或る実験の記録

フロイライン

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日付不明

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目が覚めた。 

見覚えのない天井… 自分の部屋でないのはわかる… 

病室?? 

あ、いつも診察を受けてるところの隣りにある部屋かな… 時間…? 
どれくらい時間が経過したんだろう… 
でも、自分が今どういう状況にあるのかは、私の体がベッドに固定されていることと、下腹部に痛みを感じることで、なんとなく認識できる。 

そうだ、手術されてしまったんだ。 
私は自分の体がどうなったかを確認しようとしたが、なかなか思うように動けない。 

そうこうしてると、病室のドアが開いて 高田が入ってきた。 

「おっと、まだ動いちゃ駄目だよ。傷口が開いてしまうからね。」 

起き上がろうともがいていた私は 
高田に肩を押されてまたベッドに力なく倒れた。 
「心配することはない。手術は大成功だよ。 
あとは化膿しないように注意さえすれば良いんだ。」 

高田は私の下腹部をチェックしながら笑って言った。

「本当に切ってしまったんですね…」 

私は高田に向かって元気のない声で言った。 

「いや、そんな単純な話じゃなくて、単に切るだけなら楽な話なんだが、色んな部分を利用して造膣しなければならないから大変なんだよ。」 

「造膣…」 

「ああ。だが、これくらいの手術ならタイなんかで毎日行われているけど、私が君に施した手術はとても画期的なものでね… 
まあ、それは追々話すとしよう。さあ、ガーゼを変えるよ。かなり痛いが我慢してくれたまえ。」 

次の瞬間、飛び上がるくらいの激痛が私を襲った。 

「うっ…ぐぐっ…」 

ガーゼの交換は時間にしてはほんの数十秒のことだったが、私は額から脂汗を流しながら歯を食いしばって痛みに耐えた。 

ついに私が男性だったことを指し示す最後の証しが消失してしまった。 

でも、私にとってそんなことは既にどうでも良いようにさえ思えた。 

洗脳教育の成果か、または薬の効果が脳に及んでるからなのか…それはわからない。 

どちらにしても、私はもう一生帰ることが出来ないのだから、どんな姿になっても別にかまわない… 
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