ニューハーフな生活

フロイライン

文字の大きさ
上 下
9 / 245

変身

しおりを挟む

時刻は午後9時を指し示している。 
俺は美咲さんから出してもらったコーヒーを飲みながら、依然として落ち着かない気分で視線をキョロキョロさせていた。 

「ユキちゃん、ここに連れて来たのはね、ちょっとお化粧とかしてあげようっと思ったからなの。」 

「化粧!?」 

「今日会ったばかりだから、ユキちゃんも変に思うかもしれないけど、なんか私嬉しくって。」 

「それはどうも…でも僕はそんなに期待してもらうほどの人間じゃないですよ。」 

「とにかく私に任せてみて。見たところ、身長も私と同じくらいだから服も合うと思うの。 
気に入ったのがあったら持って行ってね。」 

うーん 、美咲さんペースだな。もう、なるようになれって感じだ。 

「じゃあお願いします…」 

俺は美咲さんがいつも使用してると思われる大きな鏡の付いたドレッサー?に座らされ 
メイクを施されることになった。 
美咲さんは俺の前髪をピンで留めると、手際よく何かわけのわからないものを塗ってきた。それから筆みたいなものとか鉛筆みたいなものを取り出して、まるで俺の顔に絵を描くようにどんどん進めていった。 

「視線を上に上げて。」 

「あ、はい…」 

目の下のところに何か描いてるぞ。 

「うん。 良い感じよ」 

どうやら化粧が終わり、カツラ? ウィッグ?ってのを俺の頭に被せて完成となったようだ。 
俺は出来上がりまでなるべく鏡を見ないようにしていたが 

「どう?」 

美咲さんに促されてようやく鏡の中にいる自分と視線を合わせた。 

「!」 

正直言って背中に電気のようなものがビビビッと走った。 

「ユキちゃん、やっぱり私の目に狂いはなかったわ。」 

「これが、僕… ですか…」 

鏡の向こう側には見慣れてきた俺ではなく 
女の子がいた。 

自分で言うのもアレだけど 、可愛い! 
多分美咲さんの腕が良いからだと思うけど。 

「私の言った通りでしょ! 

感想を聞かせて欲しいわね。」 

「ビックリしました… 自分とは思えないですよ。」 

美咲さんの強い誘いを受けて、言わば受け身状態で来た俺だけど、この時点で初めて自分からやる気になった。 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指すい桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

処理中です...