28 / 102
救出
しおりを挟む「邦人保護を目的に日本政府より派遣されました。」
「…どういうことですか!?」
「この国で、三日前に軍事クーデターが起き、政権が転覆しました。
直ちに国連は平和維持活動部隊の派遣を決定し、日本も現地の邦人保護を目的に同様の決定をしました。
しかし、我々の真の目的はあなたのような拉致被害者が新政府に処理される前に救出することにありました。」
「そうですか…
でも、武装した自衛隊が外国に派遣されるなんて、あり得ないことじゃ…」
私はにわかに信用出来ず疑いの目を向けた。
「去年法律の改正が行われました。我々は新自衛隊派遣法に則りここに来ています。」
後ろに立っていた若い男が丁寧な言い方で答えた。
「すいません、我々は拉致被害者と想定される人達の名簿を持って来ているのですが…
お名前をお聞かせ願ってもよろしいですか?」
「はい。吉岡です。吉岡直紀です!」
先頭の男がファイルを取り出し、紙に書かれた名前を指で追っていった。
「吉岡直紀さん…
あった!… え?
おかしいな、吉岡直紀さん…
男性になってる。
すいません! 資料にミスがあったようです。」
「いえ、合ってます… 私… いや、俺は男です。
ここに連れてこられて強制的に性転換されてしまったんです!」
私の言葉に自衛官二人は目を見開いて驚いた。
「まさか!! そんなことが…」
「名簿のほとんどは男性の筈です。
自分のようにされてしまい、本土とかいうところに送り込まれた人間も山ほどいますし、ここにもまだ何人か残っているはずです…」
「わ、わかりました!
とりあえず我々の艦船まで急ぎましょう!!」
「…はい。」
本当にまさかの展開だった。
すっかり諦めてしまっていた私だったが、期せずして日本に戻れることになってしまった…
しかし、私には心の準備が全く出来ていなかった。
日本に二度と帰れないということに対しての心の準備はしていたけれど…
性転換までされてしまった今、日本に帰ってどうなるのか…
私の心の中に嬉しさはほとんど無く…
恐怖心だけが大きく膨れ上がっていった。
1
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる