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里帰り

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三人を乗せた車は、若干進路がズレて、ユウの実家に向かっていた。

「ユウちゃんてこの辺の出身だったのね。」

「そうなのよ。すごい田舎でしょ?」

ユウは目前に広がる田園地帯を見ながら、笑って言った。

「ううん。
素敵なところじゃない。

明日行くとこはこんなもんじゃないわよ。
ね、メグちゃん」


「うん。
こっちの方が全然都会だもん。」


「都会って…

二人共一体どんなとこに住んでたのよ。」


ユウは笑って言った。


「ほら、右手に見える家があるでしょ?
木があるとこ」


「うんうん」


「あれがワタシの実家なの。」

ユウは前方右に見えてきた住宅群中で、一際大きな家を指差して言った。


たしかに田舎ではあるが、智達が元々住んでいた敦の実家の方が桁外れの田舎で、メグがここを都会だと呼んだのもわからなくはない。


家の前に車を停めると、ユウだけが降りて、中に入っていった。

智もメグも外に出て、しばらく待っていると、程なくしてユウが戻ってきた。
小柄な女性を連れて…


「トモちゃん、メグちゃん
紹介するわ
ウチの母です。

こちらがワタシが一緒に暮らしている智さんと、メグちゃん」


五十代半ばか後半くらいか…
身長が158しかないユウ同様、母親も150そこそこしかない感じだった。

「初めまして、吉岡と申します。」

智は慌てて自己紹介し、頭を下げた。


「あ、初めまして
伊東です。」

メグも続いた。


「初めまして、優の母です。
いつもこの子がお世話になり、申し訳ありません。」

母は二人よりもさらに深く頭を下げた。


「こんなところで立ち話もあれだし、早く中に入って。」


ユウはトランクから荷物を取り出しながら、二人に声をかけた。

「さあ、どうぞ。
狭いところですが、ご遠慮なさらず」


母も門扉を開け、二人を中に案内した。


「お邪魔します」


智とメグは、それぞれ荷物を抱えると、ユウと母に案内されながら、奥へと入っていった。


門構えからして立派な作りだったが、中に入ると、庭も広く、豪邸と言っても過言ではない雰囲気を醸し出していた。

「スゴイ…お家だね」

思わず、智は感嘆の声を上げたが、ユウは

「田舎だからね。
土地だけはいくらでもあるのよ。
安いし」

そう言って笑った。


母も

「そうなんですよ。
この辺はみんなこういう感じです
どの家も」


と、遠慮気味に語った。


「ユウさんてお金持ちのお嬢様だったんですね…」

メグが智の耳元で呟くと、智はメグの方を見て、ニコッと笑って頷いた。
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