み物とコップを用意した。
こんな時、お茶とオレンジジュースの二つを置いておけば文句は出ない。
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ちなみに、このフロアに置いてあるコップは全てイムが選んだものだ。
ソフィは黄緑色、ヴェントスは緑色、水月は青色、スラはピンク色、イムは水色、俺は茶色といったようにそれぞれに合わせた色になっている。
イムはとてもセンスがいい。
というわけで話を戻そう。
「よし、みんな席に着いたな。
これより俺が考えた作戦を発表する。
題して……おならしちゃったの水月大作戦だ!」
「お~!」
そう言って盛り上がってくれたのは、スラたった一人だけだった。
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