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過去
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「キミは小さいときから自分の性別に違和感を持ったことがあったかい?」
「いえ、全く…」
「ウチの店のミカやユウはユキとは違って自分の性別に違和感を持ってたって。」
「そうですか…」
社長が一体何の話をしたいのかよくわからないまま俺は耳を傾けた。
「自分の性別に違和感もないのにニューハーフをしているユキは言わば特殊な存在なんだよ。」
「ですね… 自分でもそう思います。」
「ウチの店でユキのように自分の性別に違和感を持ってなかったのに、ニューハーフになった人間がもう一人いるんだよ。」
「えっ… まさか?」
「そう、美咲がまさにキミと同じだったんだ。」
「ウソですよね?ママはすごくキレイだし、全部が女性そのものです。女性として生まれなかったことが間違いだったとしか思えないんですけど…」
「俺達が初めて会ったのはアイツが大学一年のときだった。
俺はそのとき親父から譲り受けたレストランを経営してたんだけど、アイツはアルバイトとして偶然に店にやってきたんだ。」
「…」
「そのときの美咲はもちろん女装などしてなくてごく普通の青年て感じだった。ただ、線が細くてやや女っぽい感じはしてたけどね。」
「俺も美咲もゲイという自覚もなかったし、そのときはお互いに何も感じなかったさ。
ただね…」
「ただ?」
「そのとき気付いたんだ。俺には男の中に眠る女性性を見つけることが出来るってことを。」
「…」
「俺は美咲の中にある女性的な部分を発見し、そこばかりを見るようになっていった。」
「美咲さんはどうだったんですか?」
「アイツは普通の男として俺と接していて、自分の中にあるものなんて全く気づいてなかったらしい。俺の視線を感じるようになってから、胸の奥にあるものが、なんとなくむず痒いような感覚に陥るのを不思議に思ってたらしい。」
「不思議ですね。」
「男同士で愛し合うなんて想像もしてなかったから、お互いに溢れ出てくる感情に戸惑いを感じていたよ。」
社長は少しその思い出を懐かしむような表情を浮かべ、話を続けた。
「いえ、全く…」
「ウチの店のミカやユウはユキとは違って自分の性別に違和感を持ってたって。」
「そうですか…」
社長が一体何の話をしたいのかよくわからないまま俺は耳を傾けた。
「自分の性別に違和感もないのにニューハーフをしているユキは言わば特殊な存在なんだよ。」
「ですね… 自分でもそう思います。」
「ウチの店でユキのように自分の性別に違和感を持ってなかったのに、ニューハーフになった人間がもう一人いるんだよ。」
「えっ… まさか?」
「そう、美咲がまさにキミと同じだったんだ。」
「ウソですよね?ママはすごくキレイだし、全部が女性そのものです。女性として生まれなかったことが間違いだったとしか思えないんですけど…」
「俺達が初めて会ったのはアイツが大学一年のときだった。
俺はそのとき親父から譲り受けたレストランを経営してたんだけど、アイツはアルバイトとして偶然に店にやってきたんだ。」
「…」
「そのときの美咲はもちろん女装などしてなくてごく普通の青年て感じだった。ただ、線が細くてやや女っぽい感じはしてたけどね。」
「俺も美咲もゲイという自覚もなかったし、そのときはお互いに何も感じなかったさ。
ただね…」
「ただ?」
「そのとき気付いたんだ。俺には男の中に眠る女性性を見つけることが出来るってことを。」
「…」
「俺は美咲の中にある女性的な部分を発見し、そこばかりを見るようになっていった。」
「美咲さんはどうだったんですか?」
「アイツは普通の男として俺と接していて、自分の中にあるものなんて全く気づいてなかったらしい。俺の視線を感じるようになってから、胸の奥にあるものが、なんとなくむず痒いような感覚に陥るのを不思議に思ってたらしい。」
「不思議ですね。」
「男同士で愛し合うなんて想像もしてなかったから、お互いに溢れ出てくる感情に戸惑いを感じていたよ。」
社長は少しその思い出を懐かしむような表情を浮かべ、話を続けた。
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