上 下
564 / 592

里帰り

しおりを挟む
三人を乗せた車は、若干進路がズレて、ユウの実家に向かっていた。

「ユウちゃんてこの辺の出身だったのね。」

「そうなのよ。すごい田舎でしょ?」

ユウは目前に広がる田園地帯を見ながら、笑って言った。

「ううん。
素敵なところじゃない。

明日行くとこはこんなもんじゃないわよ。
ね、メグちゃん」


「うん。
こっちの方が全然都会だもん。」


「都会って…

二人共一体どんなとこに住んでたのよ。」


ユウは笑って言った。


「ほら、右手に見える家があるでしょ?
木があるとこ」


「うんうん」


「あれがワタシの実家なの。」

ユウは前方右に見えてきた住宅群中で、一際大きな家を指差して言った。


たしかに田舎ではあるが、智達が元々住んでいた敦の実家の方が桁外れの田舎で、メグがここを都会だと呼んだのもわからなくはない。


家の前に車を停めると、ユウだけが降りて、中に入っていった。

智もメグも外に出て、しばらく待っていると、程なくしてユウが戻ってきた。
小柄な女性を連れて…


「トモちゃん、メグちゃん
紹介するわ
ウチの母です。

こちらがワタシが一緒に暮らしている智さんと、メグちゃん」


五十代半ばか後半くらいか…
身長が158しかないユウ同様、母親も150そこそこしかない感じだった。

「初めまして、吉岡と申します。」

智は慌てて自己紹介し、頭を下げた。


「あ、初めまして
伊東です。」

メグも続いた。


「初めまして、優の母です。
いつもこの子がお世話になり、申し訳ありません。」

母は二人よりもさらに深く頭を下げた。


「こんなところで立ち話もあれだし、早く中に入って。」


ユウはトランクから荷物を取り出しながら、二人に声をかけた。

「さあ、どうぞ。
狭いところですが、ご遠慮なさらず」


母も門扉を開け、二人を中に案内した。


「お邪魔します」


智とメグは、それぞれ荷物を抱えると、ユウと母に案内されながら、奥へと入っていった。


門構えからして立派な作りだったが、中に入ると、庭も広く、豪邸と言っても過言ではない雰囲気を醸し出していた。

「スゴイ…お家だね」

思わず、智は感嘆の声を上げたが、ユウは

「田舎だからね。
土地だけはいくらでもあるのよ。
安いし」

そう言って笑った。


母も

「そうなんですよ。
この辺はみんなこういう感じです
どの家も」


と、遠慮気味に語った。


「ユウさんてお金持ちのお嬢様だったんですね…」

メグが智の耳元で呟くと、智はメグの方を見て、ニコッと笑って頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

転職してOLになった僕。

大衆娯楽
転職した会社で無理矢理女装させられてる男の子の話しです。 強制女装、恥辱、女性からの責めが好きな方にオススメです!

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

女子に虐められる僕

大衆娯楽
主人公が女子校生にいじめられて堕ちていく話です。恥辱、強制女装、女性からのいじめなど好きな方どうぞ

入社した会社でぼくがあたしになる話

青春
父の残した借金返済のためがむしゃらに就活をした結果入社した会社で主人公[山名ユウ]が徐々に変わっていく物語

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

処理中です...