ニューハーフな生活

フロイライン

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陳情

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「沙耶香には言ってなかったんだけど…

この前、沙耶香が夜勤した時あったじゃない?」


「えっ、うん」


「あの時ね、外でご飯を食べようと思ってお店に入ったら、ショーパブ時代の先輩に会ったの、ホント偶然に。」


「あ、そうなんだ」


「で、久しぶりにお店を覗いていかない?って言われて、お邪魔したのね。
お世話になったママとかにお会いして、色々話してるうちに、一日だけお店に出てみないかって言われて…」


「へえ、そうだったんだ

で、久しぶりにお店に出てみてどうだった?」



「うん…
すごく楽しかった…」



「うんうん。
わかるよ

やっぱり、ユキはそっちの生き方の方が向いてるんだよ。」


「でも…」


「さっきも言ったように、ムリしちゃダメだよ。
ユキが生きやすい道を選んでくれると私も嬉しいし。」


「沙耶香…

それでいいの?」


「うん。
ユキにはそういうことで我慢して欲しくないから。」


沙耶香はあくまでも優しかった。
ワタシを追い込む事なく、彼女の本心とも思える言葉をかけてくれたのだ。


「ありがとう、沙耶香

お店にはまた機会があれば出てみたいって気持ちはあるけど、本職の方は、せっかく入れた会社だし、まだ少ししか働いてないから…
もうちょっと頑張ってみるよ。」


「そう?

でも、無理したらダメだよ、ホント。」


「うん。
気持ち的に辛くなったらちゃんと言うから。」


正直言うと、ワタシは、どうやって生きていけばいいかわからなくなってきていた。

沙耶香を裏切り、不幸にしているのに、この生活を続けようとしている。

果たしてこれでいいのだろうか
優しい善人の沙耶香の厚意に甘えるのは、あまりに図々しい。

そんなワタシに、大きな転機が訪れたのは、週明け月曜日の朝だった。
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