泥々の川

フロイライン

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芸能人大運動会

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芸能人大運動会の出場者の中に久美子がいた。

レギュラー番組を複数抱え、知名度と人気が急上昇中だったので、当然といえば当然のオファーであった。

ピンクの鉢巻と半袖シャツにゼッケン、ブルマにハイソックスと、他の女性出演者達と同じ格好で列の後ろの方に立つ久美子だったが…
そのルックス、体型、雰囲気は当時の人気女子アイドルを凌駕していたが、やはりオカマというマイノリティ枠で入れてもらった感は否めず、台本通り進めるようにディレクターから釘を刺されていた。

久美子は走ることに自信を持っており、性転換さえしていなければ、ここにいる男性陣でも勝てないほどの実力を誇っていた。

しかし、今は巨乳と皮下脂肪が邪魔をして上手く走れなくなったが、手を抜いて走っても久美子に勝てる女子は存在しないと思われた。


開会式が終わり、各々が退場していったが、久美子は芸能界の、特にアイドルの中に友人が存在せず、一人寂しく裏に戻ってきた。

過酷な人生を歩んできた久美子にとって、寂しいとか孤独だとかは辛いうちに入らない。

地べたに三角座りして、スタッフの指示を待っていた。


「よう、久美子ちゃん」


頭の上から自分を呼ぶ声がしたので、慌てて顔を上げる久美子だったが

「樹さん!」

声をかけた主は典子の家で出会ったアイドル歌手の樹陽介だった。

「なんだよ、つまんなそうな顔して。」

「へへっ
あんまりこういうとこ慣れてなくて。」

「そうなのか。

俺は楽しいぜ。
喜多村のおっさんもここには来てねえし、のびのびやれるからな。」

「そうだね。
典子さんの家ではずっとべったりされてたもんね」


「ああ。
ホントたまんねえよ。
夜だけは我慢してるけど、昼間もあんなふうにされたんじゃあなあ。」


「大変だね。」


「いやいや、久美子の人生に比べたら、俺なんて全然だよ、ほんと。」


「ワタシも全然大したことないよ。
今となっては、女にしてもらったことを感謝してるくらい。」


「へえ、やっぱ変わってんなあ、お前。
俺は今は我慢してるけど、いつの日かは力をつけて独立するよ、絶対。」


「でも、そんな事したら干されるんじゃないの?」


「だから力をつけてからだよ。
ウチの先輩で、人気絶頂の時にマネージャーと一緒に独立した人がいるんだよ。

その人、どうなったと思う?」


「干されてお仕事が全然なくなったとか?」


「いや、マネージャーが不慮の死を遂げたんだ。

高速道路で…
多分殺されたんだと俺は見てる。

結局、その人はウチのオッサンに泣いて土下座して、許しを請うたって話さ。」

陽介はそう言って声を出して笑った。

久美子は、話が本当かどうか判断がつかなかったが、あり得る話だと思い、背筋に冷たいものが走った。
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