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邂逅
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これは俺が中学の時に本当に経験した事である。
俺はサラリーマン家庭の長男(一人っ子)として生まれ、小学三年の時に、父の転勤で愛媛県から大阪市に移り住んできた。
俺は勉強が出来たわけでもスポーツが得意だったわけでもなく、また面白味もなかった。
クラスの中の位置付けでは中の下で、今で言うところの陰キャだった。
友達も少なかったから、クラス替えになって、その僅かしかいない仲良しと離れ離れになると、新しいクラスのメンバーと馴染めずに、春先は地獄の日々を送るのが毎年の恒例になっていた。
中学二年になり、また俺はそのパターンに陥り、休み時間になっても、まだ仲良くどころか、フツーに喋る相手すら出来ず、意味なく廊下に出て窓からグランドの方をボーっと見ていた。
もう四月の中旬だっていうのに、本当にこのクラスで友達が出来るんだろうかと不安になりながら。
俺の後方では、教室の中で馬鹿騒ぎする男子と、お喋りする女子の集団が出来てて、楽しそうだ。
俺は教室の時計を覗き込み、早く休み時間が終わるのを心から願った。
あと五分もある…
俺がため息をついていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。
「何してんの?」
と…
振り返ると、同じクラスの一条 千尋が立っていた。
「えっ…」
「奥田って、いつもそこに立ってるけど、何してんのかなって。」
「あ、いや、別に何もないんやけど、ヒマやから…」
「そっか。」
一条はそう言って、俺に微笑みかけると教室の中に入ってった。
一条千尋…
その時点では彼の事はよく知らなかったけど、クラスの中心にいる陽キャな事だけはすぐにわかった。
勉強が出来てスポーツも得意、おまけに顔が良い。
顔が良いってのは、一見女子に見間違うような美形で、髪も伸ばしているから余計そう思える風貌をしていた。
髪を伸ばすって言っても、運動部の女子のようなショートボブって感じの髪型なんだけど。
こういう中性的な顔してるヤツってモテるんだよなあ。
そして、これが俺と一条とのファーストコンタクトだった。
俺はサラリーマン家庭の長男(一人っ子)として生まれ、小学三年の時に、父の転勤で愛媛県から大阪市に移り住んできた。
俺は勉強が出来たわけでもスポーツが得意だったわけでもなく、また面白味もなかった。
クラスの中の位置付けでは中の下で、今で言うところの陰キャだった。
友達も少なかったから、クラス替えになって、その僅かしかいない仲良しと離れ離れになると、新しいクラスのメンバーと馴染めずに、春先は地獄の日々を送るのが毎年の恒例になっていた。
中学二年になり、また俺はそのパターンに陥り、休み時間になっても、まだ仲良くどころか、フツーに喋る相手すら出来ず、意味なく廊下に出て窓からグランドの方をボーっと見ていた。
もう四月の中旬だっていうのに、本当にこのクラスで友達が出来るんだろうかと不安になりながら。
俺の後方では、教室の中で馬鹿騒ぎする男子と、お喋りする女子の集団が出来てて、楽しそうだ。
俺は教室の時計を覗き込み、早く休み時間が終わるのを心から願った。
あと五分もある…
俺がため息をついていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。
「何してんの?」
と…
振り返ると、同じクラスの一条 千尋が立っていた。
「えっ…」
「奥田って、いつもそこに立ってるけど、何してんのかなって。」
「あ、いや、別に何もないんやけど、ヒマやから…」
「そっか。」
一条はそう言って、俺に微笑みかけると教室の中に入ってった。
一条千尋…
その時点では彼の事はよく知らなかったけど、クラスの中心にいる陽キャな事だけはすぐにわかった。
勉強が出来てスポーツも得意、おまけに顔が良い。
顔が良いってのは、一見女子に見間違うような美形で、髪も伸ばしているから余計そう思える風貌をしていた。
髪を伸ばすって言っても、運動部の女子のようなショートボブって感じの髪型なんだけど。
こういう中性的な顔してるヤツってモテるんだよなあ。
そして、これが俺と一条とのファーストコンタクトだった。
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