ニューハーフな生活

春一番

沙耶香も機嫌良く仕事に行っており、ワタシもシフトを減らしつつヘルスの仕事を続ける日々を送っている。

そして、ようやくというか、ついに、というか
「スワロウテイル」が再開されるという連絡がお店のグループLINEに入った。

社長から説明があるのと、美咲ママもそこに顔を出したいという事で、ワタシ達はまたお店に集まる事になった。




お店に行くと、既に何人かが集まっており、ワタシを見て一様に驚いて、声をかけてきた。


「ユキちゃん、どうしたの？

髪短くして」


「おはようございます、ミカさん
ちょっと心境の変化っていうか、イメチェンです。」


「へえ、ボーイッシュ路線で行くのね」


そう、ワタシはずっと伸ばしていた髪を最近切った。
ミカさんに答えた通り、心境の変化があったからだ。

沙耶香と一緒に暮らし、また彼女の事を愛するようになると、ワタシの女性である部分を否定とまではいかないが、これまで以上に際立たせたくないという気持ちになった。

それゆえに、ショートボブという短めの髪型にしたのだった。

化粧も薄くなり、着る服もどちらかというとボーイッシュで、スカートを履く事がほぼ無くなった。
今日もパンツスタイルで、髪型や化粧までが変わってしまったから、みんなには異質に映ったんだと思う。

ユウさんにはワタシの事を洗いざらい全て話しているから、ここで何かを言われたりする事はなく、スルーしてくれた。


そうこうしている間に、ようやく社長と美咲ママが現れた。

ワタシは一月にママにお会いしているが、他のみんなは去年十二月以来、一度も会っておらず、去年の年末以来の久しぶりの再会となった。

ママは以前に見た時よりも顔色も良く、事件の前と変わらぬ姿をしていた。
勿論、髪型、メイク、服装もバッチリ決まってる。


「みんな、長い間迷惑をかけて本当にすまなかった。

ようやく美咲が復帰出来る事になり、店を再開しようと思う。」

社長の話の後、美咲ママもお辞儀をすると、少し緊張しながら挨拶を行った。

「皆さん、私事で長期間お休みをする事になり、本当に申し訳ありませんでした。

やっと元気になりましたので、お店にまた出させてもらおうと思い、皆さんにお願いしに参りました。」


「ママ、お帰りなさい。
また、一緒に頑張りましょう」

涙ながらに語るミカさんに、皆胸を熱くしながら頷いた。

ワタシを除いて…