ニューハーフな生活

フロイライン

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「もう、昼かあ

そろそろ起きようか」

ワタシは携帯で時間を確認し、隣で寝ている沙耶香に言った。

「あ、そうだね。
でも、お休みの日にユキとこうやってすごすのも、何か良いなあって、心から思えたわ。」


「うん。
ワタシもそう思った。」


「ねえ、ユキ」


「ん?

どうしたの、沙耶香」


「私、ユキとのこの幸せな生活を守りたいの。」


「…
どういうこと?」


「私さあ、高校出て、こっちに来て
フツーの仕事をしたって言ったら、最初の携帯ショップと今の運送屋さんだけ。

後はAVだったり…」


「うん。」


「別にどっちが良い仕事で、どっちが悪いとは一概には言えないって思ってる。」


「そうだね。
ワタシも今の会社の前に、ショーパブやニューハーフヘルスで働いていた事を、おかしな仕事をしていたとは思ってないのよ。
それぞれに良いところと悪いところがあって。」


「うん。

私も今のところで働くようになって、仕事内容的には辛いとかはないんだけど、やっぱりお給料が安いのは、ちょっとしんどいかな。

ユキに迷惑かけっぱなしだし。」


「そんな事ないよ。
沙耶香には家の事とか任せっきりで、本当に申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちを持って毎日をすごしてる。」


「ううん。
そんなの当たり前のことだし。
ユキだって色々してくれてるじゃん。」


「できる範囲でだよ、あくまでも。」


「ねえ、ユキ

相談なんだけど…」


「うん。
話してみて」



「私、もっと稼げるお仕事をしたいと思ってるんだけど。」


「えっ

どんな?」


「さっきも言ったように、私は学歴もないし、スキルもない。

そんな身で何とかなるって言ったら、やっぱり体を使った事かなって。」


「…」


「ユキ、私

二人で幸せになりたいの。」



「今も幸せだよ、ホントに。」


「ありがとう、ユキって優しいから大好き。

でも、これから二人で夫婦生活を続けていくってなったとき、こんな事言ったら、申し訳ないんだけど、私達は子供は持てないし、一般的に言うところのフツーの夫婦生活は送れないと思うのね。」


「ごめんなさい…」


「違うの。

私も納得しての事だから、それは全然いいの。

何を言いたいかっていうと、これからの人生を二人で生きていくってなったとき、お金は沢山あった方がいいし、やっぱり先立つものがないと幸せになれないと思うのね。

だから、若い時に頑張らなきゃって。」


「沙耶香…」


「ごめんなさい

最近、ずっとその事を考えてて…」


沙耶香の言葉は、ある意味ショックだった。

たしかに、ワタシと一緒にいても子供も産めないし、それこそ、こんな見た目の男か女かわからないのと暮らしていくのは不安なんだろう。

それは、ワタシも思っていた事で…
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