カジュアルセックスチェンジ

未来計画

「桐山は多分十年は服役すると思うけど、お姉ちゃんの元旦那は、早めに出所してくるだろうね。

まあ、まだ先の話だし、そのときにまた善後策を考えようよ。」


智が言うと、美智香と真弥も頷いた。


「智、話は変わるけど、もう少ししたら私達引っ越すのよ。」


「えっ、そうなの？」


「うん。
どっちにしても、ここは子育てするには狭すぎるし、もっと広いところに引っ越さないとって考えてるの。」

「へえ、そうなんだ」


「今は私も動けないから、真弥君に任せっきりだけど、少し落ち着いたらモデルルームとか回らなきゃって思ってるのよ」


「どこら辺で探してるの？」


「ここも悪くはないんだけど、何かと不便だし、真弥君も通勤が大変だしね。

それこそ、智が今住んでいる辺りでいいところが見つかればって考えてるのよ。」


「あ、そうなの？
たしかにすごく住みやすいよ。

都心からもすぐだし、かといってごちゃごちゃしてなくて静かだし。」


「智が近くにいてくれると安心だし。」


「うん。
智弥ちゃんのお守りもさせてもらうから、何でも言ってね。」


「ありがとう、智」


美智香は笑みを浮かべて、智に礼を述べた。


「あ、もうこんな時間…

そろそろ帰んないと。」

智は時計を見て立ち上がった。


「あ、智さん

俺、駅まで送っていきますよ。」


「大丈夫よ。
お姉ちゃんに付いててあげて。」


「いや、この辺の道は人通りが少なくてちょっと心配なんで。」


「大丈夫よ。
ワタシ、男だし」

智はそう言って笑った。


「送ってもらって。

真弥君悪いけど、お願い。」

美智香も真弥に同調した為、智もその言葉に甘える事にした。


智は、美智香と智弥に別れを告げ、真弥と共に部屋を出ていった。




「真弥クン

子供もできて、これからがホント楽しみだね」

駅までの道を二人で並んで歩きながら、智が真弥の方を見上げて言うと、真弥も深く頷いた。

「はい。益々責任重大です」




「ねえ、真弥クン

例の事件の事だけど…」


「桐山と佐藤の？」


「ええ。

さっきも言ったけど、裁判ではほとんどが桐山単独での計画、実行が証明される形になって、桐山自身も反論しないでほぼ認めたわよね？」


「そうですね」


「こっちが思ってたより佐藤の罪が軽かったから、早期に出所してくるのは間違いないわ。」


「はい…」


「お姉ちゃんは大丈夫って言ってたけど、佐藤は間違いなく、あなた達の前に再び姿を現すわ。」


「その可能性はありますね…」


「そのときはまた二人でお姉ちゃんと智弥ちゃんを全力で守んなきゃね」


「はい。」

真弥は少し表情を曇らせながらも、はっきりとした口調で返事した。