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timely
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「ちょっと待って下さい。」
八尾は、話の途中だった久美子を手で制した。
「どうされました?」
「失踪事件かどうかは分かりませんが、家出や行方不明事件なんてものはあちこちで頻繁に起きていて、別に珍しいものでもない。
ですが、まさに今聞いたような若い女性の失踪事件がこのスタジオ付近で複数件起きているっていうのが、視聴者からの手紙でわかりましてね。
ウチの番組で取り上げる予定になっているんです。」
「八尾ちゃん
それは本当か!?」
横で話を聞いていたジローが間に割り込んできた。
「ええ。
例のソ連の超能力者が来日して透視をします。」
「だったら…」
「ひょっとしたら、久美子さんのお友達の失踪事件もそれらと関連しているかもしれません。
もし、よければウチで扱いますよ。」
「そうか。
俺達も番組で取り上げてもらうつもりで来させてもらったんだ。
そう言ってくれると有り難い。
なあ?久美子」
「はい。
八尾さん、よろしくお願い致します。」
「わかりました。」
「ところでソ連のその超能力者って、いつ来日するんだ?」
「明日日本に着きます。
透視の模様は別撮りなんで、明後日に収録します。」
「何たるタイミングだ!」
ジローは、久美子の肩に手をやり、興奮気味に言った。
二人は、八尾に礼を言い、スタジオを後にした。
外に出ると、ジローは
「その手の超能力者ってのは眉唾物だが、たまにホンモノがまぎれてるって事もある。
俺も、何度かそのホンモノってやつを見た事があるんだよ。
勿論、その何倍ものニセモノも見てきたがな。
八尾ちゃんの言葉を信じるしかねーな。」
久美子に諭すように言った。
「ええ。
今のところ、ヤクザが絡んでるって事しかわかってへんし、何か手掛かりが掴めたら、それに越した事はないねんけど。」
「そうだな。
探偵さんも頑張ってくれてるから、俺らはこれに賭けよう。
あっ…」
「どうしたん?ジローちゃん」
「もし、番組で取り上げられる事になったら、テレビに出なきゃならなくなるが、大丈夫か?」
「うん。
今は一般人やけど、それで何かわかるんやったら、ワタシは全然大丈夫よ。」
「また、芸能界復帰してもいいんじゃねえか」
「ううん…
それは、もうええけど…」
久美子の心の傷は依然として癒えていなかった。
八尾は、話の途中だった久美子を手で制した。
「どうされました?」
「失踪事件かどうかは分かりませんが、家出や行方不明事件なんてものはあちこちで頻繁に起きていて、別に珍しいものでもない。
ですが、まさに今聞いたような若い女性の失踪事件がこのスタジオ付近で複数件起きているっていうのが、視聴者からの手紙でわかりましてね。
ウチの番組で取り上げる予定になっているんです。」
「八尾ちゃん
それは本当か!?」
横で話を聞いていたジローが間に割り込んできた。
「ええ。
例のソ連の超能力者が来日して透視をします。」
「だったら…」
「ひょっとしたら、久美子さんのお友達の失踪事件もそれらと関連しているかもしれません。
もし、よければウチで扱いますよ。」
「そうか。
俺達も番組で取り上げてもらうつもりで来させてもらったんだ。
そう言ってくれると有り難い。
なあ?久美子」
「はい。
八尾さん、よろしくお願い致します。」
「わかりました。」
「ところでソ連のその超能力者って、いつ来日するんだ?」
「明日日本に着きます。
透視の模様は別撮りなんで、明後日に収録します。」
「何たるタイミングだ!」
ジローは、久美子の肩に手をやり、興奮気味に言った。
二人は、八尾に礼を言い、スタジオを後にした。
外に出ると、ジローは
「その手の超能力者ってのは眉唾物だが、たまにホンモノがまぎれてるって事もある。
俺も、何度かそのホンモノってやつを見た事があるんだよ。
勿論、その何倍ものニセモノも見てきたがな。
八尾ちゃんの言葉を信じるしかねーな。」
久美子に諭すように言った。
「ええ。
今のところ、ヤクザが絡んでるって事しかわかってへんし、何か手掛かりが掴めたら、それに越した事はないねんけど。」
「そうだな。
探偵さんも頑張ってくれてるから、俺らはこれに賭けよう。
あっ…」
「どうしたん?ジローちゃん」
「もし、番組で取り上げられる事になったら、テレビに出なきゃならなくなるが、大丈夫か?」
「うん。
今は一般人やけど、それで何かわかるんやったら、ワタシは全然大丈夫よ。」
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