ニューハーフな生活

フロイライン

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再帰省

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「沙耶香

ワタシも一緒に行くわ。」


「えっ

ユキも?」


「うん。
だって、泊まるところないでしょ?
いくら志水さんが良い人だからって、家に泊めてもらうの気を遣わない?」 


「たしかに…

でも…」


「だったら、ウチの実家に泊まりなよ。
お母さんと妹しかいないし、全然遠慮は要らないよ。」


「それは悪いわ

お母さんも妹さんも、私との事知らないんでしょ?」


「行く前に伝えとくから大丈夫。」


「フフッ…」


沙耶香は徐に笑った。


「どうしたの?」


「ユキのそういうところ見てると、やっぱり男なんだなあって思う。」


「えっ、そうかな…」


「うん。

でも、ありがたいわ。

学校とかバイトとか大丈夫?」


「学校は大丈夫。

バイトも前もって言えば問題ないよ。」


ワタシがそう言うと、沙耶香は少し恐縮気味に頷いた。


こうして、ワタシはまた田舎に帰る事となった。

ちょっと前は女として帰った故郷に、今度は男として戻る。





「あーっ、めっちゃ緊張するっ」

沙耶香は、新幹線の中でワタシの手を握りしめながら言った。

「大丈夫だよ。
何も遠慮は要らないし、お母さんも全然気を遣うような人間じゃないから。」


「そう?

私の化粧どう?ケバいって思われないかなあ」


「思わないよ。

ただ美人なだけよ、沙耶香は」


「そんな事ないって…」

どれだけ言っても、沙耶香の緊張はほぐれず、ずっと落ち着かない様子だった。

沙耶香の不安をよそに、新幹線は定刻通りに到着し、在来線に乗り換え、あっという間に実家に着いてしまった。


「ただいまあ」

ワタシが玄関のドアを開けて中に顔を突っ込み呼びかけると、妹の優菜がすぐにやってきた


「ユキちゃん、おかえり

あっ、雰囲気変わってる!

ヤバっ」

ワタシの変化にツッコミを入れてきやがる。


「うるさい。イメチェンだよ

お母さんは?」


「今、買い物に行ってるよ…」

優菜はそう言うと、ワタシの後ろに立つ沙耶香を見て、話すのをやめた。


「紹介しとくわ。

花岡沙耶香さん」


「初めまして…花岡沙耶香です。

よろしくお願いします」


ワタシの紹介を受け、沙耶香はビクビクしながらも前に出て挨拶をした。


「いつも兄がお世話になっています。

妹の優菜です。
よろしくお願いします。

沙耶香さん、めっちゃ美人ですね!!」

美人や可愛い人が大好きな優菜は、一目見て沙耶香を気に入ったようだ。

沙耶香はたしかに美人だから。

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