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ひこうき雲

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「どうなの、恵太

あ、メグだったか。

メグ…

お仕事は上手くいってんの?」


二人でご飯を食べる約束をしていたメグと莉愛は、パスタ屋に入り、話をしていた。



「まあね。
けっこう忙しくさせてもらってるわ。

莉愛ちゃんはどうなの?
日本最高峰の大学生活は」


「どうって事ないよ。
フツーだね、フツー」


「ワタシも言ってみたかったわ、そういうセリフ。
こっちは、中卒の身よ。」


「何言ってんのよ。

アンタと私は同じ高校で勉強してたのよ。
あそこって偏差値高いじゃん。

そこに入れたってことは、メグも頭良かったってことなんだから、卑下しないの。

まあ、そんな事言っても、学校の勉強で一番取ろうが最下位になろうが、何の意味もないって、考えるようになってきたわ。

要は人生をどれだけ幸せに生きられるかって事。
幸せに生きるために、頭を使わなきゃならないんであって、頭の差っていうのは、そういうところで出てくるんだと思うのよね。」


「何よ、その達観したような物言い。
莉愛ちゃん、年齢誤魔化してる?」


「バカ。

でもさあ、幸せの基準なんて、人それぞれだし。
お金をいっぱい稼いで、贅沢な暮らしが出来れば幸せだっていう人もいれば、お金はなくても好きな人と一緒にいられたら、それが幸せだっていう人もいる。

自分らしく生きるっていうのは、そういう事なんじゃないかなって思う。」


「それは、何となくわかるような気がする。

ワタシも莉愛ちゃんも、親が特殊といえば特殊じゃん。

あの人達の生き様を見てたら、何が幸せで、幸せじゃないかなんて、一概に言えないなあって思う。」


「ウチの場合はママが、滅多にいないタイプだから。
でも、本人はすごく幸せそうだし、フツーにエリート商社マンとして人生を送るより、今の生き方を選んで良かったって思ってるよ、多分。

ママ達と同じ大学に入ったからといって、別に良いとこに就職して、お金持ちの男と結婚したいなんて全く思ってないの。
私は、自分が良いと思った道を進みたい。
ただ、それだけ。

悔いなき選択っていうやつね。」


「莉愛ちゃん、スゴイ。

大人なのね、考え方が。」


「違うよ。

だって考えてよ。

ママが保育園のときに死んじゃって、おじいちゃんの家に引き取られて…
で、小学生の時にパパと暮らす事になったら、何故かパパはママになってて…

挙げ句の果てに、小学校の担任の先生とママが付き合うようになって、結婚しちゃった。

ワタシの人生、僅か八年か九年の間に激動すぎでしょ?

そりゃ達観もしますぜ、ネエさん。」

莉愛はそう言って笑った。
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