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寒い夜
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去勢手術してから二週間が過ぎ、仕事にも復帰して以前と同様の日常が戻ってきた。
体調、気分的にはそう変わってはいない。
見た目はタマが無くなった事により、袋の垂れ下がりというものが無くなった感じで、本当にサオだけが付いているフォルムとなった。
なんか、スッキリして良いね。
タマ抜きした先輩からは、気持ち的な変化はこれから襲ってくると言われてる。
女性ホルモン打ってから、情緒不安定、すぐ泣く、鬱になるなどの症状に悩まされてきたが、タマ抜いたら、それがもっと酷くなるんだとか
あー怖い怖い
あ、そうそう
ユウさんと風俗で働くっていう話も、ワタシが手術した為に、ユウさんだけが先に働く事になり今、週5でお店に出てるらしい。
経験者とはいえ、やっぱりキツイって言ってる。
それでも、ワタシは働く事を決めてるので、体の状態が落ち着いてきたら面接受けに行こうと思う。
あと、変わった事といえば
圭太が明日、この家を出て引っ越す事になった。
ただの浪人の男同士の同居人から、ワタシがニューハーフになって付き合う形になって、そこから二人して浮気して…別れて…
今度は男とニューハーフの同居人になったんだけど、真面目な性格の圭太は、ケジメをつけたかったみたい。
オカマとはいえ、女みたいな姿したのと同居してるのを今のカノジョに知られたら、やっぱり良い気分はしないだろうし、これはこれで良かったというか、仕方ない事だと思う。
さっきも言ったけど、ワタシ、涙もろくなってるし、すぐ寂しくなるから、明日から一人になったらまたガーンって落ちまくるんだろうなあ。
「ユキ、ホンマ、今までありがとう。」
荷造りをする圭太にお茶を出したら、神妙な顔でそんな事を言ってきた。
「何よ。急にあらたまって」
「いや、俺、ユキには心から感謝してるねん。
自分のやった過ちでこんな形になったけど…」
「ううん。ワタシはこれで良いと思ってるんだよ。
圭太にはフツーに女の子と付き合って欲しかったし、ちゃんとカノジョも出来たんだし、ワタシとしてもすごく嬉しいことよ。」
「ユキ…」
「ワタシも圭太にはすごく感謝してるの。
色々ワタシの事を心配してくれたりしてくれて、迷惑もいっぱいかけたけど、圭太のこと好きになれてよかったって。」
「よう考えたら、俺が初めて付き合ったっていうか、初めてのカノジョがユキやってんな」
「それはワタシもじゃん」
「なんか、最後にこうして話が出来てよかった。
あれ以来、なんか気まずいときもあったもんな。」
「そうだね、ダブルで浮気したからな」
「何も言えねえ」
「圭太、これからの大学生活がんばってね。
良いところに就職するんだぞ。」
「ありがとう。
最後にキスしたいとこやけど、したらまた浮気になるから我慢するわ。
握手だけしようや。」
圭太はバツの悪そうな表情で右手を差し出した。
ワタシもぎこちなくその手を握った。
圭太は手を握ったまま何か言おうとしたが、言葉が出てこないようだった。
代わりにその手をグッと自分の方に引き寄せると、手を離し、ワタシをギュッと抱きしめてきた。
「圭太…」
「ユキ、俺、お前のことを心から愛してる。
今もその気持ちは変わらへん。」
圭太はワタシの耳元でそう言うと、すぐに手を離した。
「って言うててもしゃあないよなあ。
未練たらしい男やわ、俺。
さて、荷造りの続きをやるか」
そう言って笑うと、圭太はワタシに背を向けダンボールに衣類を詰め込み始めた。
ワタシはというと…
「あー眠いわ
もう寝るね」
って言って自分の部屋に足早に入った。
だって、もう涙が止まんないんだもん。
これもホルモンバランスの影響ということにしておきます。
体調、気分的にはそう変わってはいない。
見た目はタマが無くなった事により、袋の垂れ下がりというものが無くなった感じで、本当にサオだけが付いているフォルムとなった。
なんか、スッキリして良いね。
タマ抜きした先輩からは、気持ち的な変化はこれから襲ってくると言われてる。
女性ホルモン打ってから、情緒不安定、すぐ泣く、鬱になるなどの症状に悩まされてきたが、タマ抜いたら、それがもっと酷くなるんだとか
あー怖い怖い
あ、そうそう
ユウさんと風俗で働くっていう話も、ワタシが手術した為に、ユウさんだけが先に働く事になり今、週5でお店に出てるらしい。
経験者とはいえ、やっぱりキツイって言ってる。
それでも、ワタシは働く事を決めてるので、体の状態が落ち着いてきたら面接受けに行こうと思う。
あと、変わった事といえば
圭太が明日、この家を出て引っ越す事になった。
ただの浪人の男同士の同居人から、ワタシがニューハーフになって付き合う形になって、そこから二人して浮気して…別れて…
今度は男とニューハーフの同居人になったんだけど、真面目な性格の圭太は、ケジメをつけたかったみたい。
オカマとはいえ、女みたいな姿したのと同居してるのを今のカノジョに知られたら、やっぱり良い気分はしないだろうし、これはこれで良かったというか、仕方ない事だと思う。
さっきも言ったけど、ワタシ、涙もろくなってるし、すぐ寂しくなるから、明日から一人になったらまたガーンって落ちまくるんだろうなあ。
「ユキ、ホンマ、今までありがとう。」
荷造りをする圭太にお茶を出したら、神妙な顔でそんな事を言ってきた。
「何よ。急にあらたまって」
「いや、俺、ユキには心から感謝してるねん。
自分のやった過ちでこんな形になったけど…」
「ううん。ワタシはこれで良いと思ってるんだよ。
圭太にはフツーに女の子と付き合って欲しかったし、ちゃんとカノジョも出来たんだし、ワタシとしてもすごく嬉しいことよ。」
「ユキ…」
「ワタシも圭太にはすごく感謝してるの。
色々ワタシの事を心配してくれたりしてくれて、迷惑もいっぱいかけたけど、圭太のこと好きになれてよかったって。」
「よう考えたら、俺が初めて付き合ったっていうか、初めてのカノジョがユキやってんな」
「それはワタシもじゃん」
「なんか、最後にこうして話が出来てよかった。
あれ以来、なんか気まずいときもあったもんな。」
「そうだね、ダブルで浮気したからな」
「何も言えねえ」
「圭太、これからの大学生活がんばってね。
良いところに就職するんだぞ。」
「ありがとう。
最後にキスしたいとこやけど、したらまた浮気になるから我慢するわ。
握手だけしようや。」
圭太はバツの悪そうな表情で右手を差し出した。
ワタシもぎこちなくその手を握った。
圭太は手を握ったまま何か言おうとしたが、言葉が出てこないようだった。
代わりにその手をグッと自分の方に引き寄せると、手を離し、ワタシをギュッと抱きしめてきた。
「圭太…」
「ユキ、俺、お前のことを心から愛してる。
今もその気持ちは変わらへん。」
圭太はワタシの耳元でそう言うと、すぐに手を離した。
「って言うててもしゃあないよなあ。
未練たらしい男やわ、俺。
さて、荷造りの続きをやるか」
そう言って笑うと、圭太はワタシに背を向けダンボールに衣類を詰め込み始めた。
ワタシはというと…
「あー眠いわ
もう寝るね」
って言って自分の部屋に足早に入った。
だって、もう涙が止まんないんだもん。
これもホルモンバランスの影響ということにしておきます。
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yoshieeesan
現代文学
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