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侵食
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「ビックリしました、本当に。
でも、西村さんは、女性の姿の方がよく似合ってますね。」
今日お伺いした会社の担当バイヤーの大内さんは、三十歳くらいの綺麗な女性で、ワタシを見て、驚くのと共に、フツーに受け入れてくれた。
「そうなんですよ。
今日から女子社員として新たにスタートしたわけなんですが、すぐに慣れちゃったというか、昔からコレだったんじゃないかって思うくらい、今の姿がしっくりきてます。」
大石さんも、本音なのかなんだか知らないけど、ワタシを見ながら笑って言った。
「じゃあ、今までは胸とか隠しながら働いてたって事ですか?」
「はい、そうなんです。
さすがに隠さずにそのままシャツを着ちゃうと、ぱっと見ですぐわかってしまうので、サラシみたいなものを巻いて押し潰してました。」
「それは辛かったですね。
形が変わってしまうとか、色々悩むことも多かったんじゃないですか?」
「ええ。
男性として再スタートするにあたり、もうその辺の事は気にしないようにって思ってたんですけど、いざそういう状況になると辛くて…
家に帰ったらすぐに男物の服とサラシを外して、女性の姿に戻ってました。」
「あー、わかります
って言っても、私はニューハーフさんじゃないので、本当のところは知る由もないですけど。
わかるっていうのはその感覚って事で。
もし、私が何らかの形で胸を隠して働いてたとしたら、家に帰った瞬間、西村さんと同じ行動を取ると思います。」
仕事の話になかなか入らず、ワタシの事ばかり話す時間になってしまった…
でも、用意していた資料にその後はちゃんと目を通してくれて、すごく気に入ってくれたようだった。
商談を終えて外に出たワタシ達は、駅までの道を歩きながら、成功を確信して二人で喜びあった。
「あのさあ、今のご時世
男だとか女だとか、一々口にする事じゃないのはわかってんだけど、大内さんて女性じゃない?
やっぱり女同士っていうか、感性が近い人がプレゼンする方が響くと思うんだよね。
だから、西村さんが女性になってくれた事が上手くいった最大の理由だと思うんだよね」
「えーっ、そんな事ないと思いますけど。
それにワタシ、女性じゃないし。」
「いや、女性だって。
でも、ここまで完璧に変身するとはね。」
大石係長は、手放しでワタシを褒め称えた。
そこまで言ってもらえると、ワタシもカミングアウトしてよかったと思う。
でも、西村さんは、女性の姿の方がよく似合ってますね。」
今日お伺いした会社の担当バイヤーの大内さんは、三十歳くらいの綺麗な女性で、ワタシを見て、驚くのと共に、フツーに受け入れてくれた。
「そうなんですよ。
今日から女子社員として新たにスタートしたわけなんですが、すぐに慣れちゃったというか、昔からコレだったんじゃないかって思うくらい、今の姿がしっくりきてます。」
大石さんも、本音なのかなんだか知らないけど、ワタシを見ながら笑って言った。
「じゃあ、今までは胸とか隠しながら働いてたって事ですか?」
「はい、そうなんです。
さすがに隠さずにそのままシャツを着ちゃうと、ぱっと見ですぐわかってしまうので、サラシみたいなものを巻いて押し潰してました。」
「それは辛かったですね。
形が変わってしまうとか、色々悩むことも多かったんじゃないですか?」
「ええ。
男性として再スタートするにあたり、もうその辺の事は気にしないようにって思ってたんですけど、いざそういう状況になると辛くて…
家に帰ったらすぐに男物の服とサラシを外して、女性の姿に戻ってました。」
「あー、わかります
って言っても、私はニューハーフさんじゃないので、本当のところは知る由もないですけど。
わかるっていうのはその感覚って事で。
もし、私が何らかの形で胸を隠して働いてたとしたら、家に帰った瞬間、西村さんと同じ行動を取ると思います。」
仕事の話になかなか入らず、ワタシの事ばかり話す時間になってしまった…
でも、用意していた資料にその後はちゃんと目を通してくれて、すごく気に入ってくれたようだった。
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「あのさあ、今のご時世
男だとか女だとか、一々口にする事じゃないのはわかってんだけど、大内さんて女性じゃない?
やっぱり女同士っていうか、感性が近い人がプレゼンする方が響くと思うんだよね。
だから、西村さんが女性になってくれた事が上手くいった最大の理由だと思うんだよね」
「えーっ、そんな事ないと思いますけど。
それにワタシ、女性じゃないし。」
「いや、女性だって。
でも、ここまで完璧に変身するとはね。」
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