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夢
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妹に会うというメグの里帰りは、終わりを迎え、三人は帰る日を迎えた。
「由香里さん
一番大変な時にお邪魔してごめんね。」
「何を言ってるのよ、トモちゃん
こうしてまた会えて、本当に嬉しかったわ。」
智と由香里は抱擁し合った。
「トモちゃん
厚かましい考え方だけど、私はあなたとの関係を姉妹だと思ってるわ。
これからもそんな関係でいられたら…って思うの。」
「ありがとう、由香里さん。
ワタシも全く同じ気持ちよ。」
そう答えた智と由香里には共通点がある。
二人とも子供の頃から優秀で、学校生活では敵なし、仕事も続けていればかなり出世した事だろう。
しかし、智はニューハーフになり、そんなエリート生活を捨て、風俗嬢やAV嬢、水商売をやりながら、ここまで来た。
由香里もまた、自分のキャリアを捨て、結婚生活に全てを賭けたが、あっさりと旦那に裏切られ、落ちるところまで落ちてしまった。
他人から見れば、二人共気の毒な人生を送っていると言える。
しかし、由香里は、諦めかけていた自分の人生を、敦によって引き上げられ、人生で一番幸せな時間をすごしている。
智もまた、紆余曲折があったが、自分の現在地が一番幸せだと感じ、毎日を楽しく生きている。
由香里は、これまでの人生で一番愛すべき人を見つけ、四十を前に女としての悦びを知った。
世間が考えるステレオタイプの幸せなど、由香里にとってはつまらない事だった。
この歳で二人目の子を授かり、敦とは二十代前半の新婚夫婦のような激しいセックスを毎夜楽しんでいる。
これを幸せと感じずにはいられない由香里であった。
智もまた、一流商社マンという誰もが羨むキャリアをいとも簡単に捨て、ニューハーフとしての人生を歩み出した。
その間、離婚した妻奈々との復縁、愛娘である莉愛との再会と別れ、そしてまた一緒に暮らせる日が来た喜び。
敦を含める数限りない男性遍歴を経て、辿り着いたニューハーフのユウとの事実婚など、波瀾万丈の人生だった。
だが、幸せである事には変わりなく、世間一般が考える幸せとは程遠いが、本人達はこれ以上ない満足感を得ていた。
これは、智と由香里にしかわからない事であり、互いを姉妹と思うのも納得できた。
「ママ、ワタシ
東京で頑張って立派なニューハーフなるわ。
立派?
なんか言い回しが変かな?」
メグも由香里と抱き合って別れを惜しんだ。
「体だけには注意してね。
何かあったら、いつでもここに帰ってくるのよ。」
「そうだよ。
この家は恵ちゃんの家なんだからね。」
敦も由香里の言葉に頷き、同調した。
「ありがとう、パパ、ママ
でも、ここ引っ越すんだよね?」
「あ、そうだった
新住所は追って連絡するよ」
敦は頭を掻いて笑って言った。
「由香里さん
一番大変な時にお邪魔してごめんね。」
「何を言ってるのよ、トモちゃん
こうしてまた会えて、本当に嬉しかったわ。」
智と由香里は抱擁し合った。
「トモちゃん
厚かましい考え方だけど、私はあなたとの関係を姉妹だと思ってるわ。
これからもそんな関係でいられたら…って思うの。」
「ありがとう、由香里さん。
ワタシも全く同じ気持ちよ。」
そう答えた智と由香里には共通点がある。
二人とも子供の頃から優秀で、学校生活では敵なし、仕事も続けていればかなり出世した事だろう。
しかし、智はニューハーフになり、そんなエリート生活を捨て、風俗嬢やAV嬢、水商売をやりながら、ここまで来た。
由香里もまた、自分のキャリアを捨て、結婚生活に全てを賭けたが、あっさりと旦那に裏切られ、落ちるところまで落ちてしまった。
他人から見れば、二人共気の毒な人生を送っていると言える。
しかし、由香里は、諦めかけていた自分の人生を、敦によって引き上げられ、人生で一番幸せな時間をすごしている。
智もまた、紆余曲折があったが、自分の現在地が一番幸せだと感じ、毎日を楽しく生きている。
由香里は、これまでの人生で一番愛すべき人を見つけ、四十を前に女としての悦びを知った。
世間が考えるステレオタイプの幸せなど、由香里にとってはつまらない事だった。
この歳で二人目の子を授かり、敦とは二十代前半の新婚夫婦のような激しいセックスを毎夜楽しんでいる。
これを幸せと感じずにはいられない由香里であった。
智もまた、一流商社マンという誰もが羨むキャリアをいとも簡単に捨て、ニューハーフとしての人生を歩み出した。
その間、離婚した妻奈々との復縁、愛娘である莉愛との再会と別れ、そしてまた一緒に暮らせる日が来た喜び。
敦を含める数限りない男性遍歴を経て、辿り着いたニューハーフのユウとの事実婚など、波瀾万丈の人生だった。
だが、幸せである事には変わりなく、世間一般が考える幸せとは程遠いが、本人達はこれ以上ない満足感を得ていた。
これは、智と由香里にしかわからない事であり、互いを姉妹と思うのも納得できた。
「ママ、ワタシ
東京で頑張って立派なニューハーフなるわ。
立派?
なんか言い回しが変かな?」
メグも由香里と抱き合って別れを惜しんだ。
「体だけには注意してね。
何かあったら、いつでもここに帰ってくるのよ。」
「そうだよ。
この家は恵ちゃんの家なんだからね。」
敦も由香里の言葉に頷き、同調した。
「ありがとう、パパ、ママ
でも、ここ引っ越すんだよね?」
「あ、そうだった
新住所は追って連絡するよ」
敦は頭を掻いて笑って言った。
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