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忙殺

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結局、ユウは翼とまた体を重ね合わせてしまった。

お互いにイッた後、ユウは翼の耳元で

「これでオシマイね」

と、囁くように言った。


「ありがとうございます

ユウちゃん…

もう死んでもいいです、俺」


翼はそう言うと、照れくさそうな表情を浮かべた。


「一々大袈裟なのよ、翼クンの言葉。

でも、正直言って、すごく良かったわ。」


「本当ですか?

だったらすごく嬉しいんですけど。」


「本当よ。
こんなに連続でイッたの初めてよ。」


「やった!


ユウちゃん、俺にもワンチャンありますか?」


「うーん

ないかもしれない」


「やっぱり…」


本気でユウのことが好きな翼は、ガックリと肩を落とした。


「さっきも言ったけど、翼クンはちゃんと恋人見つけなさい。

フツーに女の子も好きなんでしょ?」


「それは、まあ…

でも、恋人探しは、ユウちゃんとこんな事になって、さらに遠のいたかもしれないです。」


翼がそう言うと、目を覚まして事の成り行きを見守っていた智が、会話に入ってきた。


「自分の気持ちにウソはつけないし、翼クンがユウちゃんの事を本気で好きなのって、偽らざる本心だと思う。
ユウちゃんだって、翼クンのことを何とも思ってなければしなかったと思うよ。
ユウちゃんて、行為自体に興味ない子だからね。

でしょ?ユウちゃん」


「それは…否定はできない部分も多少はあるけど…」


「ユウちゃんはワタシのことを好きだって思ってくれてるし、ワタシも好きだよ、すごく。

でも、それは精神的な部分での結びつきを示しているだけで、本来は男の人が好きなんだよ。

いくら過去に酷い目に遭って、男はもう懲り懲りだと思ったとしても、本質を変えるまでにはならないわ。」


「…」

ユウは否定出来なかった。


「じゃあ、ユウちゃん
俺にもチャンスは…」


「そんな事言われても…」


「トモちゃん

俺、もっといい男になって、ユウちゃんにアタックします!」


「その意気はなかなかのものだと思うけど、ユウちゃんの今のパートナーはワタシだからね。

そう簡単には渡さないわよ。」


「たしかに、強敵ですけど…

俺、本気なんで、ユウちゃん。
子供の時からユウちゃんの事が好きだった事は事実だし…

絶対に相応しい男になりますので、そのときは…」


「もう、二人で勝手に話を進めないでよ。」

勝手に盛り上がってきた翼に、ユウは困惑しながら言った。

そして…


ユウは翼にキスをした。


そのキスが何を意味しているか、翼と智には何となくわかった。

しかし、ユウは何も語らず、出発の準備を始めた。

その後、起きてきたメグ、智も着替えを済ませ、翼の旅館を出た。
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