ニューハーフな生活

フロイライン

文字の大きさ
上 下
133 / 245

hermit crab

しおりを挟む
飲み会は盛り上がり、午後11時にようやくお開きとなった。


ワタシと花岡は駅までの道を一緒に歩いた。

「花岡もJR?」

ワタシは正面に見えてきたJRの駅を指差して言った。

「ちがうのよ。

私、駅のコインロッカーに荷物あずけてるから、それ取りに行くんだよ。」


「あ、そうなんだ。
何処に住んでんの?」


「うん?

あー、決まったところには住んでないよ」


「えっ、どういう事よ。」


「まあ、色々あって、住んでた家は解約したのよ」


「えーっ、じゃあどうしてんの?」


「友だちの家に泊めてもらったり、今日みたいな日はネトカだね。

でも、最後のやつを撮影したら、田舎に帰る事にしてるから、心配してくれなくても大丈夫よ。」


「そんなの、撮影って言ってもまだ何日も先じゃんか。

どうすんのよ、それまで」

ワタシは心配になって花岡に聞いたが、大丈夫の一点張りで、コインロッカーを解錠して大きなボストンバックとキャリーケースを取り出した。

「じゃあ、また連絡するね
今日は西村と会えて楽しかったよ」

「ちょい待ち!

まだ立ち去るんじゃない。

今日はウチに泊まってきなよ。」

「えっ」


「ワタシ、親の知り合いのマンションに住ませてもらってて、持ち主もずっと海外にいるから、結構広いところなんだけど、一人暮らしなんだよ。

だから、来なよ。
てか、絶対に来て。」

ワタシは強い口調で言って、花岡からボストンバックを取り上げて、肩に担いだ。


「西村、男の部分が出てるわよ」

花岡は爆笑した。

でも、すぐに

「ありがとう…

じゃあ今晩だけ泊めてもらってもいいかな」

って申し訳なさそうに言った。


「喜んで!

さあ、行こう」

ワタシは花岡の前を早足で歩き、改札を抜けてった。

電車に乗る事30分、駅から家まで10分

ワタシは花岡を連れて我が家に帰ってきた。


「お邪魔しまーす」

花岡はおそるおそる靴を脱いで部屋に入った。

「うわあ、すごい広いお部屋ね」

「フツーだったら家賃払えないレベルだけど、格安にしてくれてるのよ。」

「へえ、そうなんだ」


「荷物、ここに置いとくね。

お風呂入れてくるから、そこにでも座っててよ。」


「私も何か手伝うよ」


「いいよ、いいよ

疲れてるでしょ?ゆっくりしてて」

ワタシは花岡をソファに座らせて、浴室に行った。

お風呂の栓がちゃんと落ちてるのを確認すると、小窓を閉め、操作パネルの電源を入れてお風呂の湯だめボタンを押した。


部屋に戻ってくると、花岡は居心地悪そうにちょこんとソファーに座ってキョロキョロしてた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指すい桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

処理中です...