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幸運の女神
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「どうぞどうぞ」
翼は自らの運転で家族で経営する旅館に三人を連れ帰って来ると、早速、一番大きな部屋に案内した。
「うわっ、広いっ」
メグが驚きの声を上げると、智とユウは顔を見合わせて、少し困った顔をした。
そして、ユウが
「翼君
こんな立派な部屋じゃなくてもいいのよ。
寝泊まり出来ればそれで…」
と、申し訳なさそうに言った。
「本当に大丈夫なんです。
今シーズンオフなんで、それも平日でしょ?
ウチみたいな小さな旅館は予約ゼロって日が結構あるんですよ。
今日がまさにそれ。
おかげで皆さんに会いに行けたってわけです。」
翼は屈託のない笑みを浮かべて答えた。
「お金はちゃんと正規の値段を払うから請求してよね。」
智も恐縮しながら言ったが、翼は首を横に振った。
「部屋を遊ばすより、こうして泊まってもらった方がいいですし、ホントに気になさらないで下さい。
あ、それと、大浴場も貸切なんで、使ってくださいね。
一応温泉引いてるんですよ。」
「えっ、ホント?」
ニューハーフという立場上、大浴場に入る事が長らく出来なかった智とユウは、翼の言葉に色めき立った。
「ここら辺は、それしか売りがないですから、温泉だけは力入れてるんです。」
「嬉しいっ!
昨日も温泉旅館に泊まったんだけど、勿論大浴場には行けなくてね。
お部屋のお風呂で我慢してたの。
せっかくだから、ご厚意に甘えさせてもらうね。」
ユウが言うと、翼はニッコリと笑い、頷いた。
「皆さんがお風呂に入っている間、お部屋のお布団を準備させていただきますので、ごゆっくり」
「えっ、翼君が?」
「はい。
さっきも言いましたように、今はシーズンオフなんで家族だけで運営してるんです。
今日は予約もゼロなので、両親ももう帰りました。」
「えーっ
尚更悪いわね…
ホントに料金はちゃんと請求してよね」
智は申し訳なさげに言った。
その後、三人は大浴場に移動し、超久しぶりの温泉の大浴場を楽しんだ。
メグに至っては初めての体験だった。
「良い温泉だね。
最高だわ」
智は湯舟に浸かり、溜まった疲れを落としながらユウに話しかけた。
「うん。
まさか、大浴場に来れるとは思ってもみなかったから。」
ユウが感慨深げに言うと、メグが
「それもこれも、翼さんがユウちゃんの事を一途に思っているからなんですよね。」
と、隣のユウに言った。
「そんな事はないと思うけど、どちらにしたても翼君には感謝してる。」
「ねえ、あんなに思ってくれてるんだから、後でサービスしてあげたら?」
智はニヤッと笑ってユウを見ながら言った。
「なにバカなことを言ってんのよ。」
「お風呂から出て、まだ部屋にいたらね、ユウちゃん」
「…」
智の言葉にユウはタジタジとなった。
翼は自らの運転で家族で経営する旅館に三人を連れ帰って来ると、早速、一番大きな部屋に案内した。
「うわっ、広いっ」
メグが驚きの声を上げると、智とユウは顔を見合わせて、少し困った顔をした。
そして、ユウが
「翼君
こんな立派な部屋じゃなくてもいいのよ。
寝泊まり出来ればそれで…」
と、申し訳なさそうに言った。
「本当に大丈夫なんです。
今シーズンオフなんで、それも平日でしょ?
ウチみたいな小さな旅館は予約ゼロって日が結構あるんですよ。
今日がまさにそれ。
おかげで皆さんに会いに行けたってわけです。」
翼は屈託のない笑みを浮かべて答えた。
「お金はちゃんと正規の値段を払うから請求してよね。」
智も恐縮しながら言ったが、翼は首を横に振った。
「部屋を遊ばすより、こうして泊まってもらった方がいいですし、ホントに気になさらないで下さい。
あ、それと、大浴場も貸切なんで、使ってくださいね。
一応温泉引いてるんですよ。」
「えっ、ホント?」
ニューハーフという立場上、大浴場に入る事が長らく出来なかった智とユウは、翼の言葉に色めき立った。
「ここら辺は、それしか売りがないですから、温泉だけは力入れてるんです。」
「嬉しいっ!
昨日も温泉旅館に泊まったんだけど、勿論大浴場には行けなくてね。
お部屋のお風呂で我慢してたの。
せっかくだから、ご厚意に甘えさせてもらうね。」
ユウが言うと、翼はニッコリと笑い、頷いた。
「皆さんがお風呂に入っている間、お部屋のお布団を準備させていただきますので、ごゆっくり」
「えっ、翼君が?」
「はい。
さっきも言いましたように、今はシーズンオフなんで家族だけで運営してるんです。
今日は予約もゼロなので、両親ももう帰りました。」
「えーっ
尚更悪いわね…
ホントに料金はちゃんと請求してよね」
智は申し訳なさげに言った。
その後、三人は大浴場に移動し、超久しぶりの温泉の大浴場を楽しんだ。
メグに至っては初めての体験だった。
「良い温泉だね。
最高だわ」
智は湯舟に浸かり、溜まった疲れを落としながらユウに話しかけた。
「うん。
まさか、大浴場に来れるとは思ってもみなかったから。」
ユウが感慨深げに言うと、メグが
「それもこれも、翼さんがユウちゃんの事を一途に思っているからなんですよね。」
と、隣のユウに言った。
「そんな事はないと思うけど、どちらにしたても翼君には感謝してる。」
「ねえ、あんなに思ってくれてるんだから、後でサービスしてあげたら?」
智はニヤッと笑ってユウを見ながら言った。
「なにバカなことを言ってんのよ。」
「お風呂から出て、まだ部屋にいたらね、ユウちゃん」
「…」
智の言葉にユウはタジタジとなった。
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