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希望の星
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楓悟に交際を申し込まれ、ワタシは自分の秘密を打ち明けた。
半分期待し、半分諦めていたが、楓悟はワタシが元男だと知っても、好きだと言ってくれた。
その後、ワタシ達は築港新町のバス停まで戻り、岡山駅まで戻り、昼ごはんを食べた。
さっきまでの重い雰囲気(ワタシが泣いたりしたのも良くなかった)が嘘のように、お互いによく喋った。
「倉敷?」
「そう。美観地区っていうのがあって、観光客も多くて結構人気があるんじゃ。
俺、カノジョが出来たら、初デートはそこに行こうとずっと決めてて。」
「へえ、そうなんだ。
元男のワタシでもいいのかなあ。」
「もう、それは言うなって。
俺は雫の事をそんな風には見とらんし。」
ワタシ達はお互いのことを呼び捨てにしようというルールをさっき決めた。
「うん。
すごい楽しみ」
「じゃあ、今度の土曜か日曜日にでも行く?」
「ごめん。
ワタシ、バイトなの。
今度の土日」
「あ、そうか。
雫も大変じゃなあ。
学生やのにバイトせないかんのは」
「ううん。
ワタシは楓悟と違って、高校にも通わなくていいわけだし、それだったら働いて少しでもお金を稼げたらいいなって。」
「俺は、高校出ても専門学校に行くし、まだまだ親のスネ齧らないかん。
でも、俺も何かバイトはするつもり。」
「楓悟が専門学校に行って、パティシエになるのが楽しみだわ。」
「そんなかっこええもんじゃないけど。
実家の店継ぐだけの話。」
「偉いよ。
親も喜んでるんじゃない?
後継いでくれるの。」
「うん。
まあ、俺は長男やし、小さい頃からなんとなく自分もケーキ屋になるんじゃあて思って育ってきた面はあるかな。」
「ワタシは、進学はせずに働こうと思ってるけど、女として生きだして間がないし、まだ色々勉強していかないとダメだから、そんなに焦ってはいないの。
ゆっくり決めていければなあって。」
「雫、あの
岡山で働くってこと?」
「うん。
最初は、本来なら高校卒業するくらいの期間を岡山で暮らして、それから東京に戻ろうかなって思ってたの。
でも、楓悟とこうして出会えたし、このまま岡山に住み続けたいなって、今は思ってる。」
「そうか。
それじゃったら、俺も嬉しい。」
「今日フラれてたら、明日にでも東京に帰ってたと思う。」
「そんなん、俺がするわけないって。
こっちも不安で仕方なかったんやから。
勇気出して告白してよかったわ。」
楓悟はそう言うと、照れくさそうに笑った。
「でも、賢太の家にずっとお世話になるわけにもいかないから、岡山に住み続けるんだったら、一人暮らしをしようかなって考えてるよ。」
「えっ、一人暮らし?
賛成賛成!」
「何よソレ」
ワタシも心の枷が外れて、素直な気持ちで楓悟と話が出来、すごく楽しかった。
半分期待し、半分諦めていたが、楓悟はワタシが元男だと知っても、好きだと言ってくれた。
その後、ワタシ達は築港新町のバス停まで戻り、岡山駅まで戻り、昼ごはんを食べた。
さっきまでの重い雰囲気(ワタシが泣いたりしたのも良くなかった)が嘘のように、お互いによく喋った。
「倉敷?」
「そう。美観地区っていうのがあって、観光客も多くて結構人気があるんじゃ。
俺、カノジョが出来たら、初デートはそこに行こうとずっと決めてて。」
「へえ、そうなんだ。
元男のワタシでもいいのかなあ。」
「もう、それは言うなって。
俺は雫の事をそんな風には見とらんし。」
ワタシ達はお互いのことを呼び捨てにしようというルールをさっき決めた。
「うん。
すごい楽しみ」
「じゃあ、今度の土曜か日曜日にでも行く?」
「ごめん。
ワタシ、バイトなの。
今度の土日」
「あ、そうか。
雫も大変じゃなあ。
学生やのにバイトせないかんのは」
「ううん。
ワタシは楓悟と違って、高校にも通わなくていいわけだし、それだったら働いて少しでもお金を稼げたらいいなって。」
「俺は、高校出ても専門学校に行くし、まだまだ親のスネ齧らないかん。
でも、俺も何かバイトはするつもり。」
「楓悟が専門学校に行って、パティシエになるのが楽しみだわ。」
「そんなかっこええもんじゃないけど。
実家の店継ぐだけの話。」
「偉いよ。
親も喜んでるんじゃない?
後継いでくれるの。」
「うん。
まあ、俺は長男やし、小さい頃からなんとなく自分もケーキ屋になるんじゃあて思って育ってきた面はあるかな。」
「ワタシは、進学はせずに働こうと思ってるけど、女として生きだして間がないし、まだ色々勉強していかないとダメだから、そんなに焦ってはいないの。
ゆっくり決めていければなあって。」
「雫、あの
岡山で働くってこと?」
「うん。
最初は、本来なら高校卒業するくらいの期間を岡山で暮らして、それから東京に戻ろうかなって思ってたの。
でも、楓悟とこうして出会えたし、このまま岡山に住み続けたいなって、今は思ってる。」
「そうか。
それじゃったら、俺も嬉しい。」
「今日フラれてたら、明日にでも東京に帰ってたと思う。」
「そんなん、俺がするわけないって。
こっちも不安で仕方なかったんやから。
勇気出して告白してよかったわ。」
楓悟はそう言うと、照れくさそうに笑った。
「でも、賢太の家にずっとお世話になるわけにもいかないから、岡山に住み続けるんだったら、一人暮らしをしようかなって考えてるよ。」
「えっ、一人暮らし?
賛成賛成!」
「何よソレ」
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