196 / 245
世界観
しおりを挟む
「お帰り。」
朝帰りしたワタシを、沙耶香は文句一つ言わずに笑顔で迎えてくれた。
単に朝帰りしただけではなく、浮気したワタシを…
勿論、その事については気付いてないだろうが。
「二日酔い、酷くない?」
「うん。大丈夫
実はそんなに酔ってなかったんだけど、何故か寝てしまって…」
「そうなんだ。
少し寝る?」
「大丈夫。
着替えるわ」
ワタシは沙耶香にそう言うと、部屋に入り女性用の下着に替え、Tシャツとスカートに着替えた。
さらに、メイクまでして、髪も女子っぽくセットした。
完全武装で戻っていくと、沙耶香はワタシの方を見て笑った。
「ユキは、やっぱりその格好の方が似合うよね」
と、言いながら。
「そう?
でも、正直言ってこっちの方が落ち着くっていうか、しっくりくるんだよね。」
「いいと思うよ、私は。
このお仕事始めてからのユキは、なんかムリしてるなあって思ったし、家にいる時は本当の自分ていうか、自然体でいてほしい。」
「ありがとう…」
浮気をして帰ってきた身としては、沙耶香の優しさが辛いっていうか、申し訳ないっていうか…そんな気持ちでいっぱいになった。
「ねえ、ユキ
私、ずっと考えてたんだけど」
「えっ」
「ユキはやっぱり女性としてお仕事した方がいいんじゃない?」
「…」
「ごめんね
私が勝手に思っている事なんだけど、側から見てても、今のユキはかなりムリしてるなあって思うのよ。
たとえ家の中で女の子に戻れても、外ではスーツ着て男として振る舞わなきゃいけないわけだし、それが相当なストレスになってるんじゃないかって。」
「それは…」
「私の事を考えてくれて男として頑張るって言ってくれた事は嬉しいのよ、ホントに。
でも、自分を押し殺して男を演じているユキを見るのが辛くて。」
「沙耶香…」
「私は本当に大丈夫よ。
女の子の姿になっても、ユキはユキなんだし、気持ちは何も変わらないわ。
だから、ユキが一番ラクっていうか、幸せなカタチで生きてもらえたらって思うの。」
そこまで考えてくれている沙耶香を、ワタシは、簡単に裏切ってしまった。
でも、その事を告白する勇気も出なかったのは事実…
卑怯極まりないけど、ワタシは依然として沙耶香が好きだったし、この生活を壊したくないと強く思ったからだ。
でも、一方では、佳澄さんと一線を越えてしまった事で、もう戻ることの出来ないところまで来てしまったという自覚も持っていた。
朝帰りしたワタシを、沙耶香は文句一つ言わずに笑顔で迎えてくれた。
単に朝帰りしただけではなく、浮気したワタシを…
勿論、その事については気付いてないだろうが。
「二日酔い、酷くない?」
「うん。大丈夫
実はそんなに酔ってなかったんだけど、何故か寝てしまって…」
「そうなんだ。
少し寝る?」
「大丈夫。
着替えるわ」
ワタシは沙耶香にそう言うと、部屋に入り女性用の下着に替え、Tシャツとスカートに着替えた。
さらに、メイクまでして、髪も女子っぽくセットした。
完全武装で戻っていくと、沙耶香はワタシの方を見て笑った。
「ユキは、やっぱりその格好の方が似合うよね」
と、言いながら。
「そう?
でも、正直言ってこっちの方が落ち着くっていうか、しっくりくるんだよね。」
「いいと思うよ、私は。
このお仕事始めてからのユキは、なんかムリしてるなあって思ったし、家にいる時は本当の自分ていうか、自然体でいてほしい。」
「ありがとう…」
浮気をして帰ってきた身としては、沙耶香の優しさが辛いっていうか、申し訳ないっていうか…そんな気持ちでいっぱいになった。
「ねえ、ユキ
私、ずっと考えてたんだけど」
「えっ」
「ユキはやっぱり女性としてお仕事した方がいいんじゃない?」
「…」
「ごめんね
私が勝手に思っている事なんだけど、側から見てても、今のユキはかなりムリしてるなあって思うのよ。
たとえ家の中で女の子に戻れても、外ではスーツ着て男として振る舞わなきゃいけないわけだし、それが相当なストレスになってるんじゃないかって。」
「それは…」
「私の事を考えてくれて男として頑張るって言ってくれた事は嬉しいのよ、ホントに。
でも、自分を押し殺して男を演じているユキを見るのが辛くて。」
「沙耶香…」
「私は本当に大丈夫よ。
女の子の姿になっても、ユキはユキなんだし、気持ちは何も変わらないわ。
だから、ユキが一番ラクっていうか、幸せなカタチで生きてもらえたらって思うの。」
そこまで考えてくれている沙耶香を、ワタシは、簡単に裏切ってしまった。
でも、その事を告白する勇気も出なかったのは事実…
卑怯極まりないけど、ワタシは依然として沙耶香が好きだったし、この生活を壊したくないと強く思ったからだ。
でも、一方では、佳澄さんと一線を越えてしまった事で、もう戻ることの出来ないところまで来てしまったという自覚も持っていた。
4
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる