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悲喜交々の帰郷
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午後四時前
予定通り、三人は伊東家に到着した。
「すごい田舎でしょ?」
車から降りたユウに智が声をかけた。
「うん。
ワタシの実家もかなりのもんだと思ってたけど、ここはそれ以上ね」
ユウは目の前に広がる山々を見ながら笑って言った。
メグは先に母に会おうと、玄関に向かったが、車のエンジン音に気付いた由香里が先に出てきた。
「恵ちゃん!」
恵太と目が合った由香里は、産後間もなくという事もあり、少しふくよかになっていた。
美智香のような激太りはしていなかったが。
「ママ…
ただいま」
ここを出ていったときより、すっかり女性らしい姿になったメグは、既に感極まって目に涙をいっぱい溜めていた。
「由香里さん
ご無沙汰してます。」
智も近づいてきて由香里に言うと、すぐに
「あの、ワタシと恵ちゃんが住ませてもらってる家の持ち主で、ワタシのパートナーのユウさんです。」
ユウを紹介した。
「初めまして、由香里さん
ワタシまでお邪魔してしまい申し訳ございません。」
「いえ、こちらこそ
ユウさんには恵太が大変お世話になっているのに何のご挨拶もせずに、本当に申し訳ない限りです。」
ユウと由香里は互いに頭を下げ合った。
「ママ、早く会わせてよ。
ワタシのかわいい妹に。」
メグが言うと、由香里は頷いた。
「うん。
先ずは早く中に入って。」
三人は由香里に促され、玄関で靴を脱ぎ、家に上がった。
「メグちゃん、先ずは手をよく洗ってうがいして、それからマスクね。」
智が言うと、二人共頷き、従った。
「由香里さん
敦さんは、まだ畑?」
「ううん。
役場の方に行ってるの。
実は畑を引き払う事にしたの。」
「えっ、そうなの?」
「うん。
敦さん、分校の教師に復帰する事が決まったのよ。」
「そうなの?」
「畑は、都会からの移り住む家族にタダ同然でプレゼントするっていう村の企画に使ってもらう事になってね。
買い上げてもらう事も決まったの。」
「へえ、そうなんだあ。
敦さん、また教師に復帰したいって思ってたはずだし、喜んでるんじゃないの?」
「うん。
多分、そっちが天職なんじゃないかって思うわ。」
智と由香里がそんな話をしていると、前方から歓声が上がった。
先に赤ちゃんと対面したメグとユウが声を上げたのだった。
「かわいいっ!」
智も慌てて部屋に入ってくると、そこには由香里と敦の間に出来た赤ちゃんが寝ていた。
「生まれたばかりなのに、目鼻立ちがハッキリしてる。
絶対美人になるよ。
由香里さん、名前は?」
智が質問すると、由香里は頷き
「恵香っていうの
恵太と私の香って字を一字ずつ取って。
敦さんがそれが良いんじゃないかって」
「あやかちゃんかあ
良い名前」
ユウが言うと、メグは感極まった表情となり
「嬉しい…ママ
ワタシの名前も入れてくれたのね」
と、目を潤ませながら言った。
予定通り、三人は伊東家に到着した。
「すごい田舎でしょ?」
車から降りたユウに智が声をかけた。
「うん。
ワタシの実家もかなりのもんだと思ってたけど、ここはそれ以上ね」
ユウは目の前に広がる山々を見ながら笑って言った。
メグは先に母に会おうと、玄関に向かったが、車のエンジン音に気付いた由香里が先に出てきた。
「恵ちゃん!」
恵太と目が合った由香里は、産後間もなくという事もあり、少しふくよかになっていた。
美智香のような激太りはしていなかったが。
「ママ…
ただいま」
ここを出ていったときより、すっかり女性らしい姿になったメグは、既に感極まって目に涙をいっぱい溜めていた。
「由香里さん
ご無沙汰してます。」
智も近づいてきて由香里に言うと、すぐに
「あの、ワタシと恵ちゃんが住ませてもらってる家の持ち主で、ワタシのパートナーのユウさんです。」
ユウを紹介した。
「初めまして、由香里さん
ワタシまでお邪魔してしまい申し訳ございません。」
「いえ、こちらこそ
ユウさんには恵太が大変お世話になっているのに何のご挨拶もせずに、本当に申し訳ない限りです。」
ユウと由香里は互いに頭を下げ合った。
「ママ、早く会わせてよ。
ワタシのかわいい妹に。」
メグが言うと、由香里は頷いた。
「うん。
先ずは早く中に入って。」
三人は由香里に促され、玄関で靴を脱ぎ、家に上がった。
「メグちゃん、先ずは手をよく洗ってうがいして、それからマスクね。」
智が言うと、二人共頷き、従った。
「由香里さん
敦さんは、まだ畑?」
「ううん。
役場の方に行ってるの。
実は畑を引き払う事にしたの。」
「えっ、そうなの?」
「うん。
敦さん、分校の教師に復帰する事が決まったのよ。」
「そうなの?」
「畑は、都会からの移り住む家族にタダ同然でプレゼントするっていう村の企画に使ってもらう事になってね。
買い上げてもらう事も決まったの。」
「へえ、そうなんだあ。
敦さん、また教師に復帰したいって思ってたはずだし、喜んでるんじゃないの?」
「うん。
多分、そっちが天職なんじゃないかって思うわ。」
智と由香里がそんな話をしていると、前方から歓声が上がった。
先に赤ちゃんと対面したメグとユウが声を上げたのだった。
「かわいいっ!」
智も慌てて部屋に入ってくると、そこには由香里と敦の間に出来た赤ちゃんが寝ていた。
「生まれたばかりなのに、目鼻立ちがハッキリしてる。
絶対美人になるよ。
由香里さん、名前は?」
智が質問すると、由香里は頷き
「恵香っていうの
恵太と私の香って字を一字ずつ取って。
敦さんがそれが良いんじゃないかって」
「あやかちゃんかあ
良い名前」
ユウが言うと、メグは感極まった表情となり
「嬉しい…ママ
ワタシの名前も入れてくれたのね」
と、目を潤ませながら言った。
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