NH大戦争

フロイライン

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修行

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「お婆ちゃん、遅れてごめんなさい。」


学校から帰ってきた零は、白装束に着替え、板の間に現れた。


「遅いよ、零。

まあ、いいわ。

先ずは写経からよ。」


「はーい。」


零は、その場に座ると筆を取り、深呼吸をした後、写経を始めた。

左利きの零は左手で器用に般若心経の写経を行った。

それが終わると、火のついた蝋燭から一メートル離れたところに正座し、じっとその炎を見つめた。


「はい、始め!」


締め切った部屋の中で揺らめかず、真っ直ぐな炎を見つめ続ける零だったが、何分経っても何の変化も起きず、しびれを切らした芙美子がストップをかけた。

「零、やっぱりダメだね。」


「ごめんなさい、お婆ちゃん。」


「もう何年も変化なしってことは、零には呪詛をする素養がないってことだね。」


「えーっ、ワタシ
もう少し頑張る!

だから見捨てないでよ」


「見捨てはしないよ。
だって、後継者はあんたしかいないんだもの。

いいかい、よく見ておくのよ。」


芙美子はそう言うと、零よりも倍以上蝋燭から離れた位置から、視線を向けると、蝋燭の炎はサッと消えてしまった。


「スゴっ」


「何もすごくないわ。

これは初歩の初歩

いや、それ以前の問題だね。

私らの仕事は、離れた場所から行うものなの。
直接的な腕力は必要ないわ。

そうね、言うなれば精神力みたいなものがとても大事なの。」


「そうだよね…

ワタシが落ちこぼれなばかりにごめんなさい。」


「仕方ないわ。
そんなこと言っても。

それじゃあ、心を鍛える訓練よ。」


「はーい」


零は、正座して目を閉じた。


毎日このような訓練が、祖母の芙美子によって行われているが、零には才能がないのか、何年やっても進歩しなかった。


芙美子は、真剣に自分の代でこの呪詛の商売を辞めなければならないと、思い始めていた。
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